(5)ウィーン [2018 冬の旅(ベルリン、ウィーン、トスカーナ]
2/27(火)
起床したときのTVではマイナス10度とのアナウンスでした。窓から外を見ると曇り空ですが、雪は降っていません。屋根に残った雪がやけに寒々しく・・・悪い予感。
↓ホテルの部屋からアン・ディア・ウィーン劇場の眺め
外出するころは少し上がるだろうと思ったのですが・・・時折吹く風の冷たいこと!体感温度マイナス15度くらいです。フードをしっかり被り、厚手のマフラーで顔の半分を埋めて歩きました。
↓国立歌劇場の横のピンクのウサギさんも凍えそうです。
↓ケルントナー通り側の呼び込み屋さんも着ぶくれ
シュテファン寺院横のDOM MUSEUM WIENへ行ってみましたが・・・今日は閉館でした。HPをチェックしてこの日はオープンしていると思い込んでいました。帰ってから確かめたところ月曜と火曜は休館です(私が悪い涙)。前回来たときは改修中でしたので、今回は楽しみにしていたのですが、残念。仕方なく厳寒の中街をぶらぶら・・・
↓お花屋さんの店先には水仙のリース。球根を付けたままなので凍らない?
↓数年前なら購入したでしょうね。パッヒャーの画集。
↓ユダヤ博物館前で写真を撮ろうとして、i Phoneをバックの外ポケットから取り出しましたが、氷のように冷たくなっていて、文字通りフリーズしていて画面真っ暗反応なし!この写真は別のカメラを取り出して(バックの内側だったのでセーフ)写しました。
↓i phoneも凍る暗くて寒いウィーンの街をとぼとぼと・・・。
↓寒さに耐えかねて飛び込んだカフェ、レトロな雰囲気でした。急に暖かいところに入ったのでレンズが曇ってしまいました。コーヒーとチョコレートタルトで一休み。
↓デーメル(アルべルティーナ美術館内の)でもケーキをいただきました。苺タルト
↓ついでに?お寿司とワインもいただきましたが、このおつまみ程度のお寿司が高くて驚きでした。でも他に食べたいものも見当たらず、仕方ありません。コーヒー込みで30.5€
アルべルティーナ美術館
過去3回ほど訪れていますが、寒いのでもう歩けませんから、ここに飛び込みました。暖かい、トイレは綺麗、レストランもありで、ここでのんびり過ごしました。
今日の特別展は二つ「ウィーンの水彩画家展」と「MONET TO PICASSO」。
↓ポスターにもなっている婦人像と子供たちの絵(ドイツ語なので詳細不明)
「モネからピカソへ」の展覧会はここのコレクションが主体のようです。いわゆる一級品ではないのかもしれませんが、それぞれの画家の特徴がうかがえる優れた作品が多く
↓上からドガとシニャックが二点
↓MARIE-LOUISE VON MOTESICZKY(1906~1996)「労働者」1926
ウィーン生まれの女流画家20歳の時の作品。父は音楽家の裕福なユダヤ人の家で生まれ育ち、将来を約束された画家でしたが、、ウィーンがナチの支配下になり、身の危険を感じた画家は展覧会のあったアムステルダムに1936年頃母を連れて行き、そこを経由してロンドンに亡命。残った彼女の兄弟はナチに虐殺されたという悲惨な過去があります。戦後はロンドンで個展も開かれ、有名になりました。指導を受けたベックマンやココシュカの影響が大きいです。
↓エミール・ノルデ「月夜」1914 ノルデも同じくナチに嫌われ、多くの作品を破棄されるという目にあっています。
↓ガブリエル・ミュンター「花と果物」1906
↓ポール・デルヴォー「灯りのある風景」1958
ほとんどがアルべルティーナの収蔵品とのことで、初めて目にした作品が多数。しかも名品が多く、有意義な時間を過ごせました。
さて、美術鑑賞は切り上げて宿に戻り仮眠。今夜のオペラは隣接の劇場なので、15分前に出て余裕です。
↓開演前、私の席から。Parterre Loges6 最前列148€
↓オーケストラ席には大きなチェンバロ
↓プログラム
♪~ヘンデル『Saul ソール』19:00~@THEATER AN DER WIEN
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Conductor : | Laurence Cummings |
Director : | Claus Guth |
Design : | Christian Schmidt |
Lighting : | Bernd Purkrabek |
Choreographer : | Ramses Sigl |
