2013夏の旅(21~23) ロンドン&帰国 [2013夏ヨーロッパ(オペラと美術の旅]
7/28(日)
今日がとうとう旅の最後の日になりました。留守宅のことも気になってくるころです。長旅に慣れているのは当人だけでなく家人もそのようで、電話をしても「今どこ?元気?気を付けて帰っておいで」で終わり。さほど心配もして居ない様子ですな(汗)。
さて、この日は未訪問のテイト・モダンへ行く予定だったのですが、なぜか億劫になってしまって、朝は部屋でのんびり過ごし、食事をとるのを兼ねてナイツブリッジのハロッズに行ってみました。ブロンプトン通りを歩いて行くと
↓一昨日見学したV&A美術館
↓ 20年前に娘たちと泊まったレンブラントホテル
↓ブロンプトン通りは20年前から見ると数倍賑やかです。お洒落なショップやレストランが軒を並べて
ハロッズも20年ぶりでした。ところが10時半に入店したのですが、11時にならないとレジのPOSが動かないというのです。早速フードホールでお土産の紅茶など買おうとしたのに・・・それなら11時に開店したらいいのに、日本では考えられない不思議な商いですね。レジで品物を持ったまま立って待ってるわけにもいかず、元の棚に戻した後はショッピングする気もなくなり食料品のウインドウ・ウオッチング。
↓いろいろな国別に分かれています。美味しそうですがかなり高価です。
↓ 美味しそうなものを眺めているうちにお腹がぐぅー。小さなカウンターが並ぶコーナーの海鮮レストランでランチ。食べてから失敗に気がつきました。ここの店はあちこちの空港に出店していて、最近は味が落ちたと思っていたところだったのです。やっぱり・・・でした。ロゼシャンパンだけは美味しかったです。
果物と焼売を買ってホテルに戻り、少し仮眠をとりました。アルバートホールでは休憩時にサンドイッチなど持って来る人が多いので、私もお握りや買ってきた焼売やさくらんぼなどのお弁当を作りました。
♪~Proms20 ワーグナー「神々の黄昏」コンサート形式 16:30~22:15@ロイヤルアルバートホール
<!--[if !supportLists]-->· <!--[endif]-->Wagner Götterdämmerung (259 mins)
(concert performance; sung in German)
- Nina Stemme soprano (Brünnhilde)
- Andreas Schager tenor (Siegfried)
- Mikhail Petrenko bass (Hagen)
- Gerd Grochowski baritone (Gunther)
- Anna Samuil soprano (Guntrune/ Third Norn)
- Johannes Martin Kränzle baritone (Alberich)
- Waltraud Meier mezzo-soprano (Waltraute/ Second Norn)
- Margarita Nekrasova mezzo-soprano, Proms debut artist (First Norn)
- Aga Mikolaj soprano (Woglinde)
- Maria Gortsevskaya mezzo-soprano (Wellgunde)
- Anna Lapkovskaja mezzo-soprano, Proms debut artist (Flosshilde)
- Royal Opera Chorus
- Staatskapelle Berlin
- Daniel Barenboim conductor
「神々の黄昏」は生で聴くのは初めてです。リングの最終夜を飾るにふさわしい作品ですから、かねがね実舞台で観たいと念願していました。今夜はコンサート形式ですが、一昨夜の「ジーグフリード」と同じ、簡単な演出によるパフォーマンスも披露されるので、楽しみに席に着きました。3夜のなかで今回が一番悪い席で、オーケストラ席の裏側。バレンボイムの指揮姿は見えるものの、金管のチューバなどがすぐ目の下の位置で、一時は耳をつんざくように吼える大きな管楽器や打楽器にひるみました(笑)しかし、次第にそれにも慣れてきて、ドラマがくっきりと浮かび上がる、メリハリのある演奏に聴きほれました。
