(10-2)ピサ(グラード) [2018 冬の旅(ベルリン、ウィーン、トスカーナ]
~続きです。
ピサからアルノ川に沿って7Kほど南西に走ります。グラードは空港にも近い小さな町ですが、その西の結構交通量の多い道路に面してサン・ピエトロ・ア・グラード教会が建っています。広い敷地にどっしりと根を張ったような姿が印象的です。
☆サン・ピエロ・ア・グラードSan Piero a Grado教会
またはサン・ピエトロとも呼ばれ、トスカーナ・ロマネスクのなかでも重要な教会として知られています。今にもまた冷たい冬の雨が降ってきそうな灰色の空、見学者の姿はありませんが、扉は開いていました。下にプランを貼りましたが、ファサードを欠く2重の内陣構造になっています。以前訪れたサルディーニャ島の北に位置する港町ポルト・トッレスの教会と似ています。距離的にもそう離れていませんし、何らかの関連があるのかも・・・。
↓プラン/東側に初期キリスト教時代の遺構が残されています。
↓ 西側の内陣/北側祭室には1100年頃に描かれたフレスコ画が残っています。
↓西側内陣/南側祭室
↓身廊の壁面に描かれたフレスコ画は1300年頃に描かれたもの
↓洗礼盤(詳細不明)
↓東側内陣にはこの地に上陸した聖ペテロが説教をしたと言われる場所にチボリウムが置かれています。
↓外観/南扉口。この地に元々あった古代ローマ時代の遺跡からの転用でしょう。
↓塔のある東側外観
↓オリジナルは高い鐘塔だったと思われます。
↓道路側に面した西側後陣。ロンバルディア帯の装飾や古びたレンガの風合い。古い歴史を感じるバジリカでした。
待ってもらったタクシーでピサのホテルまで戻りました。間もなく夕方ですが、今夜が最後のイタ飯なのですが、疲れからかあまり食欲もなく、ホテルロビーに設置してある電子レンジを使ってレトルトの五目御飯と朝食室から熱湯をもらってカップうどんという貧しい食事。。。旅も明日の半日のピサ観光を残すだけとなりました。
(10-1)ポルトヴェーネレ~カッラーラ~ピサ [2018 冬の旅(ベルリン、ウィーン、トスカーナ]
3/4(日)Portovenere8:57(バス)→La Spezia9:30/10:00(列車)→Carrara-Avenza10:45/13:03→Pisa14:00
ピサ/LH PISA 1泊(バスタブ、朝食込 92€)
↓ポルトヴェーネレの早朝、寒くて目が覚めて
朝焼けだから、きっと今日は晴れると喜んで、もう一度ベットに入りウトウト。
朝食は袋入りのパンとコーヒーだけの簡素なもの。近くにカフェもあると言われたのですが、寒さに震えながらシャワー、朝シャンを済ませ、鍵を部屋に残し出発。
↓ポルトヴェーネレの朝(バスストップの近くから)。見学を諦めたサン・ロレンツォ教会の鐘塔が見えて、ちょっぴり後悔。
「バスのチケットは車内では売らないよ」と、バスが動いてから言われても・・・すると回数券を持っていたご婦人が譲ってくれました。定価でお支払いしました(2€)
バスは途中までは来た時とは違う道(狭い通りなので一方通行になっています)をしばらく走ります。つづら折りに揺られながら、ポルトヴェネーレのカラフルな建物が並ぶ港町を名残惜しく遠くに眺めました。
ラ・スペッツア駅の近くで降りたつもりでしたが、私の勘違いだったようで、またバスに乗らなければならず、チケットを売っている店も近くにはないし、結局タクシーを拾って駅へ。
LA SPEZIAからCARRARA-AVENZAまで3.5€
↓カッラーラの駅に降りるとホームから白い大理石の山が見えました。
この沿線は大理石の工場が多数並んでいます。カッラーラは古くから知られた大理石の都で、鉄道駅から離れた山側にあります。行きはタクシーで向かいました(約10€)小さな広場から先はタクシーは入れないとのことで、徒歩で200メートルほどの大聖堂へ。この日は日曜日で静かな通り・・・。
↓角を左折すると
☆カッラーラ大聖堂Duomo di Carrara
11~14世紀に建てられたロマネスク=ゴシック様式の建築です。カッラーラ産の大理石を白と灰色の縞模様に組んだのが、いかにもピサ様式。ファサード下部の小アーチは12世紀、上部の小開廊と中央の薔薇窓がゴシックのようです。
↓ファサードの扉口
↓南側面の扉口
↓後陣と鐘塔
↓後陣の上部に並ぶ円柱や窓を飾る動物たちの浮彫
↓特に目立ったのは東南の角に廻らされた浮彫装飾の動物たち
↓内部は三廊式/日曜のミサが行われていました
↓最後に華やかな薔薇窓を撮って