Chorus master : | Erwin Ortner |
Dramaturge : | Yvonne Gebauer |
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Saul : | Florian Boesch |
Merab : | Anna Prohaska |
Michal : | Giulia Semenzato |
David : | Jake Arditti |
Jonathan : | Andrew Staples |
Abner : | Marcel Beekman |
High Priest : | Marcel Beekman |
Doeg : | Marcel Beekman |
Witch of Endor : | Ray Chenez |
Amalekite : | Quentin Desgeorges |
オーケストラ:フライブルグ・バロック管 合唱:アーノルド・シェーンベルクコーラス
このヘンデルのオラトリオは英語で歌われますので、一般的にサウルといわれる王はソールと英語読みになります。旧約聖書のなかでも有名な英雄ダヴィデ(ダーヴィット)が巨人ゴリアテを倒した後の物語で、サウル(ソール)王といえばすぐ目に浮かぶのはレンブラントの絵画なので下に貼っておきましょう。
開演前にまたもや支配人?が出てきて「プロハスカが・・・・」というので、冷っとしましたが、最後に観客が笑うのは一昨日のベルリンと同じパターンです。それで調子が悪いだけなんだと一安心。その通りでこの公演で唯一のスター(私の知ってる限り)ソプラノのアンナ・プロハスカがキャンセルでは困ります。彼女は風邪でも引いたのでしょうか・・・やはり声の調子がいまいちでした。しかし、芸達者な彼女がからんだことでこの演出は素晴らしいものになったのは確かです。
演出のクラウス・グースの舞台は何度か観ていますが、苦手なかたでその都度悪口を書いてきました(汗)。でも今回の舞台でやはり鬼才であったと見直しました。素晴らしい~!の一言。細かいことは切りがないので割愛させていただきますが、ソールのディヴィットに対する激しい嫉妬から精神が壊れていくさまがひたひたとバロックの通奏低音と絡み合って表現されて、文句のつけようもありません。ソールの娘や息子たちとディヴィットとの関係も民衆の扱いも秀逸でした。
指揮のカミングスは初めてでしたが、息の合ったフライブルグ・バロック管とともにアン・ディア・ウィーン劇場の空間を素晴らしい古楽の調べで満たしてくれました。
ディヴィットは注目のカウンターテナーJake Ardittiですが、この難役を見事にこなしました。Arditti って聞いたことのある名前と思ったら、あのアルディッティ弦楽四重奏団の創始者で第一バイオリンの方の息子さんらしいです。これからの活躍が期待できそうです。
↓カーテンコールで。合唱団の皆さん
↓ソール役のFlorian Boesch
↓ディヴィット役のJake Arditti
↓メラブ役のAnna Prohaska
↓マイカル役のGiulia Semenzato
それぞれ大喝采を受けていました。2夜続けてそれぞれ素晴らしいヘンデルを聴けて「嬉しい~!!」と足取りも軽く隣のホテルに戻りました。
2階にセルフサービスのカフェ・コーナーがあるので、熱いお湯をいただいて部屋でカップラーメンの夜食を済ませ就寝。オペラの旅は今夜で終了。明日はイタリアのピサに移動します。
↓レンブラント「サウルの前で演奏するダヴィデ」1629頃(62×50)フランクフルト/シュテーデル美術研究所(絵葉書)
予習CD:Amazon Unlimitedの会員なので、ルネ・ヤコプス&コンチェルト・ケルンの盤をパソコンで聴きました。
(4)ベルリン~ウィーン [2018 冬の旅(ベルリン、ウィーン、トスカーナ]
2/26(日)
Berlin11:00→Vienna12:20(AS)
Hotel Beethven Wien2泊(バスタブ付き朝食込347€)
テーゲル空港まではタクシーで。ベルリン市内を流れるシュプレー川の支流または運河でしょうか?空港までの道路に沿った川は上を歩けそうなほどビシッと凍結していました。
フライトは順調にウィーンに到着。シティ・エアポートの往復切符(21€)を購入して、乗車。ミッテ駅からは地下鉄で2つ目がカールスプラッツです。エレベーターでセセッションの横に出て、ホテルへは200メートルほどです。鉛色の空、ベルリンよりも寒いかもしれません。