歌手の中でぴか一はブリュンヒルデのNina Stemme。特に感銘を受けたのは旅に出るジークフリードを見送る場面と自己犠牲での歌唱。両方ともオーケストラ席の後方(私の席の横並び)の高いところから歌われたので、なおさらに印象深く、感銘度が高かったのかもしれません。大きな会場に響き渡るステンメの声は誇り高きブリュンヒルデの愛と死を余すところなく表現され、パーフェクト!でした。ジークフリードは一昨夜とは違うテノールのAndreas Schager。若々しい声と演技で、なかなか良かったです。表現がやや平坦になるものの声量もありブラボーでした。3人のノルンのうちセカンドノルンをうたったのはWaltraud Meier。数日前にエクサンプロヴァンスで聴いてきたばかりでした。その疲れも見せず、見目も麗しく、群を抜く存在感。存在感と言えばハーゲンのMikhail Petrenkoも強力でした。ぺトレンコもマイヤーとともにエクサンプロヴァンスの「エレクトラ」からの流れ組(笑)、大活躍のバスで、プログラムには東京で「トリスタン~」のマルケ王を歌うとか。指揮、オーケストラ、歌手たち、コーラスとこれほど揃った演奏はこれからはなかなか巡り合えないと思います。でもいつかはリングの4部作を連続して、実舞台で観たいし聴いてみたい(できればバイロイトで)という欲がまたまた強くなってしまいました。バイロイトは特にチケットは入手困難と訊いていますし、ツアーは高額ですし・・・困ったことだわ~と思いつつ、プロムス最後の公演を終え、ホテルに戻りました。
10/29(月)London12:15→ParisCDG14:35(乗り換え)19:30→
出発が遅いので朝はのんびり荷造りと朝食を済ませ、ホテル契約のハイヤーでヒースロー空港へ。ドライバーさんも「日本人は昨年オリンピックで沢山来たけれど、今年は少ないね~どうしたんだろう」と心配するほど、夏休みなのに日本人のツーリストは激減したようです。
帰りは当初予約したパリからの便をロンドンからの直行便に変更ができませんでした。面倒ですし、パリの空港のサービスが悪くて疲れました。歳のことを考えて疲れないように細心の注意を払って、贅沢なこともせざるを得なくなってきましたが、こういうルートをとらざるを得ないのでは、努力も水の泡って感じです。パリのCDG空港にはJALのカウンターが開くのは2時間前です。以前のようにJALと大きく書かれ、常時オープンしていたカウンターは無くなりました。凋落した日本?を象徴するようで、心細くなります。ロンドンからパリまではAFだったので、バッケージスルー1個はできましたが、もう一つの荷物を抱えて2,3時間はチェックインまでホールで待たなければなりません。ようやくチェックインができましたが、出国審査は長い行列です。ブースは10個ほどあるのに右の2個(しかも1個はユーロ圏用)しか開きません。ところが30分ほどたって、ようやく中央付近のブースがオープンと喜んだら、あとから並んだ人たちをそちらに誘導するではありませんか!烈火のごとく怒ったマダムが係りの人に「私たちを先にすべきじゃないの!」と抗議しても知らぬ顔で、同僚とお喋り。フランスは働く人たちが強いからすぐストをやるし、クレームくらいは握りつぶされ、滅多に首にもならない?のでしょうか。近くの日本人同士でさんざんフランスのサービスの悪さをあれこれ言いあって・・・じゃーもう来ないかと言えば「また来る~」という個人旅行の方たちでした。なかでは南仏を2週間ドライブ旅行してきたシニアのご夫婦と話が合って楽しかったです。
↓免税店でお土産のほかにはいつも買うゲランデのお塩
行きの最新大型機のAFと違って、やや古いJALの飛行機はTVの画面も小さくて暗いので、映画はほとんど観ないで眠りこけて
7/30(火)→成田14:20.。。。羽田17:30→札幌19:05
札幌に着くまでの乗り物の中でも、座れば眠り姫ならぬばばの状態で、懐かしい我が家にたどり着きました。長女には滅多に買わないお土産も進呈して、ごますりしました。彼女が同居していなかったら、病弱の夫を置いての長旅はできないのです。
猛暑の南仏でやや体調不良になりましたが、なんとかオペラ観劇にも支障をきたさず、チューリッヒからロンドンまでの長旅を終えることができました。年々体調に不安を覚えるようになり、いつまでこういう旅ができるかどうかですが、春に始めたラジオ体操もなんとか続けています。ブログの終わり近くになって、道内や近郊に出かけたり、他の趣味の集まりなど忙しく、足踏み状態でしたが、ようやく終わりました。ここまで読んでいただき、心より感謝申し上げます。(10/17)
2013夏の旅(20) ロンドン [2013夏ヨーロッパ(オペラと美術の旅]
7/27(土)
