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五島列島のキリシタン教会を巡る旅(4-2)奈留島~上五島 [2014初秋(五島列島カトリック教会群)]

10/3(金)~続きです。

 世界遺産になるならないは別にしても、古風で素朴な旧五輪教会は今まで見てきた下五島の教会群の中では、一番魅力がありました。船から名残惜しく眺めつつ、北東に隣接する奈留島へ。

 船からは木々に埋もれて見え隠れする江上教会。近くの船着き場から歩いて数分。台風が近づいているとの情報がありましたが、お天気も良く青く輝く海・・・大串湾のこの辺りは特に透明度が高く、桟橋から泳いでる魚も見えました。

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↓緑に囲まれた江上教会

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☆江上教会(国指定文化財)

 江上教会は1881(明治14年)に4家族が洗礼を受けたことで始まりました。この教会ができるまでは葛島の主任神父が信徒の家でミサを捧げていましたが、漁業で繁栄し人口も増えたため、1906(明治39年)に最初の教会が建てられました。その後、1918(大正7年)に地引網の利益で、鉄川与助の設計施工による現在の教会堂が完成。長崎県下の木造教会では最も完成された美しさを誇る建築として有名です。

↓正面外観。壁のペンキが少し退色したのも好ましく、控えめな風情があります。

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↓ここの特徴は屋根が重層。シンプルなロマネスク風持ち送り。

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 内部撮影は原則不可。I先生の取材も兼ねていましたので、入口からだけ撮らせていただきましたが、ここでは管理人さんのご迷惑になるので載せられません。身廊に張り出した小さなポーチ、三廊式。大アーケードや天井のリヴ・ヴォールトは半円アーチのロマネスク様式。木彫の柱頭彫刻は植物文様。大アーチ上部の壁面を飾るフリーズは複合半円アーチと統一されています。つくづく、ロマネスクの美は人里から離れたこのような景観に建つ小教会にこそふさわしいと。長い間追いかけてきた欧州の中世ロマネスク、こうして日本にもあるべきところに存在していたことに感動を覚えました。

↓近くにバス停はありましたが・・・1日(1時間ではありませんよ)何便か。

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↓ 道端のススキが風に揺れて・・・このあと疲れのためか、眩暈がして体調不良を自覚。

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 奈留島をあとに若松島へ。途中、キリシタン洞窟に寄り道しました。さきほどの眩暈が怖くて、岩場に降りて歩く自信がなく船に残りました。デッキで写真を撮ろうとしたらカメラの電池切れ。

☆キリシタン洞窟

 五島崩れのとき、若松島里ノ浦の信徒たちが、入り口を発見されにくいこの洞窟に隠れました。しかし、朝食を炊く煙を見つけられ、捕えられて拷問を受けました。いつしか、ここはキリシタンワンドと呼ばれるようなり、1967(昭和42年)、入り口の崖の上に3mのキリスト像が安置されました。

 岩場に直接船を寄せ、そこから上陸して見学するのですが、岩が波をかぶって滑りそう。見ているだけで怖いのに、大部分のツアーの皆さんは行かれました。大半がシニアの方たちですが、アクティブです~。断崖や洞窟の連なる険しい海岸線を眺めながら若松島の土井の浦へ。

☆土井の浦教会

 1916(大正5年)に中通島の大曽教会がレンガ造りに建て替えられたとき、木造の旧教会を土井の浦に移築(大正7年)。旧大曽教会は明治末の建築と推測されています。その後、1939(昭和14年)、1998(平成10年)に大改修、現在の姿は現代的なコンクリート造りです。

↓外観

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↓教会からの眺め

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↓ 内部は明治時代の木造建築の面影が残っています。蝙蝠天井と呼ばれる傘を広げたような、おおらかなカーブを描いて。

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 ↓ 午後の日差しがステンドグラスに差し込んで

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↓ 教会の周囲に咲く花。北海道では見かけない風船唐綿(ふうせんとうわた)

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↓これは?

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↓赤い彼岸花

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↓ ときどき見かけた黒い大きな蝶

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 大型台風が接近中とのことで、少し風が強くなってきました。若松大橋を渡り中通島へ。明日の予定だった中ノ浦教会を繰上げして見学しました。

☆中ノ浦教会

 中ノ浦は大村から外海の黒崎郷永田を経て、五島に移住してきたキリシタンの子孫とされ、明治初めの五島崩れでは日本人宣教師ガスパル与作の出身地が近かったせいで、とりわけ激しい迫害を受けたのです。その迫害に耐え信仰を守り、1925(大正14年)には教会堂が建てられました。鐘塔は1966(昭和41年)に増築。

↓ 深い入り江の奥に佇む白壁の木造教会

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↓ 内部は三廊式で側廊とは直線的な壁で仕切られて、柱頭を持たない円柱。側壁の上部に五島のシンボル椿の花のようなクロス模様が並んでいます。折り上げ天井。

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 朝の中ノ浦教会は橋を渡って対岸からの眺めが教会が水辺に映って、素晴らしいそうです。ただ明日は風が強くなるので波が立つと映しこみはできないでしょうとのこと。残念。

 中ノ浦で今日の教会巡りは終了。有川のホテルマリンピアに向かいました。このホテルにはコインランドリーがあります。食事の前に早速お洗濯。翌々日台風の高波のため本土との連絡船が欠航になったので、特に乾燥機が助かりました。海に囲まれた島だからでしょうか?湿気が高く、手洗いの後一日部屋干ししても乾かなかったのです。

 夕食は写真を忘れましたが、海のもの山のものとごちそうが並びが美味しくいただきました。昼間の疲れが残っていたのでしょう。背中が張って痛かったのですが・・・旅先での読書に夜中まで熱中してしまったのです。


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corsa

興味深いですね。いつか訪ねてみたいものですが、実現は、難しそう。なので、詳細なレポート、うれしいです。
まったく、よくぞ、このような場所に、こんなにたくさん、建てたもんですよね。
by corsa (2014-11-02 19:07) 

alice

corsaさま、五島列島巡礼マップによりますと、全部で53か所あるそうです。今回はそのうち教会が20か所と墓地や牢屋跡もいれて、25か所くらい回りました。
何分、過疎化が進んでいますので、信者が2世帯だけの教会もあり、これから維持していくのは大変だと思います。やはり、世界遺産とか文化財として残す方向にもっていかないと。

次回は来年外海(長崎や佐世保)の教会巡りがあるそうなので、また参加したいと思っています。
by alice (2014-11-03 01:41) 

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