↓ドゥオーモから伸びる狭い通りを抜けて
小さ広場に面したバールでチーズとハムをはさんだパニーニとカプチーノの簡単ランチをとり、バス停へ。1Kほどでしたがキャリーをひいて歩きました。歩道は大理石を敷き詰めてあって石畳よりは歩きやすかったので良かったのですが、バス停が少し引っ込んだところにあるので分かりづらい・・・。それでも10分ほど待つと、時間表通りでバスが来ました。バスの切符はまたもや売っているところが遠いとかで、諦めて乗車。運転手さんもいいからと見逃してくれて、無賃乗車でした。
↓ピサの駅前のホテルに戻ってきました。前回と違うやや高級感のある内装でバス付でした。
↓ひと休みの後、タクシーで郊外のGRADOグラードへ。続きます~
タグ:カッラーラ トスカーナ・ロマネスク
(9-2)ポルトヴェーネレ [2018 冬の旅(ベルリン、ウィーン、トスカーナ]
~続きです。
今回のロマネスク探訪はトスカーナ地方の西をメインに動きましたが、Portvenereだけはリグーリア地方の南に位置しています。LA SPEZIAは景勝地チンクエ・テッレ巡りのスタートの街として知られています。
LA SPEZIA駅で降りて階段を降りている時に、ハプニングが・・・後ろから押されたように思ったのですが(それほど混んでいないのに)気が付かず、下の通路からエレベーターに乗ろうとした時でした。荷物も持たない(旅行者ではないような)若い女の子が「エレベーターに乗るんでしょ」と手招きするので?と思い、断って左の階段から上がって行き、リュックを点検。あら~!チャックが開いていて、お財布を盗られそうになる寸前でした。駅員さんに怪しい女がいると訴えたかったのですが、見当たらず…まあ未遂なので面倒も避けたいと駅を出ました。
ここからPortvenereはバスがあるのですが、バスの発着場所が駅から遠く、時刻表もNETで出ませんでしたので、タクシー(定額で35€の看板あり)で。
タクシーはホテルの前の通りには入れないとのことで港の広場で降車。道を訊いたシニアの男性が同じ方向だからと一緒に行ってくれたのですが、建物の扉は閉まっています。私がうかつだったのですが、Booking.comで予約したとき到着時間を知らせていたので、問題ないと思い込んでいました。扉の小さなプレートに電話番号があったので、電話して数分。ようやく鍵を持ったオーナーさんが現れて部屋に入ることができました。ずーっと一緒に待っていてくれた親切な方に感謝でした。
小さなキャリーバックだったのですが地階(実際は3階にあたる)への階段があり少々不便。鍵も開け閉めが慣れないので、出入りするたびに何度もガチャガチャ・・・アパートのほかの部屋の方も迷惑だったでしょう。部屋は眺めの良いベットルームと窓のないリビングルームに分かれていて広く、家族連れでも4人は泊まれるようでした。部屋にはヒーターはついていますが、集合暖房なのでこれ以上は温かくならないそう(18度くらい)。最低でも23度の室内に慣れている身には過酷・・・涙。
↓ベットルーム
↓部屋からの眺め
暗くなる前に観光に出かけました。雨はやみましたが、気温は5度くらいと相変わらずパッとしない天気です。岬の突端を目指して歩きました。
☆サン・ピエトロSan Pietro教会
この教会のオリジナルは不明ですが、何度も改築されて現在の建築は13世紀後半にジェノヴァ風ゴシック様式で再建されたものです。
この時教会を出入りする人が見えたので、オープンしていると安心して、先に岬の風景や外の開廊など観に行きました。
↓右上に城跡が見えます
↓外開廊
そして教会の内部見学をと扉口へ。ところがほんの10分くらいの差で扉に鍵が・・・ガーン!この悪天候の中、私に続いて何人かがやってきましたが、首をすくめて去って行きました。諦めて街の散策がてらもう一つの目的のサン・ロレンツォ教会を目指しました。
↓崖の上の街です
↓頑張って途中まで上りましたが、迷子になりそう
↓にゃ~んと泣いて猫が現れますが、住人でないと分かって知らぬ顔
↓途中であきらめて、下のインフォのある広場に降りました。
↓明日のバスの時刻表を見に停留所へ。La Spezia行が何本かあり安堵
↓波止場近くを散策 泊まった部屋のある建物も並ぶ景色です
↓海沿いの道から
↓日が暮れてきましたので、宿に戻りました。
↓部屋から暮れ行くラ・スペッツア湾を眺めて
↓お昼は簡単なパン程度の食事だったので空腹です。暗くなってから宿の横から階段ををりていきますと、群青色の空が美しい~!
