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2014初夏の旅(9)ザルツブルク [2014初夏ヨーロッパ(オペラと美術の旅]

6/9(月)

 今日が最後のザルツブルクです。今年の聖霊降臨祭でチケットの売れ行きが一番良かったのがジョイス・ディドナートのリサイタルでした。オペラなどの手配をしているうちに完売してしまったので、その後たまにチェックしていたのですが、ある日1席だけが売り出されていて、即ゲット。友人のためにその後も覗いてみたのですが、それっきり・・・で、私だけでモーツアルテムへ。

♪ Liedmatinee Joyce DiDonato

11:00~Stiftung Mozarteum

PROGRAMME

ANTONIO VIVALDI • Arias of Ippolita from the opera Ercole sul Termodonte

GABRIEL FAURÉ • Cinq Mélodies, Op. 58 "De Venise"

GIOACHINO ROSSINI • Péchés de vieillesse, Vol. 1: Nos. 8-10. La regata veneziana

FRANZ SCHUBERT • Gondelfahrer, D. 808

ROBERT SCHUMANN • Two Venetian Songs from Myrthen, Op. 25

MICHAEL HEAD • Three Songs of Venice

REYNALDO HAHN • Venezia

 ジョイス・ディドナートは大ファンというわけでないのですが、フローレスと共演することが多いので、生の公演に接することが多く、お馴染みのメゾです。

 席は2列目左寄り。歌唱はもちろん素晴らしかったのですが、曲の合間のお喋りが楽しかったです。残念ながら、正確に聞き取れてないかもですが・・・汗。「ザルツブルクに来られてうれしい~!」と目を輝かすチャーミングなディドナートに場内はいっぺんに彼女の庶民的で生き生きしたパーソナリティの虜になったみたいです。アメリカの片田舎の出身で音楽大学に進んだことなど、これから歌う曲を一生懸命練習した日々など、ユーモアたっぷりにお話してくれました。ヴェネチアの歌が多いのは翌日のオテロに合わせたのかしら?聖霊降臨音楽祭の監督でもあるチェチェーリア・バルトリについても雲の上の人だったのに、私を呼んでくれてとてもハッピー!私の名前知ってたのよ~!には爆笑でした。歌唱も丁寧に心を込めて、ヴェネチアの風景が目の前に広がるような美しい歌が多く、ピアノ伴奏のDavid Zobelとも息もぴったり。今まではオペラの舞台上でのディドナートでしか聴いたことがなかったので、フレッシュなリートを満喫しました。プログラムの小冊子を購入しませんでしたので、上記のプログラムどおりの順序だったのかどうか・・・。アンコールは「湖上の女」のフィナーレのアリア、戦いを回避してエレナは喜びのうちに歌います「胸の思いは満ち溢れ」、平和を願う想いが胸に迫りました。素晴らしいリサイタルでした。

↓ 休憩の後、衣装替えした華やかなプリントのドレスがとてもお似合いでした。

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↓休憩のとき、今回の音楽祭に独りで見えていたシニアの女性(私より10歳くらい?年上の方)と立ち話してましたら、あの「先生」が現れました。逃げようと思ったのですが・・・、「魔笛の小屋へ行ったか?」とのお言葉に「いいえ」「行ってきなさい」とあくまでも命令口調(笑)きっとザルツ初心者と思われたのでしょう。モーツアルテムの平土間の後方からの庭園に建っています。オリジナルはウィーンにあり、それを移築したもの。

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 そろそろ日本食が恋しくなる頃でした。ホテルに戻る途中、ザルツブルクに来たときは1度は立ち寄る「長野」で、巻寿司をテイクアウト。ホテルの部屋で遅いランチにしました。14:30にロビーで友人と待ち合わせ「オテロ」観劇のため祝祭大劇場へ。

 ♪ Gioachino Rossini ‎‎‎• Otello

Jean-Christophe Spinosi, Musikalische Leitung
Moshe Leiser, Patrice Caurier, Regie
Christian Fenouillat, Bühne
Agostino Cavalca, Kostüme
Christophe Forey, Hans-Rudolf Kunz, Licht
Konrad Kuhn, Dramaturgie

BESETZUNG

John Osborn, Otello
Cecilia Bartoli, Desdemona
Peter Kálmán, Elmiro
Edgardo Rocha, Rodrigo
Barry Banks, Jago
Liliana Nikiteanu, Emilia
Nicola Pamio, Doge
Ensemble Matheus

16:00~Großes Festspielhaus

 席は前から4列目のほぼ中央、友人は最前列(機嫌良し 笑)の右寄りでした。私の席の両側は日本人、前の方の席も数人の日本人の姿。左に座ったシニアの女性はこちらへ来てから少しおしゃべりしていた顔見知りの方でした。昨日のコンサートはパスして、ウィーンへ1泊で往復されたそうです。そのせいかお疲れのようで・・・幕が開いてまもなくzzz。