今日は20年ぶりに訪れる大英博物館へ。あの時と同じルートのサウス・ケンジントン駅からラッセル・スクエア駅へ。
↓ サウス・ケンジントン駅の近くは週末なのでマーケットが店開き。
↓ ラッセル・スクエア駅から同名の公園を横切り
↓ 大英博物館の正面入口 ここは20年前と同じでしたが、内部は新しく、広く、モダンに改装されました。それにしても夏休みなので、人々でごった返しです。韓国や中国などからのツアー客に加えて、語学研修の中高校生のグループも多く・・・日本人の同様のグループは見当たりません。最近は日本の経済的な低迷もあるのでしょうが、海外に対する興味が若い人たちに広がっていないことを感じます。一抹の寂しさを感じながら、溌剌とした韓国の学生さんたちを眺めていました。
初回に古代エジプトやギリシアの超有名どころは見学済みでしたので、今日は昨日同様に偏愛気味な(笑)ヨーロッパの中世美術の部屋へ。
↓ 「The Tring Tiles」(1330英Hertfordshire)ゴシック時代の壁タイル。バイブルには記載されていない若い時のキリストの生活がテーマ。
↓ そのうちの一枚は左「イエスの先生レヴィに顔をたたかれているところ」右は「傷を治して先生をびっくりさせているところ」
↓ これも壁タイル(詳しいことは不明)
↓「Figure of Christ」 1100頃 英
↓「Plaques with Virgin and St.John」(1170~90頃仏リモージュ) 聖母のオランスの祈りのポーズはビザンチンの影響。仏リモージュ、エナメル。
↓「Casket with Scenes of Cortly love」1180頃 仏 リモージュ製。 エナメルの小箱や飾りはほとんどがキリスト教のテーマでしたからこういうのは珍しいです。左は吟遊詩人がダンスのレディに愛を奏で、右は跪く男性の首に綱をつけて、愛を誓わせ屈服させるレディ。真ん中の黒い服の人はミスティリアスです。手に持っているのは剣と鍵。
↓ 「Tristram and Isolde Casket」(1180~1200)独/ケルン 象牙? トリスタンとイゾルデの中世の物語を題材にした最も早い時期の代表とのこと。
↓ エナメルの飾り板2点は旧約聖書の物語。左が癒されたナアマン、右がサムソン。12世紀、ベルギー。
↓ ロマネスクの柱頭彫刻も
そして、以前はあまり詳しく見ていなかったエジプトのコプト美術のコーナーへ。ミイラの展示室の近くにあるためか、かなりな人が通過(ほとんど関心を示さず)していきます。20年前はその美しさに気が付かなかった織物の断片が多数あって、感激しました。ガラスが反射して良く撮れていませんが、いくつかアップします。
エジプトは聖母と幼いイエスが避難し、使徒たちも修業した土地でもあり、1世紀ごろからキリスト教が広まったのですが、教議の違いなどもあり、ヨーロッパのキリスト教に対してコプト教と呼ばれています。現在のエジプトでは人口の1割程度の教徒が居ますが、過激なイスラム教徒によって迫害を受け、長い歴史を持つ教会も襲撃され、危機状態にあります。イギリスに渡ったこれらの素朴な裂き織にこめられた信じるものに捧げる気持ち・・・胸を打たれました。エジプトにそしてコプト教徒に真の自由な世界が来ることを祈ります。ここを最後にサウスケンジントンに戻りました。
↓ドーム状のグレートコート
↓ サウスケンジントン駅の近くのレバノン料理のレストランでランチ。安くて美味しい~!
ホテルに戻り休憩の後はロイヤル・アルバートホールへ。
♪~Proms 19 ワーグナー「トリスタンとイゾルデ」コンサート形式17:00~@ ロイヤル・アルバートホール
<!--[if !supportLists]-->· <!--[endif]-->Wagner Tristan and Isolde (284 mins)
(concert performance; sung in German)
- Robert Dean Smith tenor (Tristan)
- Kwangchui Youn bass, Proms debut artist (King Mark)
- Violeta Urmana soprano (Isolde)
- Boaz Daniel baritone (Kurwenal)
- David Wilson-Johnson baritone (Melot)
- Mihoko Fujimura mezzo-soprano (Brangäne)
- Edward Price baritone (Steersman)