↓何軒もレストランは並んでいますが、半分は季節外れのため閉まっています。明るく賑やかそうなレストランへ
↓ところがお客さんは私一人(帰る頃ようやく一組やってきましたが)
↓魚介のフリットと野菜サラダ、デザートはアイスクリーム、ワインとコーヒーで37€でした。
さすがにカラっと上がったフリットはほとんど残さずいただきました。野菜サラダは量も多すぎて半分残してしまいました。観光地の食事は季節外れですし、こんなものかも・・・。
部屋の温度は上がらず寒いのでシャワーは明日の朝に延ばし、赤ワインの醒めぬうちにベットへ。
(9-1)ルッカ~ポルトヴェーネレ [2018 冬の旅(ベルリン、ウィーン、トスカーナ]
3/3(土)LUCCA12:59→LA SPEZIA14:31(7.6€)
ポルト・ヴェーネレ/La Casetta sul Mare Gusthouse 1 泊
↓ルッカの朝食 セルフのオレンジジュースに焼き林檎が◎
正午のチェックアウトまでぎりぎり観光するので、部屋に荷物を置きっぱなしで、相変わらずの雨のなか外出。
前日の記事に含めたサンティ・ジョヴァンニ・エ・レパラータ教会→大聖堂→大聖堂付属博物館と見学しました。
↓サンティ・ジョヴァンニ・エ・レパラータ教会の東側からの大聖堂の眺め。すっかり整備された感のある佇まい。1991年春頃はまだイタリア的な雑多な雰囲気が満ちていたような・・・季節や天候の違いもあるのかもしれませんが、少し淋しくなりました。
☆Cathedral di San Martino サン・マルティーノ大聖堂
オリジナルは6世紀に聖マルティヌスを奉じて建てられた教会ですが、8世紀には再建。現在の建物はロマネスク様式の11~13世紀のもの。その後内部は14~15世紀に改築されています。
ピサ様式の三層の小開廊を持つ非対称のファサードと奥に続くポーチ。
↓3つの扉口とその間のブラインドアーチに施された浮彫。テーマは「聖マルティヌスの生涯」や月暦など。
↓内部は三廊式で華やかなゴシック様式。カラフルで豪華な天井は27.5mの高さ
↓小さな八角形のIl tempietto del Volto Santo(15世紀)
↓ティントレット「最後の晩餐」1592-94
↓ギルランダイオと彼の工房による「玉座の聖母子と四聖人」1479
↓後陣の半円蓋ドームに描かれたフレスコ画は17世紀に描かれましたが、手前の木製タブローの磔刑クロスは12世紀のもの。
↓博物館の前からサンティ・ジョヴァンニ・エ・レパラータ教会を眺めて
☆大聖堂付属博物館Museo della Cattedrale
13~14世紀の建物の中にある博物館。思っていたより展示物が少なく、ロマネスク期のものも限られています。
↓リモージュのエナメル「聖トーマス・ベケットの生涯」から殉教の場面(13世紀初め)
↓2連のディプティック(文字盤)アイボリー製/6世紀
他にはミサの時に使う聖体容器(1174)など。
ここを最後にホテルに戻り、12時にチェックアウト。丁度駅に行く二人連れが居て、割り勘でタクシーに乗りルッカの鉄道駅へ。彼女たち(イギリス人)はジェノヴァに行くと言ってました。
寒い待合室で30分以上、本を読んで過ごしラ・スぺッツィアへ。続きます~
タグ:ルッカ トスカーナ・ロマネスク
(8-2)ルッカ [2018 冬の旅(ベルリン、ウィーン、トスカーナ]
~続きです。
☆サン・ミケーレ・イン・フォロSan Michele in Foro教会