ウィーンでの定宿ホテル・ベートーヴェンには前回は3年前に宿泊していますが、この間の改装でややモダンな設えになっていました。事前にBooking.comで予約した部屋にはバスタブが付いていなかったので、到着してから変更してもらいました。以前はシングルでバスタブが付いた安い部屋があったのですが、満室だったのか改装して無くなったのか・・・。シーズンオフなのに円安ということもあり、かなり割高になりました。
↓隣のアン・ディア・ウィーン劇場の見える部屋
遅くなったランチはナッシュ・マルクトのアジア食堂で。↓海老スープ麺、春巻き、寿司のセットメニュー。安くて美味しく、残らず平らげました。
ビールも飲んだので、ぐっすりお昼寝タイム。夕刻起きだして、国立歌劇場に向かいました。
今回の旅のオペラは昨日鑑賞したべルリンの『トリスタンとイゾルデ』が第一の目的だったのですが、思いがけずウィーンでバロックのオペラ!を2演目!!観られるという幸運に恵まれました。1.Rang Loge Links 最前列151€
↓開幕前に
♪~ヘンデル『ARIODANTE/アリオダンテ』@WIENER STAATSOPER 18:00~
Conductor | William Christie |
Director | David McVicar |
Design | Vicki Mortimer |
Lighting | Paule Constable |
Choreographer | Lynne Page |
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Ariodante | Sarah Connolly |
Ginevra | Chen Reiss |
Dalinda | Hila Fahima |
Polinesso | Christophe Dumaux |
Lurcanio | Rainer Trost |
Il Re di Scozia | Wilhelm Schwinghammer |
コーラス:Gustav Mahler Chor オーケストラ:Les Arts Florissans
バレエ:Wienner Staatsballett
2001年春、パリ・ガルニエで観て以来ですから17年ぶりのアリオダンテです。ミンコフスキvsクリスティ、オッターvsコノリーといったところでしょうか。バロックは小さめの劇場で観たいのですが、クリスティーはチューリヒやアン・ディア・ウィーンで聴くことが多く、それぞれ優れた演奏でした。それで始まるまでは不安でしたが、幕が上がると古雅な調べが流れ、古楽好きな私はすぐに溶け込めました。コンサートマスターはヒロ・黒崎(久しぶり!)そして演出はマクヴィカーです。素直に時代背景も17世紀で、華麗な衣装や音楽に合わせてのコミックなバレエ(秀逸!)など、舞台いっぱいに展開され、存分に楽しめました。タイトルロールのコノリーはClaironやBranganeで聴いてきましたが、バロックは初めて。やはりオッターに比べるとドラマチックな個性が薄く、そうなるとやや退屈になってしまいます。困ったのはGnevraのチェン・リス、特に第一幕のアリアは酷くてどうなるかと・・・ただ美人なので、このバロックの衣装が凄く似合っていて、引っ込め!とは思いませんでしたが(笑)悪役のPolinessoはズボン役ではなくて、カウンターテナーのドゥモー。リールとザルツでもTolomeoを聴きましたが、横恋慕役がはまります。それとフレッシュなDalindaのFahimaとのコンビが主役のカップルを圧していました。手摺についた翻訳機に日本語があるのに初めて気が付きました。ただこの寒い時期でもあり、日本人はほとんど見かけませんでした。
↓ほぼ満席の熱いカーテンコール。
DalindaのFahima(イスラエル出身)
↓プログラム
幕間に美味しいカナッペやケーキを食べたので、夜食は必要なしでした。暖房は以前と変わらず放熱器タイプなので、最大にしても22度くらいにしか上がりません。バスタブつきにして正解でした。熱い風呂に入って軟弱な腰を労わりつつ就寝。
参考CD/Handel 『ARIODANTE』
指揮:MARC MINKOWSKI
ARIODANTE:ANNE SOFIE VON OTTER
GINEVRA:LYNNE DAWSON
POLINESSO:EVA PODLES
DALINDA:VERONICA CANGEMI