- Andrew Staples tenor (Shepherd/Young Sailor)
- BBC Symphony Orchestra
- Semyon Bychkov conductor
前回書き忘れましたが、プロムスのプログラムは5ポンドで2冊ですが、うち1冊は対訳本なので、コンサート形式でもあり、ほとんどの人がこの対訳をなぞりながら聴きます。私も特に今夜は動きもなく、イゾルデが苦手なVioleta Urmanaということもあり・・・顏はあまりあげませんでした。でも英訳がスムーズに読み取れなくて、もたついてますと先に進まれて・・・苦虫。
主役二人がオーケストラの音響に負けてしまって、かなり苦しかったのですが、例外は我らがMihoko Fujimura。細く華奢な体形の彼女のどこから?と思うほど、大きな会場にむらなく響き渡るブランゲーネの抑制されつつも洗練された歌いまわし…何度も言いますが日本の誇りです。素晴らしくて目もうるみました。隣席の韓国人の女性も大賞讃。このかたは日本に短期留学していたそうで、日本語も上手でした。マルケ王のKwangchui Youn も良かったです。指揮のSemyon Bychkovはウィーンで同じ「トリスタンとイゾルデ」を振ったのを聴いたことがありました。(2001)。場所もオーケストラも歌手陣も違う(藤村さんは同じ)ので仕方ありませんが、今回はあのときほどの強い印象は持てませんでした。生の舞台と演奏は4回目になり、CDでも必ず眠たくなる3幕初めのシーンは眠くなくなりました。継続は力なりですかね~(笑)。
帰りは雨になり、この旅で初めて傘をさしました。カジュアルな服装の人たちばかりなので、この夜はジャケットもやめて麻のワンピースにカーディガンという気楽さ。そのせいか長いワーグナーでも疲れません。3チケットで10.000円くらいと安いですし、「プロムス、いいな~」とつぶやきながら宿に帰りました。
2013夏の旅(19) ロンドン [2013夏ヨーロッパ(オペラと美術の旅]
7/26(金)
今日は自然史博物館の隣にあるヴィクトリア&アルバート美術館の見学をしました。初めてロンドンに来た時(1993)に泊まったホテルがこの美術館の真ん前だったので、それが初訪問でした。次は2009年の秋に再訪問したのですが、イタリア美術や中世の彫刻などの展示室が改装中でした。今回で3回目ですが、多分これが最後になるかもと思いながら入館しました。
↓まずは入って右の古代から中世までの展示室へ。
↓ 「埋葬の胸像」(175~200)シリアのパルミラ。身分の高い夫人らしく、右上にアラビア語?名前と誰それの娘と書かれています。
↓「死の装飾布」(300~900) エジプトの初期キリスト教のコプトの織物。
↓「ペンダント用の十字架」980~1030 イギリス
↓「磔刑」860~70 カロリング時代の象牙のパネル フランス(ランス)
↓ 「ロマネスクスタイルの窓」1050~1200 北フランス 石灰石
↓ ジグザグ模様のアーチにセイレーン
↓「アンク/タペスリーの断片」400~600 コプト教美術。エジプトの生命のシンボル文字アンクのなかにクロスやPとXのモノグラム(クリスモン)を織り込んだもの。
↓「聖人たちのレリーフ」1150 スペイン・カタルーニャ地方Vicのカテドラル西扉口を飾っていた。
↓ 「キリストと9人の使徒たち」柱頭彫刻 (1175~1200) 北スペイン
↓ 「4枚のステンドグラス」1170~80 フランス・シャンパーニュ地方Troyesの教会にあったもの。
↓「説教壇(または読誦席)の4本の円柱」1225~1250 南イタリア(カンパーニャまたはカラブリア地方)クルミ材
↓ 「ベケットの手箱」1180頃 1170年のトーマス・ベケットの殉教を追悼して数多く造られたリモージュのエナメル製のもの。この箱は現存するなかでは一番古いものと考えられています。下が殉教の場面、上に昇天の場面。
↓ プレロマネスク?の洗礼盤。詳しいことは不明ですがクロスに花や星、鳥のパターン。
きりがないのでこのへんで切り上げます。昼食は館内のセルフサービスのレストランで。前回も来ていた旧モーリスの食堂。味は普通ですがお値段が見合わず・・・でも入館料フリーなので許します。
↓ こちらは隣の明るいゴージャスな部屋。
↓いったん食堂から中庭にでました。アジサイも綺麗に咲いて
↓中庭を通過して、元の入口レセプション付近にへ戻り、追っかけのカルロ・クリヴェッリの部屋を確かめて
↓無事に見つけました!