守護天使サン・ミケーレに捧げられた教会はルッカの教会群の中でも、同名の広場に建つ堂々たる姿を見せて、圧巻です。1991年ツアーでルッカを訪れたときは、ここを見学した記憶がありません。でも、近くにあるプッチ―ニの生家は見学していますから、見逃すはずはないのですが・・・ロマネスクに興味も、またなんの知識もない頃でした。
↓外観/雨のため白大理石の外壁が黒ずんで写っています
サン・ミケーレ・イン・フォロのフォロとはローマ時代の公共広場のこと。現在でも活気のあるルッカの中心地です。1143年に建築が始まり14世紀になって完成。ファサードの上部は4層の小開廊が設けられ、
↓その頂には大きな聖ミカエルの像が建っています。
↓象嵌の豪華な装飾や小開廊の円柱の様々な意匠に目を奪われました
↓ファサード/中央扉口のタンパンの可愛らしい薔薇窓やラントゥ―の浮彫も素敵です。
↓内部/三廊式のバジリカ。華やかな外観から古風で簡素な空間へ。
↓内陣/タブローの十字架磔刑像(12世紀)
↓右翼廊/フィリッピーノ・リッピ「四聖人」
↓教会の北側/アーチの向こう側も街並みが続きます。
後陣は民家が迫り、写真は撮れませんでした。
☆サンタレッサンドロSant' Alessandro教会
オリジナルは9世紀と記録があるとのことで、寄ってみました。ロマネスク様式で11世紀に建てられたそうですが荒廃が進み(外壁など崩れて)、最近2000年前後に救済整備されました。
↓南側扉口/タンパンの彫刻はルネッサンス期のものでしょうか?
参考書にはかなり詳しい説明があったので(読めませんが)、もう少しロマネスクのものが残っていると思ったのですが・・・内部も鍵が閉まっていて、見学できませんでした。
次はルッカの南にある大聖堂付近を目指しました。徒歩10分ほどで
最初に現れたのは
☆サンティ・ジョヴァンニ・エ・レパラータSs Giovanni e Reparata教会です。17世紀に改築されていますが、元は12世紀の建物です。それ以前のバジリカや洗礼堂は発掘され、地下には考古学見学用の通路もあります。この日は見学時間が過ぎていて、翌日再訪問しました。
↓ファサードの扉口は創建時のもの(1187)
以下は翌日の記事ですが、サンティ・ジョヴァンニ・エ・レパラータSs Giovanni e Reparata教会はまとめます。
↓内部/ロマネスク様式の円柱が並ぶ三廊式で、古風な雰囲気を保っていますが
↓振り返ると入り口付近はここルッカの誇るプッチーニの大看板がデンと置かれています(笑)
ここで見学しなければならないのは北側に隣接する発掘現場です。
↓洗礼堂(大聖堂初期の建設部分)
↓横の階段を降りると初期キリスト教時代のモザイクや古代ローマ時代の遺跡を観ることができます。
ここサンティ・ジョヴァンニ・エ・レパラータ教会と大聖堂と付属博物館の3つはコンビネーション・チケットになっています(9€)。事前のチェックが甘かったので博物館の閉館時間でミスしてししまいましたが、この日にすべてを観るのは無理だったので、結果的にはオーライでした。
近くのバールでコーヒー&トイレタイムをとり、次の目的に向かって歩いてましたら小さな広場に面して
↓サン・ジュストSan Giusto教会です。ここはノーマークでしたが、ルッカの街角にはこんな感じで思いがけないロマネスクとの出会いがあります。
賑やかなサンタ・クローチェ通りを右折して数百メートル。大きな広場に面して
