十一面観音巡りの旅（14）春の大和路

　今日は関空から札幌に帰る日です。奈良から関空までリムジンバスがありますので、午後のバスの出発まで興福寺の見学をしました。

☆興福寺

　奈良時代初期に藤原不比等が建立した藤原氏の氏寺。藤原氏の勢力拡大とともに繁栄し、七堂伽藍を誇りました。平安時代以降の度重なる罹災後もその都度再建されてきましたが、1717年の火災と明治の廃仏毀釈によって衰退。現存する遺構は北円堂、五重塔、東金堂など。白鳳時代の仏教美術の優れたコレクションでも知られています。

　まずは興福寺国宝館へ。名前のとおり国宝および重要文化財を100点余り収蔵している、まさに仏教美術の宝庫です。興福寺は奈良市内のお寺では最もロケーションの良いところですし、奈良を訪れる度に寄っていましたが、新しい国宝館になってからは初めてで、立派になってました。見学の人も多くなり、関西のおばちゃんたちのお喋りには閉口です。煩く思うのは私だけではないと見えてあちこちに静かに鑑賞しましょうという張り紙が・・・でも効き目なし。ここでも以前の古い建物の、阿修羅像もあまり知られていなかった頃を懐かしく思うのでした。ひとつよかったのは、この阿修羅像の後ろ姿も観られるようになったことですね。

↓阿修羅立像/乾漆造 彩色 奈良時代　像高 153.4cm 　（絵葉書）

↓　千手観音菩薩立像/鎌倉時代　桧材　寄木造り　漆箔　像高520.5ｃｍ

今回の旅では上の興福寺の国宝をはじめ優れた千手観音をいくつか拝観しました。気品と慈愛に満ちたそのお姿に感銘を受けました。写真や映像では決して感じ取れない美が本物の仏像にはあると確信した旅にもなりました。祈りのうちから生み出された日本の独自の美しさを求めて、まだ旅は続くでしょうか。

はるきぬと　いまかもろびと　ゆきかえり

ほとけのにはに　はなさくらしも　　會津八一

↓　興福寺の東金堂

↓五重塔

↓南円堂

　北円堂は春の特別開扉前でした。残念。中金堂は再建中で平成30年に完成予定です。

この日も快晴の初夏の陽気でした。JR奈良駅まで徒歩で20分くらい。商店街のお餅屋さん(杵つきの実演に外国人の観光客が珍しげ）で、よもぎもちを買いバスの中でおやつにしました。つきたてでとても美味しかったです。

↓　狭い歩道にあふれる見物客。お店の人が「危ないよ～」と交通整理。

　東京～大阪～奈良と移動の7泊8日の旅でした。いつもの欲張り根性で盛りだくさんのメニューでしたが、心配したほどの疲れもなく無事終了できました。(終）

タグ：奈良 興福寺国宝館

コメント 3

昨年から海外の旅を減らし、国内旅行に徐々に重点を移しつつあります。仏教美術についてはほとんど知識がなく、お見苦しい点は数々と思いますが、すっかり十一面観音をはじめとする仏像たちに会う旅にはまってしまいました。

さて、今年のヨーロッパはいつもの一人旅とは異なり、音楽好きな友人と24日間同行することになりました。前半はウィーン、ザルツブルク、ベルリンでオペラやコンサート(11公演！）。後半はツアーに合流して、クロアチア・スロヴェニアへ。アドレア海沿岸に沿って南下し、中世の趣の残る町を訪ねるのも楽しみです。

出発まで2週間、これから細かいプランを検討し、旅支度、留守宅のことなど、すべきことが山ほど控えています。少し早いですが行ってまいります～。
by alice (2014-05-17 08:04) 

またまた大旅行ですね。
私は主人一人を置いていくので、短いのですが6月12日から、　E社のロマネスクで　カニグー修道院とピレネー・アキテーヌの　10日間の旅です。この旅の前半が重なるので　12年にいらした折の貴ブログ　しっかり　何度も読ませていただいております。とても参考になります。
　お元気で　旅をたのしんでください。
by yk (2014-05-17 12:39) 

ykさま　　うちも長女が同居していなかったら、とてもこんなに長くは出かけられません。主人の体調次第では短い期間でも無理になるのは目の前に迫ってきています。実は5月に入ってから気になるトラブルがあり検査入院しました。一時は「旅もキャンセルか？」と思いましたが、なんとか大事にいたらず10日ほどで退院できました。今回はツアーなのでキャンセル料がかかりますし。これからはオペラのチケットはともかく、他は夫の様子を見ながら直前手配で、慎重にならざるをえないようです。

＞カニグー修道院とピレネー・アキテーヌの　10日間の旅
いいですね～。フランスのロマネスクのなかでも自然に恵まれ、素晴らしいところです。どうかお天気が良くなりますように。
by alice (2014-05-17 17:37)