LURCANIO:RICHRD CROFT
IL RE DI SCOZIA:DENIS SEDOV
コーラス&オーケストラ:LES MUSICIENS DU LOUVRE
1997年ライブ録音@Theatre de Poissy
(3)ベルリン [2018 冬の旅(ベルリン、ウィーン、トスカーナ]
2/25(土)
今日も冬の青空が広がる良い天気ですが、昨日にもましてマイナス6度と寒く、外出するのが躊躇われます。しかし私の故郷の道北の町は北海道の中でもかなり気温の低いことで知られていますから、マイナス30度くらいは体験済みです。子供時代は学校が休みになって嬉しかった記憶も・・・「こんなんで、だらしなさ過ぎ~!」と自分を叱りつつ、100番のバスでライヒスターク(国会議事堂)の見学に行ってみました。
以前放送大学の科目履修で美術の講座をとっていたとき、クリスト&ジャンヌ=クロードの梱包アートのビデオで、ここが白い布に包まれた様子が印象に残っていました。
↓NETから拝借した、1995年当時話題になったプロジェクトです。
ビデオでは国会議事堂の前は芝生がひろがっていたのですが、20年以上も年月が経つと↓のように観光客用のブースもできて、様変わり。
おまけに今予約しても4時にならないと見学できないとのこと。4時にはオペラも始まってしまいますから、無理です。
ここもNETで予約できたのかもしれません。ペルガモンで並んでいた人たちをNETで予約すればいいのにと軽んじた自分を恥ずかしく思いながら、ブランデンブルグ門のほうへ。途中ガラスの壁があり人が出入りしています。
↓「Sinti und Roma Denkmal」ナチ政権下で迫害にあったジプシーの人たちの記念碑です。
門をくぐってみますと円形の池のようなプールがあり、この寒さで水は凍っています。その上に白い薔薇が捧げられています。迫害はユダヤ人だけでなくジプシーの人たちにも及んでいたことを改めて知りました。何人かの見物の人たちが居ましたが、無辜の人たちを襲った悲劇を想いみな無言。静寂。この小さな記念碑はダニ・カラヴァンの設計です。彼の作品は札幌郊外の芸術の森美術館の野外にもあったと記憶しています。
重い気持ちを抱えながら歩いていましたら、木々の陰からの可愛らしいリスの姿にほっこり・・・円山のエゾリスと違って赤茶色で一回り大きく、人懐っこく餌をもらっていました。
↓1993年娘たちとここに立ったことを思い出しながら・・・ブランデンブルグ門。
↓戦勝記念塔が見える旧西側
↓この寒い時期でも観光客で大賑わい(旧東側から)
↓ イギリス大使館の横を抜けて「Memorial to the Murdered Jews of Europe/虐殺されたヨーロッパのユダヤ人のための記念碑」(2005年設置)へ。バスやタクシーの中から何度か見かけていましたが、初めての訪問。墓石のようなコンクリートが並び、左方向にポツダム広場のビル群、ティア・ガルテンの森が正面に広がっています。
地下に資料館があり、降り口で係員が入場者をチェックしていましたので、何となく面倒になってパス。ハンナ・アーレント通り(最近名のついた?)のカフェで寒さを温かいココアでしのぎ、またぶらぶら歩き。
↓ジャンダルメン広場のコンツェルト・ハウス
バロックの大教会も並ぶ上記の広場からホテルへは数分です。寒さに負けずかなり歩きました。休息後、オペラへ。完売の中、まさに僥倖といえる戻り券をゲットできたオペラです。席は1.Rang Links前列162€
♪~Richard Wagnerワーグナー『Tristan und Isoldeトリスタンとイゾルデ』16:00~@Staats Oper Unter
den Linden
Conductor | Daniel Barenboim |
Director | Dmitri Tcherniakov |
Sets | Dmitri Tcherniakov |
Costumes | Elena Zaytseva |
Lighting | Gleb Filshtinsky |
Chorus master | Martin Wright |
Dramaturge | Detlef Giese |
~ | |
Tristan | Andreas Schager |
König Marke | Stephen Milling |
Isolde | Anja Kampe |
Kurwenal | Boaz Daniel |
