五島列島のキリシタン教会を巡る旅(3-1)福江島 [2014初秋(五島列島カトリック教会群)]
10/2(木)
昨夜から心配していた天候ですが、この日は次第に晴れて良い天気になりました。朝食は和食か洋食のセットを選べるようになっています。和食のお魚が小さな鯵で質素でしたが、食後のコーヒーはまあまあ。簡素で小さなビジネスホテルでお部屋も狭いけれど、接客はいい感じです。
今日の予定は福江島を一日かけて、ほぼ一周します。まずは宿泊している島の東にある五島市から西南端まで横断(約1時間)して、井持浦教会を訪ねました。
☆井持浦教会
この教会の建っている玉之浦は五島にキリシタン迫害の嵐が吹き荒れた明治初期、唯一迫害を逃れた地区でした。1897(明治30年)フランス人宣教師ペルー神父の指導により建てられたレンガ造りの教会です。2年後にはペルー神父によってルルドを模した洞窟を作ることになり、五島の各地から岩石が集められ、教会の背後に設置。そしてルルドから取り寄せた奇跡の水を注ぎ、聖母マリアの像を設置しました。こうして日本で最古のルルドの泉が誕生したのです。 五島では初のロマネスク風の教会で有名だった初代の教会も建築後90年後の台風で大きな被害を受け取り壊され、1988年(昭和62年)に再建されました。
↓外観
↓隣の受付棟にあった昔の教会の写真。ファサードの頂には壁式の破風のものですし、ほかの部分も昔の方が趣があります。同じものに復元しなかったのは何故?
↓ 内部の写真はI先生の取材目的といえども禁止のところも多く、ここも微妙なので1枚だけパチリ。
↓ 日本最古のルルドの泉。泉の水もペットボトルに汲んできました。ちょっと土臭くてあまり・・・でした。
↓ 当初の予定にはなかった立谷教会跡地にも寄ってみました。
☆立谷教会跡
大村藩主の側近鶴田沢右衛門はキリシタンであったため五島藩に預けられ、この地立谷に幽閉されたのですが、そののち移住してきた人々と共にキリシタンの集落ができました。しかし明治建立の教会堂は1987(昭和62年)の台風の被害の後に自然倒壊。信者さんたちは近くの井持浦教会に通うようになりました。
↓道路からも見える墓地
↓ここから山道を数分歩くと立谷教会の跡。記念の祠とベンチが並んでいました。今でもお祈りに来られる信者さんがいらっしゃるのかしら・・・。聖母マリア像は立谷教会にあったもので、1999年に跡地を整備したときここに移されました。
↓黄色い彼岸花がまだあちこちに咲いていました。
離島の草深い地に残るクリスチャンのお墓と咲き乱れる秋の彼岸花は物悲しい風景でした。 そしてそんな感傷を振り払うように美しく広がる玉之浦湾や入り江を眺めながら、バスに揺られて北上。30分くらいで次の訪問地貝津へ。
↓ 刻々と変わる秋の空、それに呼応する海の色。貝津港に着くころは曇り空で、左に見えるのは嵯峨の島。
☆貝津教会
大村藩から三井楽の他の地に移住した潜伏キリシタンが後に竹山集落に再移住してから貝津教会の歴史が始まりました。明治初期に迫害がここにも始まり責苦や牢に入れられました。禁教の高札撤去から半世紀後の1924(大正13年)、40戸の信徒たちにより木造の現教会が建てられ、使徒聖ヨハネに捧げられました。1962(昭和37年)増改築。三角屋根の小さな尖塔はこの時に付け加えられたものです。
↓ 内部は三廊式の空間で主身廊のベージュ色の木天井はモールデイングで菱形文様が施されて、
↓木造の柱頭もすっきりした植物や幾何学文様。色鮮やかなステンドグラスからの光が堂内を満たして、ため息が出る美しさ。
↓中央後陣
↓教会の傍は湿地帯のような雑木林が広がって。。。マムシも出そうな雰囲気(怖)。
貝津からさらに北へ数キロ走り、福江島の北西に位置する三井楽(みいらく)半島へ。
☆淵ノ元キリシタン墓地
前方に嵯峨の島が浮かぶ東シナ海を望んで、三井楽半島の北西にある淵ノ元の海岸。ここにはこの地で信仰を守って生きてきた村人を埋葬する墓地があります。孤立して海を背にして墓碑が並ぶ風景。信仰のため心を一つにして生きてきた人々の魂が眠るところですから、淋しいとか陰気とかという雰囲気はありません。海岸近くに降りてみますと、小さな白や紫の花が群生して、風に揺れて咲いていました。
↓忘れられたようにぽつんと立つ無縁仏(キリスト教ではなんというのかしら?)でしょうか。台座は蓮の花の和洋折衷型。
☆三井楽教会
三井楽には藩の移住政策以前の安永年間から外海より移住した潜伏キリシタンの子孫が住んでいました。五島崩れと呼ばれるキリシタン迫害の後、1880(明治13年)に初代の教会が建ち、増改築を繰り返して、1971(昭和46年)に現在の教会が建てられました。新しい教会ですから当初は見学の予定はなかったのですが、昼食の予約した時間に間に合いそうなので寄ってみました。
↓ ステンドグラスは珍しく説話が主題ですが、シンプルな表現のキリストや聖母マリアや天使たちが新しい聖堂にふさわしく、新鮮な空間を生み出しています。
ランチは「三井楽道の駅」内のレストランで。入口の看板に1080円のバイキングとあったので、美味しくはないかもと思ったのですが、食べてびっくり!品数も多く、家庭的なお味の煮物や酢の物も旨いし、五島名物の釜揚げうどんもお替り。こういうところでは写真を撮ってる暇もありません(笑)。東京では3000円はするわね~とツアーの皆さんも驚きの低価格。ですから予約しなければ席はなさそうなほど繁盛していました。
続きます~
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