☆サンタ・マリア・フォリスポルタム Santa Maria Forisportam教会です。生憎雨が激しくなり、全体を撮るのが精いっぱいでした。内部も閉鎖され見学不可。初期キリスト教時代の洗礼盤があるとのことで残念でした。
13世紀にピサ様式で建立。上部は二層の小開廊を備え、下層美しい大理石のファサード。
↓扉口(左)はどこかで見たことがあると思ったら、参考書の裏表紙にありました。部分をスキャンしました。
ここからホテルへ戻りましたが、途中古代ローマの円形闘牛場だったという
↓アンフィテアトロ広場に寄りました。ちょうど雨が上がって
喜んだのもつかの間、また雨が降り出して・・・涙
↓アンフィテアトロ広場からホテルまでの街角スナップ
↓ホテル(ピンクの建物)が見えてきました。
夕食は疲れたので、ホテルのレストランで済ませました。i Phoneのカメラの容量オーバーで写せませんでしたが、プリモにブッラータの野菜添え、セコンドにラグーのパスタ、デザートはティラミスでした(3コースで30€+ワイン9€)。独りご飯なので、そこそこ美味しいものをホテルでいただけるのはラッキー!実際にここに来るまではレストランが併設されているのは知らなかったのです。
ジャグジーのお風呂に入り、ゆったり気分で就寝。
タグ:ルッカ トスカーナ・ロマネスク
(8-1)ピサ~ルッカ [2018 冬の旅(ベルリン、ウィーン、トスカーナ]
3/2(金)Pisa10:20 →Lucca10:48(3.5€)
ルッカ/Hotel Alla Corte degli Angeli(バスタブ付き朝食込125.10)
スーツケースはホテルに残し、二泊分の小さなキャリー・バックとリックで出発。
↓列車はがらがらで隅の席はこんな感じでスーツケースを脇に置けるようになっています。
ルッカの駅からはホテルまで遠いのでタクシーで。10€くらいでした。↓ホテルは車が一台通れるだけの一方通行の道に面しています。素敵なホテル!!
↓先客がいて彼らを案内しているうちにロビーなどパチリ。
↓案内された部屋は暖房が効いていないので、しばらく待ったのですが諦めて、別の部屋に移動になりました。
↓書斎コーナー
バスルームも広く、ジャグジーバスにシャワー室もあり、暖房も良く効いてほぼ完ぺき!多分シーズンオフだからこの価格で泊まれたのでしょう。
↓部屋からの眺め。サン・フレディアーノ教会の塔が見えてます。
さて、城壁に囲まれたルッカは見所が多いので早速街巡り。ホテルから一番近いのが初訪問の
☆サン・フレディアーノSan Frediano教会です。
↓ホテルを出て右に曲がると下層にタベルナーコロのある鐘塔が見えてきました。左にちらっと見えるのが後陣です。
↓正面ファサード
6世紀の初めにルッカの最初の教会を建てたアイルランド人司教のFredianoにちなんで名づけられた教会です。現在の建物は1112~47年に建てられ、13~14世紀に「キリストの昇天」のモザイクがファサード上部小開廊に設えられました。ビザンティン風のモザイクですが図像は多くのロマネスク教会のファサードを飾る典型的なもの。
↓内部は五廊式に見えますが、礼拝堂が並んでいるため実際は三廊式です。後陣まで一直線に並ぶ11本の円柱の大アーケード。古風で厳粛なバジリカの空間が広がっています。
↓堂内に入って右手には12世紀の洗礼盤(モーゼの物語)があり、奥の礼拝堂の窓の上部にテラコッタのルネット「受胎告知」はロッピア工房の作(15世紀)
↓側壁にうっすらと残るフレスコ画は「キリストの受難伝」(14世紀?)