Melot | Stephan Rügamer |
Brangäne | Ekaterina Gubanova |
Ein Steuermann | Adam Kutny |
Stimme eines jungen Seemanns | Linard Vrielink |
コーラス:Staats Opernchores オーケストラ:Staatskapelle Berlin
開幕前に劇場の関係者が出てきて…こういう場合はキャスト変更などが多く、いつもドキリなのです。ドイツ語は全然ダメなので「アニア・カンペ」だけ聞き取れ思わず天を仰ぎました。ただ、最後に何か言って観客が笑ったので、何とか歌いそう~とほっとしました。この新演出はチャルニアコフなので覚悟していましたが、第一幕は現代の豪華客船が舞台です。船員たちもトリスタンもビジネスマン風で、がっかり・・・。でも若々しいシャーガーやカンペのパフォーマンンスにバレンボイムの劇的なワーグナー!!いつもながら最後まで(特に第3幕のシャーガーが素晴らしい)集中度の高い公演に大満足の夜でした。カンペは初めは抑え気味でしたが、さすがにステンメと共にワーグナーソプラノの実力人気を二分する歌い手、最後まで見事に歌い切りました。
7年間の修復を終えて、昨年10月に再オープンしたウンター・デン・リンデン歌劇場ですが、以前来た時は2008年で忘却の彼方・・・もちろん新しくはなりましたが構造はどこがどう変わったのかよくわかりませんでした。1フロアの婦人トイレが2か所しかないのも同じでは?トイレは新しく増設されることが多いので不満です。
↓開幕前にメンバーの会合?につかっていた豪華なシャンデリアの部屋は幕間にはバーになって、事前に飲み物など予約できます。私はメニューの写真を見てオーダーしたカナッペが大きくて食べきれず(しかも美味しくない)、同じテーブルの同年代の女性に助けていただきました。この方は日本に来たことがあって自然団体(森を守る会?)の活動をされていて岡山にも行かれたとか。ドイツの年配の方は英語を話す方は少ないので(私は片言ですが)、楽しいひと時でした。
↓私の席から
↓地味なプログラム。本物の色は黒に銀色なのですが、不鮮明なので変えました。
観劇の熱気が冷めやらず、夜の寒さもあまり感じずにホテルに戻りました。部屋に湯沸かし器が付いていますので、カップ麺の夜食。明日はウィーンに移動です。
(2-2)ベルリン [2018 冬の旅(ベルリン、ウィーン、トスカーナ]
~続きです。
アッシリア美術の展示室には初期~中世キリスト教関連の展示もありました。
↓イヤリング?鳩とクロスのゴールドにバロック真珠が綺麗です
↓スペイン系の板絵のようです(詳細不明)
最後はイスラム美術の展示室ものぞいてみました
↓象牙のホルン(10~12世紀)とケース(11世紀/シチリア島)
↓「家禽またはペリカンの浮彫」ペリカンはゾロアスター教徒に人気のあったモチーフで、悪魔と戦う鳥と信じられていたそうです。
↓3階の展示室から眺めたバビロンの復元ストリート
↓最後はイスラムの「Mschattaファサード」ヨルダン。ウマイヤ王朝時代734-744の建造
↓近寄ると細かい彫で埋め尽くされているのが分かります。
ここまででほぼ2時間…フルオープンしたらランチをはさんで丸一日はかかりそうです。
外に出ると厳寒の中を20人ほどの行列ができていました。携帯電話で予約できるのを知らないのでしょうか?
時折吹く風は札幌でもめったにないほど凍える冷たさ。フードをかぶりマフラーに顔を埋めるようにして歩きました。
↓明日観劇予定のウンター・デン・リンデン歌劇場
ランチはウンター・デン・リンデン大通りに面したドイツ料理の店で。10年前にも入ったことがあったので懐かしく、↓ベルリナービールとソーセージ、ザワークラウトもたっぷりでした。
ホテルに戻り仮眠後、歌劇場の向かいから200番のバスでフィルハーモニーへ。寒い時期なのでGフロアーをはじめ各フロアにも臨時のコート預けができていて、並ぶこともありません。さて、今夜はチケットをとるのに大層苦労した(最後はプロにお願いして)コンサートです。席は上階Dブロックですが最前列でした。(111€+手数料6500円)
♪~ベルリンフィルコンサート(指揮:サイモン・ラトル ピアノ:バレンボイム)
今夜のプログラムはドヴォルザーク『スラブ舞曲』~バルトーク『ピアノコンチェルトNO.1