 指揮と管弦楽は「チェネントラ」と同じスピノジとアンサンブルマテウス。もう少し、メリハリが欲しかったような・・・物足りなさがありました。ロッシーニの「オテロ」は演奏会形式ですが、2年前ブリュッセルのモネ劇場で聴いてました。今回で2回目ですが、ヴェルディの有名な「オテロ」には敵わないまでも、なかなか魅力的な作品だと思います。モネでもクンデとアントナッチが優れた歌唱を聴かせてくれました。さて今夜のオテロは?胸わくわくで幕が開きました。

チェネレントラの喜劇的ハッピーエンドとは違い、オテロの題材は暗い悲劇です。チェネレントラの湧き立つような明るさからデズデモーナの悲哀と苦悩の表現へ。バルトリはその持てるものすべてをこの舞台に表現してくれました。昨夜の大活躍から懸念されていた疲れなどどこ吹く風。舞台にいるのはオペラの女神のようなバルトリでした。柳の歌も絶品で、涙がこぼれそうでした。

舞台は15世紀のヴェネチアですが、この演出では現代に移され、オテロはムーア人として、人種差別を受ける側であることが強調され、ヤーゴやロドリーゴの扱いもヴェルディの「オテロ」とは違っています。筋書きについてはいつもどおり省略させていただきますが、この時代の若い女性の立場、親の権威や周囲の無理解さに逆らうすべのない無力さに胸を締め付けられました。この点で現代風な演出との食い違いが気になりました。侍女のエミーリアはデズデモーナの相談役として、二キテウも存在感のある歌唱。オテロのオズボーンは3年前のミラノスカラ座「湖上の女」以来でしたが、あの時もフローレスに負けない歌唱と演技でした。オテロも期待にたがわず素晴らしいパフォーマンス、力強い高音。この1か月後の東京でのリヨン歌劇場日本公演「ホフマン物語」も俄然楽しみになってきました。

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 ザルツ最後のオペラも終わりました。私は昼ごはんのお寿司がまだ半分残っていましたので、ホテルに戻りましたが、友人はひとりでレストランへ。人懐っこい彼女はレストランで同じく独り客の日本女性に声かけて同席されたとかで、楽しい食事だったようで、ほっとしました。このように独りでの旅での出会いも愉しめるようになってほしいです~。


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コメント 4

kikuko

ロッシーニの「オテロ」をオズボーンでご覧になったんですね。羨ましい。私はヴェルディの「オテロ」より好きです。ペーザロではフローレスがロドリーゴでしたので、なぜあんなに嫌われるかわかりませんでした。オテロはクンデでよかったのですが、デズデモナ(名前忘れました)がアウト。バルトリとは超羨ましい。
 ずいぶん偉そうな「先生」ですね。本当に立派な方ならそういう態度はとらないと思います。学生のとき、毎回、助手に扉を開けさせて、講義室に入ってくる「教授」があらせられました。
by kikuko (2014-07-22 14:20) 

はるる

 ロッシーニ「チェネントラ」に「オテロ」な日々いいですね。パリでのこの「オテロ」チケットとってたんですけど4月ジャル君にボストリッジ様来日とあって結局譲ってしまったので気になっていました。スピノジさんの爽やかで上品は指揮姿好きだったんですけど・・・。オズボーンますます聴かなくちゃ、ですね。
 聖霊降臨祭のザルツは行ってみたいと思いつつ実現せず。ザルツ自体も未踏なんで「魔笛の小屋」などぜひ見学しなくちゃ(笑)ですね。
by はるる (2014-07-23 09:20) 

alice

はるるさま、ザルツ未踏でしたら、来年は5月(22~25)がバロック祭です。バルトリのイフゲ二やセメレ、それにジャル君のコンサートも!おまけに豪華キャストのコンサートも(バルトリ、ネトレプコ、フローレス、マルトマン)。フローレスがオッフェンバック歌うのかしら?
ただし、残念ですがスピノジさんは振りません。
チケット料金は相変わらず強気ですが、期間が短いせいか夏の音楽祭より落ち着いた雰囲気なのは良いです。
by alice (2014-07-23 23:07) 

alice

Kikukoさま、確かにフローレスがロドリーゴだと振られ役に違和感ですね。アリアも魅力的ですし・・・。
オテロのオズボーンを聴いて、東京でのホフマン行かないつもりだったのに、これは絶対行かなきゃ~と言ってた方も。東京で聴かれてますますファンになったでしょうね。

あの先生はいったい何者なのか、今でも疑問なのです。ベルリンに飛ぶときもザルツブルク空港でお見かけしましたが、近寄らないようにしていました。友人もベルリンにも一緒かとビビッてましたが、違う便だったので
良かった~って(笑)
by alice (2014-07-23 23:27) 

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