↓ 素晴らしい額入りの「聖母子」(1482頃)。この部屋を閉鎖しているうちに修復洗浄もしたようで、輝くよう。ベルガモの聖母子と同じ構図とのこと。
↓ 聖母のアップです。オーラが漂って・・・なんともカルロらしい豪奢でクールな美しさ。写真も奇蹟的に巧く撮れました(と自画自賛)。
↓ カルロの弟ヴィットーレの作品は隣のパネルに。左のヒエロニムスが持つ聖堂はどこのですか?右の殉教の聖女カタリーナは王冠を被った姿。ヴィットーレの聖母や聖女たちはヴェールの上に王冠と円光の組み合わせが多いうようです。
他は好みのあれこれ、説明は省きます。
V&Aの素晴らしいコレクションを堪能してホテルに戻りました。さて夜は初めてのプロムスです。仮眠の後、会場のアルバートホールへ。さすがにロンドンは涼しくて、夜はワンピースの上にジャケットが必要でした。
↓ 普通のコンサートホールの2倍の大きさで、おまけにステージの真ん前の一番良いブロックは立ち見のお客さん専用。羨ましいような気の毒なような(笑)、私が真似したら確実にぶっ倒れそう~。気取りのない雰囲気でほぼ満席ですから、演奏前はがやがやと騒がしかったのですが、いざ始まるとシーンと静かになりました(ホッ)。
↓ 私の席から
♪~PROM18 /ワーグナー「ジークフリード」演奏会形式17:00~@ロイヤル・アルバートホール
· <!--[endif]-->Wagner Siegfried (238 mins)
(concert performance; sung in German)
- Lance Ryan tenor, Proms debut artist (Siegfried)
- Nina Stemme soprano (Brünnhilde)
- Terje Stensvold baritone (Wanderer)
- Peter Bronder tenor (Mime)
- Johannes Martin Kränzle baritone (Alberich)
- Eric Halfvarson bass (Fafner)
- Rinnat Moriah soprano, Proms debut artist (Woodbird)
- Anna Larsson mezzo-soprano (Erda)
- Staatskapelle Berlin
- Daniel Barenboim conductor
プロムスではすでにリングの「ラインの黄金」と「ワルキューレ」は終わっています。聴けなかったのは残念でしたが、長期の旅でもあり、ようやく残る「ジークフリード」と「神々の黄昏」に「トリスタンとイゾルデ」も聴けるので、とても楽しみでした。
演出なしでしたが、そこはベルリンで春に公演したとあって、歌手たちは暗譜&演技も少し入れた迫力あるパフォーマンスでした。バレンボイムとオーケストラの奮闘はパワフルな響きでワーグナーワールドが大きな会場に広がりました。ジークフリード役の新人?Lance Ryanも頑張りましたが、何処かしっくりこないものがあったのですが、大音響のオーケストラに負けず歌い切り、ほぼ満足。Nina Stemme
は旅の最初にチューリッヒのばらの騎士を聴いてきたばかりでしたが、ブリュンヒルデはまた格別なワーグナーのヒロインの風格を感じさせるもので、むらなく響く美しい声に圧倒されました。熱心な観客(特に目の前の立ち席で頑張る)を前に、他の共演者たちもそれに熱く答えるような素晴らしい演奏でした。ジークフリードの中で好きなのが森の小鳥の歌う場面です。小鳥の声のRinnat Moriahの天使のような歌声にうっとり。最近ダイエットしたのかしら?、一回りスマートになったバレンボエムもお元気で、エネルギッシュでした。
↓ カーテンコールも何度も舞台に呼び戻されて、上機嫌。
会場が大きいだけに、音響のことなど難点があるのが、気になっていましたが、こんなに素晴らしいワーグナーが聴けるなんてと、幸せいっぱい(笑)でホテルに帰りました。部屋には冷蔵庫がないので、1階のバーで冷たいビールを調達して、部屋で独り飲み。手持ちのものでお腹を満たし就寝。
2013夏の旅(18) カンヌ~(マルセーユ&パリ経由)~ロンドン [2013夏ヨーロッパ(オペラと美術の旅]
7/25(木) CanneSNCF7:57→Marseille(St・Charles)9:59/10:20(バス)→Marseille空港10:40/13:30(AF)→ParisCDG15:00/16:00→London16:15
ロンドン/Fifty Four Boutique Hotel 4泊