』~休憩~ヤナーチェク『シンフォネッタ OP.60』というSuccessful Musical Exports from South-Eastern Europe(日本では東欧と呼ばれる国々の作曲家)を取り上げた演奏会です。
以下の解説はBERLINER PHILHARMONIKERのデジタルコンサートから~
>ダニエル・バレンボイムとベルリン・フィルとの長い芸術的パートナーシップは、バルトークのピアノ協奏曲第1番から始まりました。1964年6月、ブーレーズ指揮ベルリン・フィルとの初共演で彼にこの曲を弾くよう強く勧めたのは、当時楽団のインテンダントだったヴォルフガング・シュトレーゼマンでした。バレンボイムは早速楽譜を取り寄せ、当時まだ演奏されるのが稀だったこの協奏曲にすぐに愛着を抱くようになります。バルトークはこの第1ピアノ協奏曲を古典的な3楽章形式で書きましたが、ピアノの役割はそれまでの協奏曲とまったく異なります。ピアノを打楽器として位置づけ、エネルギーに満ちた舞踏的な性格をこの楽器に与えたからです。バレンボイムは以来頻繁にベルリン・フィルに客演してきましたが、この協奏曲をソリストとしてベルリン・フィルと共演するのは1964年以来今回が初めてです。
サー・サイモン・ラトル指揮の当演奏会では、このほかドヴォルザークのスラブ舞曲集 op.72が取り上げられます。ドヴォルザークは第1集にあたるスラブ舞曲集 op.46で国際的な名声を獲得しますが、その数年後に発表したこの第2集ではチェコ以外のスラブ地域の舞曲も取り入れました。第1集に比べて、メランコリックで内向的な曲を収めているのが特徴といえます。ラトルとベルリン・フィルはこれらの作品を単独では頻繁に演奏してきましたが、第2集をまとめて取り上げるのは稀です。
メインの演目は、チェコを代表するもう一人の作曲家、ヤナーチェクのシンフォニエッタ。ラトルはこの作曲家に特別の愛情を抱き、すでに《利口な女狐の物語》、《イェヌーファ》、グラゴル・ミサなどを取り上げてきましたが、シンフォニエッタをベルリン・フィルで指揮するのは2007年以来久々となります。金管楽器による輝かしい冒頭のファンファーレは、1926年に「ソコル」体育協会の祭典のために書かれ、ヤナーチェクは後に5楽章の管弦楽作品へと拡張させました。当時建国間もないチェコスロバキアへの愛国心と彼の故郷のブルノへのオマージュが込められたこの作品は、フィナーレに至るまで力強く、熱狂的に鳴り響きます。<
この3曲の組み合わせの妙はラトルの熱の入った指揮とともに最高の相乗効果で迫ってきました。ラトルも今期いっぱいでベルリン・フィルから退くことになります。バレンボエムとの共演も音楽監督としては最後の共演かもしれません。お二人で盛り上げたベルリンの音楽シーンの素晴らしさをあれこれ思い出さずにいられない夜でした。
ところが、帰途は大チョンボ!!ボーッとなっていたのでしょうか・・・バスが来た!と慌てて乗ってしまいました。お得意の?反対方向乗車(汗)。しかもすぐ降りるにしてはティア・ガルデンの暗い道が続きますので、降りても反対方向のバスを待つのは怖い・・・明るい道に出てインターコンチネンタルHが見えたので降車。結局タクシーでホテルに戻りました。(12€)
夜食はホテルのバーで赤ワインとクラブハウス・サンドイッチ(日本の4倍くらいはある)を1/2は頑張って食べました。部屋に戻り、大きなバスタブでゆったり温まり就寝。
(2-1)ベルリン [2018 冬の旅(ベルリン、ウィーン、トスカーナ]
2/24(土)
昨夜はベットに入ってから「さて、明日は何処に行こうか?」と思案。ベルリンも今回で8回目くらいになり、美術館も現在修復中の現代美術館を除いてはほぼ訪問済み(主要なところは複数回)です。この寒さでは(マイナス6度から10度)あまり遠出はできません。前回行列で入場できなかったぺルガモン博物館へ行くことに決めて、HPから11時に予約もできました(12€)。これで念願のアッシリア美術も観られそうと安心して、熟睡・・・の筈でしたが、早朝3時には目覚め6時ごろまでウトウト。
朝食は予約済みでしたが手違いがあり、レセプションでごたごた。昨夜も見せたBookinng.comの予約書を部屋から持ってきて、再度確認後ようやく納得してもらいました。昨日は機内食が唯一のまともな?食事でしたから、空腹でもあり不機嫌な私でした。
↓ブッフェの朝食
札幌より寒く感じるのは雪がないせいでしょうか?まぶしいほどの青空が広がるベルリンの冬の朝。肝心の毛糸の帽子を忘れてきてしまい、フードをすっぽり被って10時半ごろ外出しました。