側廊に沿ったいくつかのチャペルには14~17世紀のフレスコ画や彫刻などが残っていますが、見学はパスして先を急ぎました。
↓教会前の広場。左手前に黄色いバスの標識が見えました。ルッカの城壁内を回るミニバスですが、雨の中を待っているより歩いたほうが早いかも・・・。
↓教会の見えるレストランで。お客さんは2組だけ。
↓赤ワインとジャガイモのニョッキ一皿にコーヒーで簡単ランチ。
↓ホテル(右のピンクの壁の建物)の道へは曲がらず真っすぐ行きます。
↓下校時のリセの前、タバコを吸っている男子高校生がいました。それにしても立派なお名前の高校・・・。
道なりに南下するとすぐにサン・サルヴァトーレ広場があり、その片隅に建っているのが
☆サン・サルヴァトーレSan Salvatore教会です。
別名ミゼリコルディアとも呼ばれているこの教会はオリジナルは12世紀ですが、14世紀に再建されています。
↓ファサード右扉口の浮彫「聖二コラの奇跡物語」サラセン人に誘拐されたアデオダートを救った場面らしいのですが・・・。
↓中にも入れたのですが、改装が著しく特に見るものはありません。
ここから1ブロック南がサン・ミケーレ・イン・フォロ教会です。続きます~
タグ:ルッカ トスカーナ・ロマネスク
(7-2)ピサ [2018 冬の旅(ベルリン、ウィーン、トスカーナ]
~続きです
昼食の後はいったん元のガリバルディ広場に戻り、アルノ川沿いを西に200mほど歩きます。角にカフェのある通りを北に進みますと左手に
☆San・Fredianoサン・フレディアーノ教会が建っています。
11~12世紀にピサ=ロマネスク様式で建立されましたが、16~17世紀に装飾や改築が施され、創建当時から残るものはファサードで、アーチと菱形模様、上部に二連窓など。
↓内部は三廊式で17世紀に改築されたそうですが、天井はトンネルヴォールトと交差ヴォールトの組み合わせ。
このエリアは民家に囲まれた下町ですが、大学が近いせいか、閑静な趣もあります。
ここから北に進むとすぐにピサのカヴァリエ―リ広場。共和国時代には町の中心地でした。広場に面して16世紀の建物がいくつか建っています。中でも目立つのはカヴァリエ―リ館です。観光客も出入りしている壮麗な館を横目に、私は先を急ぎます。広場からはいくつか放射線状に道が伸びています。ここは迷いやすいところなので、Google Earthのストリートビューで確認してきました。広場からはごく近いところに建っています。
☆San・Sistoサン・シスト教会
上部の二連窓と刳られたクロス、ロンバルディア帯で縁取られた簡素なファサードは11世紀のロマネスク様式です。扉は閉まっていたので内部見学はできませんでした。ピサ様式ではありませんが、素朴な石積の佇まいが好ましく目に映りました。
この時の気温は5度ですから、ウィーンに比べると15度の気温差があります。ちっとも寒くなく、雨の中せっせと街歩きができました。ここから数百メートルくらいでドゥオーモ広場に着きます。
↓ドゥオーモの一部と付属博物館(閉館)は改修中。突き当りのレンガ色の建物でチケットを買わなければ斜塔も洗礼堂もカンポサントもに入れません。斜塔(294段)に登る自信はありませんし、他も見学済みだったこともあり、無料の大聖堂だけの見学だけにしました。
↓斜塔の下層部分(全部で八層)中間の六層は小開廊が周りに施されています。
↓雪が珍しい親子が遊んでいた芝生
↓洗礼堂から眺めたDuomo
ピサ様式のロマネスク建築最大の聖堂。建築が始まったのは1064年で12世紀には完成。ファサードの下層は連続アーチ、上部は四層の小回廊が施されています。斜塔とデザインを統一しています。内部は五廊式で豪華な格天井は16世紀末のもの。
↓内部で一番目立つのはジョヴァンニ・ピサーノの説教壇(1302-11)
↓上部はキリストの生涯の浮彫
斜塔の見えるカフェ(I MIRACOLI)で一休み。ココアと思ってCioccolata Caldaを頼んだのですが、文字通りホットチョコレートで、一口飲むたびにナプキンで唇を拭わなければ、酷いことに。そしてトイレに行こうとしましたが扉が開きません。暗証番号が必要なトイレなのでした!(初体験)。そのせいかお勘定も4.8€とお高い!