今日はヨーロッパ内とはいえ1日がかりの大移動の日です。なぜこんな旅程を組んだのか・・・当初は南仏を最後にパリから帰国するはずだったのですが、特典航空券の帰国便が取れないままでした。そのうち日にちがずれればなんとかグレードアップ特典のほうで取れると分かり4日延ばして変更しました。この4日間でさてどこへ行こうか…迷っているうちにロンドンのプロムス音楽祭のプログラムをチェックして、即決定!バレンボイム指揮のリングのうち「ジークフリード」と「神々の黄昏」をコンサート形式ながら聴くことができるのです。それに4年ぶりのロンドンも楽しみでした。
ホテルの朝ごはんはパスして、昨日買っておいたメロン(ナイフと皿はホテルで借り)と手持ちのもので済ませ、チェックアウト。カンヌ駅からはTGVでマルセーユまで。そして駅の横のバスターミナルから空港まで。空港では預けたスーツケースをピックアップし、AFのターミナルまで移動。この後も順調にパリ乗り換えで、ロンドンに着きました。
↓ 乗り換えたパリの新しいターミナル
ロンドンの宿はいつものロイヤルオペラ近くの大型ホテルではなくて、プロムスの会場ロイヤル・アルバートホールまで徒歩数分のタウンハウス形式の小さなホテルです。
↓ 玄関前。この通り(クイーンズ・ゲート)の片側には何軒も白いタウンハウスが連なっていて、素敵な景観です。一度こういう宿に泊まりたかったので、念願がかないました。
↓玄関ホール。隠れていますが階段手前右にレセプションがあり、奥を右折するとエレベーターもあります。改装してまもなくでしょうか、清潔で素敵です。
↓反対方向から
↓ 玄関ホール右に朝食室兼バー
↓ しかし部屋は驚くほど狭くて、中型のスーツケースでも広げるとドアが開けられず・・・。バスタブも冷蔵庫も無しでがっかり。
↓ 異様に狭いシャワー室、大柄な英国人は入れないでしょ。
↓ クイーンズ・ゲート通りの向かいは自然史博物館やカレッジが並んで、緑も多いエリアです。下の写真は自然史博物館です。クロムウエル・ロードから撮りました。
壮麗な自然史博物館を仰ぎ見て、ロンドンに来たわ~と実感。地下鉄のサウス・ケンジントン駅も徒歩数分です。ホテルの案内ではサウス・ケンジントン駅の近くの広場にカジュアルなアジア系のレストランが多いとのことで、夕食は中華食堂で。ここは味は悪くないものの、油が良くなくギトギトとした感じで×でした。おまけにぬるいビール(怒)。まあ物価高のロンドンでは安いのが取り柄といったところです。
明日からは3夜連続の音楽会が続きますので、今夜はゆっくり過ごしました。
2013夏の旅(17) カンヌ(サントノラ島&周辺クルーズ) [2013夏ヨーロッパ(オペラと美術の旅]
7/24(水)
カンヌのホテルの朝食室は最上階にあり、窓ガラスを通して朝から燦々太陽が眩しい・・・。BWグループのホテルにしては朝食はあまりよくなかったのは残念でした。宿からカンヌ旧港までは15分ほどなので30分前には出発しました。
↓ 昨日は気がつかなかった動物のオブジェ。結局訪れなかった丘の上の旧市街。
↓ レランス諸島のうち目的のサントノラ島行きの乗り場。煙ではなく霧の噴射です。エクスのカフェでも上から噴射されてびっくりして席を移動しましたが、こちらの人は慣れているので微動だにせず。戸外のクーラー?なのですね。
↓ これがレランス諸島巡りの遊覧船です。
↓ 遠ざかるカンヌの街。カンヌから20~30分ほどの乗船時間です
↓ レランス諸島が見えてきました。左が「鉄仮面」伝説で名高いサント・マグリット島、右がサントノラ島です。
↓ サント・マルグリット島の向こうにカンヌの街
↓ さてサントノラ島の小さな船着場から上陸しますと突き当りに案内板があります。
↓ 私は時計回りに2/3周しました。こういう舗装のない細い道を歩きます。車はもちろん走っていません。
↓ ところどころに遺跡があります。ここにはサン・ミッシェル礼拝堂がありました。案内板には何世紀のものだったのか書かれていませんが、島で一番小さな礼拝堂で、古い墓場の傍にあったそうです。
↓ 海を眺めながら休息できるベンチもところどころに設置されています。
↓ 島の近くでは家族ずれのボートが何艘も浮かんで、夏休みを過ごしています。
↓ 1Kも歩かないうちに島の西端に到達しますが、その少し手前に☆トリニテ礼拝堂(9~11世紀)が木々の間から見えてきました。残念ながら扉は閉ざされていましたが、周囲の緑に溶け込んだ可愛らしいチャペルは鄙びたロマネスクの魅力ここにあり~といった佇まい。
↓ 粗い砕石の積まれた壁がサルデーニャ島の小教会を想い出させ、手造り感にこめられた篤く素朴な信仰がひしひしと伝わってきます。
↓ 再び海沿いの散歩道に戻り、突端を曲がり数百メートルで☆要塞修道院(11~15世紀)が見えてきました。