↓ホテルの前には赤煉瓦の新古典様式フリードリヒス・ヴェルダー教会(19世紀:カール・フリードリッヒ・シンケルの設計)
↓教会の右横は小さな広場(ベルリンのシンボル?熊たち)
↓熊の広場から見たホテル
徒歩数分の博物館島へ。↓帰りに余力があれば寄るつもりだった旧博物館・・・。
ペルガモン博物館Pergamonmuseumは土曜日だというのに、この寒さでは誰も並んでいません。時間前でしたがi Phoneから予約画面のコードを読み取って即入館できました。1993年に母娘3人で訪れて以来ですが、今回は大規模な修復中とあって超目玉の「ゼウスの大祭壇」は観られません。
↓バビロンで出土された「イシュタール門」新バビロニアの王ネブカドネザル2世(在位BC605~BC562)の建造。彩釉煉瓦による浮彫装飾。
↓「ミレートスの市場門」小アジア、イオニア地方の古代都市の遺跡
↓「オルフェスのモザイク」2世紀 個人の邸宅食堂跡から出土、自然石とガラス製。
↓ローマ時代の遺跡を飾っていた美しい模様の数々。後のキリスト教の聖堂にも転用された装飾文様。
このあたりから中近東美術部門のアッシリア関連展示へ進みます。
↓アッシリアの王アザルハドン(BC7世紀)の勝利の碑の浮彫
上のレリーフのトップ右に月と太陽(有翼 後にアッシュール神となる)
↓上の部分のデッサン(NETから拝借)
↓ずらりと並んだメソポタミア北部のテル・ハラフの神殿跡から出土された浮彫「有翼の動物や一角獣など」
↓中央の「一角獣」のアップ
↓ 同じくテル・ハラフ出土の「大きな鳥像」
↓「牡牛の狩猟」BC9世紀ごろ。 右の3頭の馬は伊のタルクイニアの博物館で観たものによく似てます。
↓「精霊/部分」の持つバックにも楔形文字がびっちり刻まれています。祈りの言葉でしょうか?
続きます~
(1)札幌~ベルリン [2018 冬の旅(ベルリン、ウィーン、トスカーナ]
夫が昨秋11月に天に召されてから3か月経ちました。覚悟していたとはいえ空虚な気持ちを抱え、同居の長女とひっそり暮らす毎日でしたが、2月からはマンションの大規模修繕が始まり、暗く騒音の煩い我が家から逃れるように旅に出ることにしました。
音楽ではすでに完売していたベルリンのコンサートとオペラのチケットを幸運にもゲットできたことが後押ししてくれました。ロマネスクではかねてより、私の好きなピサ様式の聖堂を巡りたいとの想いがありましたので、スケジュールはすんなり決まって出発ということになりました。
☆旅程 2/23~3/6(10泊12日) 札幌~ベルリン(3)~ウィーン(2)~ピサ(2)~ルッカ(1)~ポルトヴェーネレ(1)~ピサ(1)~札幌
☆MAP
2/23(金)千歳9:30→羽田11:10/12:45→ミュンヘン16:55/19:00→ベルリン20:10
ベルリン3泊 ARCOTEL J F Berlin 3泊 (朝食込99€×3=297€)
出発まで準備の時間が少なかったので、当然JALの特典航空券の空席はすでになく、今回初めてANAのミュンヘン便を利用しました。千歳空港からベルリンまでバッケージスルーできましたが、ミュンヘンからベルリンまでのルフトハンザ便の発券は羽田のカウンターでしなければなりません。しかもその手続きに手間取り、ANAの係員が遅くなって申し訳ないと手荷物検査場(速)まで付き添ってくれました。
いつもより朝の出発が遅く、通常では羽田乗り換えは余裕のある便です。ただし、JALのエコノミー席より狭い?のか窮屈なのが難点。コーヒーだけで自宅を7時半に出てから機内食の出る2時頃まで何も食べていなかったので、機内食は美味しく完食しました。機内はほぼ満席で、外国人の観光客が増えているのでしょう。日系の航空会社でも数年前とは比べ物にならないほど外国人の比率が高いと感じました。
さて、13年!ぶりのミュンヘン空港に到着。乗り換え時間を利用して、とりあえずビールを飲まなくちゃ~ときょろきょろ。素敵なビアバーがありましたが、↓お寿司の値段を見て眼が点!
結局は搭乗口近くのバーでビールとおつまみをいただいてから、ルフトハンザ機でベルリンへ。
テーゲル空港からはタクシーで凍てつく夜のベルリンの街を走り、ホテルへ。ホテルは連邦外務省の隣に建つ新しいホテルです。(チップ含めて25€)
部屋も広くバスタブ付、なによりも暖房が効いてて暖かい~。
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