ここからまた1.5Kほどの道をホテルまで歩いて帰りました。携帯の万歩計をセットするのを忘れたのですが、1万歩以上は歩いたでしょう。日頃の運動不足がたたって、この辺が限界です。夕食までベットに横になって休み、7時ごろ昨夜とは違う近場のレストランBUCA DI SAN RANIERIへ。NETでお勧めだったレストランです。
↓前菜/蛸とジャガイモ
↓パスタ/スパゲッティ・ボンゴレ(からすみがけ)
赤ワイン、水、コーヒーで30€(チップ込み)。からすみ分が高かったようですが、昨夜とほとんど変わらないお値段。上品な味で美味しいのですが、本場のイタ飯としては何となく物足りない・・・。
明日は午前中はバスに乗って、郊外のSan Pietro a Gradoへ行く予定でしたが、帰りのバスが来なかったら寒い田舎で(バールもない)辛いので、計画変更。ルッカに向かうことにしました。
タグ:トスカーナ・ロマネスク ピサ
(7-1)ピサ [2018 冬の旅(ベルリン、ウィーン、トスカーナ]
3/1(木)
朝目覚めてカーテンを開けてびっくり!昨夜の雨が夜中は雪に変わっていたようです。屋根や道路の端の残雪が見えました。現在は雨模様ですが、TVではローマやフィレンツェ、ボローニャの雪害のニュースが流されて・・・ボローニャ方面も旅先のもう一つの候補でしたので、不幸中の幸いだったようです。汽車もバスも動かないとお手上げですから。
朝食室で昨夜レストランで隣だった女性がいて、向こうも私に気が付いてにっこり「ボン・ジョルノ」。言葉は交わしませんでしたが、携帯電話の内容が仕事の話のようなので、出張だったのでしょうか。
ベルリンやウィーンの美味しい朝食に比べることは無理ですが、まあそれなりに揃ったハムやチーズ、卵など適当にいただいて、10時過ぎに外出。
ピサは実は3回目なのですが、初回(1991)はツアーで大聖堂、洗礼堂、斜塔の観光。2回目(2004)は、フィレンツェから日帰りで上記に加えてカンポサント、ドゥオーモ付属博物館、シノピエ美術館など回りました。しばらくは2回行ったからもういいかなと思っていたのですが、JACA BOOKの↓『TOSCANA ROMANICA』でピサ様式の聖堂の写真を眺めているうちに(イタリア語なので読めません)いつか機会があったら、ルッカも含めて巡りたいと考えていました。ただ夫の一周忌を済ませてからでは自分の体力気力共に自信がありません。それにいつも旅を応援してくれた夫も許してくれるでしょう~と強行したというわけです。
先ず駅前からは1Kほどの☆SAN MATTEOサン・マッテオ国立博物館へ。一日中雨が降ったのですが、内陸のフィレンツェなどは雪だったのですから、文句も言えません。アルノ川沿いの受付棟でチケットを買い傘を預けて回廊へ。
元はサン・マッテオ・ベネディクト会修道女の修道院で、その一部に開設されました。
↓サン・マッテオ教会も11~13世紀の初期建築のうち一部は残されていて、堂内も展示室になっています。
↓サンタ・マリア・デッラ・スピーナ教会を飾っていた薔薇窓。14世紀に拡張されたときに取り外されたもの?
↓中央のクローズアップした神の子羊
いったん回廊に出てから、別の入り口から階段を上って行きますと、
↓Le croci 磔刑の十字架(12~15世紀)を集めた部屋があります。
↓Pittore pisano作の「Croce di Santo Sepolcro」12世紀
12世紀には何の苦痛もなく優しい顔のイエスですが、13世紀以降になるとくの字に体を曲げた苦痛に耐えるイエスに変わって行きます。
隣室は彫刻の展示室です。中世のコーナーに一昨日ウィーンで観たヘンデルの「SOUL」を思い出す↓Davidの像がありました。すでに中年?王の冠は欠けたようですが、持物の竪琴を奏でながら、なにやら複雑な表情のダヴィテ王です。12世紀。
↓ロマネスク期の柱頭彫刻もいくつか
ゴシック期の彫刻の並ぶ細長い部屋を抜けるとルネッサンス期の絵画の展示室です。
↓マザッチオMasaccio「San Paolo」1426 反射するので斜めから
↓ギルランダイオGhirlandaio「聖会話Sacra Conversazione」1479
別室に特別扱いの祭壇画が1点飾られています。椅子も置かれていてゆっくり鑑賞できます。
↓Simone Martiniシモーヌ・マルティーニ「アレクサンドリアのカタリーナの祭壇画」1319~1320
↓この祭壇画の主役のアレクサンドリアの聖女カタリーナは中段右端
↓その下のプレデッラの聖人は聖ラウランティウス(私の参考書では)となっていますが?