↓ 暑いのと疲労が重なり、ぼーっとしてガイドツアーに乗り遅れてしまいました(涙)。次のツアーまで待てませんし、階段を上るのも辛いので
↓諦めてレランス修道院へ
☆Abbaye de Lerins レランス修道院
4世紀にオノラという修道士によって創建されたという古い歴史があります。その後はサラセン人の支配や荒廃、クリュニー派の傘下に入ったりの歴史を経て、16世紀の終わりにベネディクト派の修道院として祈りと労働の共同生活を送るようになりました。修道院が経営する葡萄園で作られるワインもここの名産とのこと。
修道院のHPも充実しています。
http://www.abbayedelerins.com/accueil/
↓ このときはミサの最中でしたが、教会内に入れるのは限られた信者だけのようです。夏の花の咲き乱れる中庭は見学可です。
↓ また少し歩いたところに見えてきたのが☆サン・ピエール礼拝堂です。この時期は何と言ってもお花が綺麗で、写真もついお花が主役になってしまいました。
↓ 正面。てっぺんの小さな壁式鐘塔が可愛らしい素朴なチャペル。オリジナルが崩壊していた場所に1963年に再建されています。発掘現場では中世の彫刻がかなり多くでてきたそうです。ちなみに下に写っている大人の女性は黒人ではありません。すれ違った時は驚きました。正真正銘の白人女性、しかもかなりの美人。これほど真っ黒に焼けっちゃって…と心配になるほど。反面日本の美白化粧品も問題ですが。
↓ 内部は祈りの場としては使われていなくて、修道士さんが描いた絵画でしょうか?展示会場のようになっていました。
ここから元の船着き場まで島の中心を横断して戻りました。ランチは船着き場から近くにあるレストランで。独りなので残念ながらここのワインは高価で飲めませんでした。
↓ レストラン入口
↓ 海が見える席は予約済み
↓ 初めは空いていましたが、だんだん混んで満席になりました。予約している人も多いようです。
↓ お昼のムニュから2皿(前菜とデザート)のコース。本当はメインとデザートのコースなのですが、あまり食欲がないので、サラダの前菜にしてもらいました。これにパンがどっさりついてきますから、充分でした。
さて、食事も済んで、船着き場に戻りましたが、13:30発は私の勘違いでカンヌには戻らず、アンチィーブ方面への遊覧コースとのこと。1時間も待ちたくないのと、アンチィーブまで船で巡るのも面白そうと乗船しました。
↓カンヌまでの船が来たと思ったら
↓ 結局はこの遊覧船に乗って
↓ 同船したシニアのマダム。白い帽子にコットンのワンピースの素敵な方でした。
↓ ジュアン・レ・バン付近。フィッツジェラルド夫妻などのアメリカ人が滞在していたことでも知られています。松林の中に見え隠れする素敵なホテルや別荘…別世界です。
↓ カップ・ダンティーブ(アンティーブ岬)付近。12年前に泊まったホテルはこのあたりです。
↓ アンティーブに近くなると高級ヨットが多くなります。世界でも超のつくお金持ちのヨットが停泊するので有名なのですと。背景はピカソ美術館のあるグリマルディ城、懐かしい~!
↓ ピカソ美術館に別れを告げて
↓ほぼ2時間のクルーズを終えて、サントノラ島に戻りました。海からの眺めも素晴らしい!
↓ 船が揺れて、構図が斜めですが
サントノラで乗り換えカンヌに戻りました。この2時間、船のデッキで太陽に炙られて、すっかり日焼けしてしまいました。ホテルに戻って自分の顔を見て「あわわ~トマトのよう!」と驚きましたが後の祭り・・・。
↓ 夕食はまた昨夜のポート付近のやや高級なレストランで。すごく混んでいましたが、「独りなの」と心細そうな私にてきぱきしたサービス係がなんとか席に案内してくれました。
↓ ブイヤベースカンヌ風。家庭的な味で美味しかったです。夏の滞在客に人気があるのが分かりました。
お腹いっぱいになって、ふらふらとホテルに戻りました。夜のカンヌは食事するひとで大賑わい。少しも危ない気配はなく、意外にカジュアルで親しみやすい面もあり楽しい滞在でした。
2013夏の旅(16) エクサンプロヴァンス~フレジュス~カンヌ [2013夏ヨーロッパ(オペラと美術の旅]
7/23(火) Aix-en-Provence10:50。。。Marseille(空港)11:10頃/11:30頃→Marseille(駅)12:00/12:31→Saint-Raphael14:10/14:16→Frejus14:19/16:40→Canne17:25
カンヌ/BW Hotel Univers 2泊