↓Andrea e Nino Pisanoアンドレアとニーノ・ピサーノ「授乳の聖母」1343~1347
まだ雨の降るピサの街、アルノ川沿いの道を300Mほど戻りますと小さなカイロ―リ広場があり、その奥にひっそりと佇むのが
↓☆San Pietro in Vinculis サン・ピエトロ・イン・ヴィンクリス教会です。
以前はサン・ピエリーノ教会と呼ばれていて(参考書ではS. Pierino e S.Felice al Montino)オリジナルは763年ですが1118年に再建。内部は鍵が閉まっていては入れませんでしたが、堂内は三廊式でクリプトの上にアーケードとクリアストーリー2層のバジリカ様式。初期キリスト教時代の石棺を主祭壇にしているそうなので、13世紀のタブローの十字架とともに観たかった。。。参考書によると東側にもロッジア風のファサードがあるようです。
教会の前の細い道を進むとジュセッペ・ガリバルディ広場に出ます。冷たい雨の日でもこの近辺は人通りが多くなりました。広場に続く賑やかな通りに入りますとすぐ右が
☆San Michele in Borgoサン・ミケーレ・イン・ボルゴ教会です。
アーケードの続く狭い通りに面していますので、全体の写真が巧く撮れませんでしたが、メインは上部の3層なので。。。ただ、天気が良ければ青空に白い大理石が映えて綺麗だったでしょう。
創建は11世紀ですが14世紀にファサードはピサ様式のロマネスク=ゴシックに改装されました。上部に設えた3層の小開廊がリズミカルです。内部はまたもや扉は閉まっていて見学できませんでした。ガイド本によりますと三廊式でクリプトの上に内陣がせりあがり後陣は備えていないとのこと。先ほどのサン・ピエトロ・イン・ヴィンクリス教会も同様でした。
この近くのレストランで赤ワインとパスタ一皿のランチを済ませました。
ジェノヴェーゼソースのパスタにワインとカフェで14.50€でした。
続きます~。
(6)ウィーン~ピサ [2018 冬の旅(ベルリン、ウィーン、トスカーナ]
2/28(水)ウィーン15:05→ミュンヘン16:10/17:45→ピサ19:05
ピサ/NHPisa 2泊 (シャワーのみ朝食込 147€)
朝のニュースではイタリアにも寒波が襲来、ローマも雪が積もったとか・・・ピサ周辺はどうかしら?考えても仕方がありません。飛行機が無事に飛んでくれますようにと願いながら、正午のチェックアウトの時間まで部屋で荷物の整理やi Pad のゲームで遊んだりして過ごしました。
↓ウィーンの朝食 木苺のムースと鰊に辛子を付けたのが美味しかった。
地下鉄からCATに乗って空港へ。途中電車を待っている時、60代後半くらいの日本人のご夫婦とお喋り。ドバイ経由でウィーンに5泊で来られたとか・・・エミレーツ航空+高級ホテル5泊つきで10万円弱とのことで、びっくり!「捜せばいろいろあるんだよ」と旅の達人らしきご主人が仰るのです。「学生時代は札幌で過ごしたから寒さは平気だし」って・・・あの~私札幌在住ですが・・・敗北感(笑)
ミュンヘンまではオーストリア航空、ミュンヘンからはルフトハンザ航空でした。乗り換えもスムーズにピサに定刻到着。空港には雪は全然積もっていませんし、勿論プラス温度です。それだけでとても暖かく感じました。空港からピサの街までも近く、駅前のホテルまで15分ほど。タクシーも定額で決まっていて安心でした。
帰国前夜にもこのホテルに1泊しますが、駅前のホテルはやはり移動に便利でした。初めに泊まった部屋は格安料金だったのでエコノミータイプ(バス無し)ですが、ウィーンの半分以下のお値段なので、我慢我慢。
↓部屋は簡素ですが清潔。暖房が良く効いて暖かいのがなによりです。
荷物を置いて直ぐに夕食のために外出。駅の周辺には良いレストランは少なくて、サイトで見つけた評判の良いレストランLo SCHIACCIANOCIへ。
年配のご夫婦がサービスを担当していますので、アットホームな雰囲気で気楽に食事ができましたが、メニューの選択が悪かったのかあまり美味しくなくて、残念。
↓アンティパストは海老と豆の温サラダ
プリモ ピアットはおススメの海鮮パスタにしたのですが、イカや貝類もあまり・・・。それに量が多すぎて2皿とも半分残してしまいました。隣席にワインを注いでいたので、私もそれを下さいと言ったから?無料サービスでした。久しぶりの本場イタ飯のお支払は水とカフェ込みで22€。隣席のイタリア人の若い女性は独りで来ていましたが、海鮮グリル盛り合わせのようなものを美味しそうに食べてましたので、また来てみようかな~と思いつつホテルに戻りました。ぽつぽつ雨が降ってきましたが、2ブロックくらいの距離なので余裕でした。
この日は午前中は休養、午後からは移動だけで終わりました。
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