今日はフレジュスの観光をはさんで、カンヌまで移動するハードないち日でした。朝は遅めにホテルの質素な朝ごはんで済ませ、孫娘への絵葉書を出しにミラボー通りへ。通りにはカフェが並んでいて、同じ金額ならホテルよりリッチなオムレツも食べられるメニューが張り出されているではありませんか~。でも時はすでに遅し(涙)。
朝食は質素だったけれど、良いお宿でした。ホテルのロビーも修道院の名残があって、素敵です。
TAXIでマルセイユ空港まで。ここ2,3日は無理を避けて過ごしたおかげで、体調も良くなりました。マルセイユ空港ではスーツケースを預ける場所が分からずにウロウロ。インフォで尋ねても要領を得ません。仕方なく指差す方向へ。
↓ すぐ近くまで来てようやく看板にLeft Luggage officeの文字を発見!ここに立っていた荷物ガード係のお兄さんに頼むと書類に記入してから、奥の預かり所に一緒に行ってくれます。そして、セキュリティを通した後に預かり証をもらい完了。今までに経験のないシステムでした。
そして、2つのターミナルの間のバス停からマルセーユの鉄道駅(St.Charles)までのバスに乗車。30分くらいでマルセーユ.サン・シャルル駅のバスターミナルに到着。駅構内のトイレは閉まって居たりで表示も分かりにくいので焦りましたが、カンヌやニース行きのホームのすぐ前に有料トイレがあって、セーフ。まもなく来た列車に乗り、サン・ラファエルで乗り換えてフレジュスへ。教会の塔やローマ時代の門が列車から見えてきました。
フレジュス駅ホームから地下道を抜け坂道を歩くこと数分で旧市街の入り口。賑やかな通りを行きますと大きなフォルマージュ広場に出ます。この日も大層暑く、ここまで坂道を荷物を持っての移動ですから、汗だくになりました。北海道の一夏分くらいの汗をかきました。目の前に目的のサン・レオンス大聖堂が見えましたが、すぐ見学できる身体の状態ではありません。まずカフェのテラス席で冷たいものを飲み干し、一息つきました。
↓ 子供たちも噴水で水遊び
このカフェでは快く荷物を預かってもらえました。
☆ Cathedrale St-Leonce サン・レオンス大聖堂
現在の司教座教会(大聖堂)は11~12世紀の建造。古代末期の374年のヴァランス宗教会議の記録からフレジュスに司教座があったことが明らかになっています。ここで重要なのは5世紀の洗礼堂です。広場に面した南扉口から中へ入ると、すぐ左手(大聖堂の西側に隣接)にあります。
↓ 洗礼堂外観。手前の方形の外壁の内側に八角形の建物が洗礼堂。鐘塔は教会のほうに建っています。
↓ ガラスがはめられて、中に入ることはできませんし、ガラスの反射で写真は難しい。砂岩と煉瓦で構築された八角形の空間。
↓ 中央に八角形の洗礼槽の遺構。柱が残っているのをみると、洗礼槽は天蓋(キボリウム)が設置されていたらしい。
↓ 周りの壁には方形及び半円の壁龕が配され、床から5m70の高さにあるアーチは白大理石の柱頭を載せ、円柱は灰色花崗岩。床から円蓋頂部までは約12m。周歩廊を持たない壁龕のある構造はアルベンガ(伊・リグーリア)の洗礼堂に似ていますが、フレジュスのほうは高さがあり、窓もかなり上なので、暗く狭い感じです。
↓ 扉口から入って右手が教会です。こちら側がノートルダム教会。単廊式。方形の交差リヴ。
↓ 北側にもサンテティエンヌ教会。2つの教会を併設した複雑な構造。
さて、次は回廊の見学です。南扉口突き当りの階段の上に見えてましたが、ここからは入れないので、いったん外に出て、西側のチケット窓口兼ショップから入りました。
↓ 回廊は12~13世紀建造の2階建。薔薇の花が咲く緑の中庭が美しい。
↓ 上階から
↓ 回廊の一部には木組みの天井に続いて14世紀の板絵が残っています。傷みが激しく、判読も難しく、カメラもピンぼけという有様で・・・。
簡単な説明書きによりますとテーマは3つで、(1)宗教的なもの(聖人、司教、天使や悪魔など)、(2)日常の生活(職人、上層の市民、吟遊詩人など)、(3)中世の動物寓話が描かれているとのこと。やはり一番多く、目立つのが(3)のファンタジーなイメージの動物たちです。ドラゴンや異種交配的な生き物たち。
↓ この部分はコピーで、木の組み方などの説明パネルがありました。複雑な木組み造作は日本の宮大工さんのよう。その隙間を埋めたロマネスク的といえる幻想の板絵の数々、すべて残っていたら圧巻でしたでしょう。
↓ 回廊の見学後は北側外観を見に行ったのですが、小さな博物館も併設されていたので、入館。フレジュスが古代都市だったころの遺物やモザイクなどを見学。
広場に戻り、先ほどのカフェでアイスクリームを食べて休憩。そして、お礼を言って(チップは受け取らなかった)荷物をピックアップ、フレジュスの駅へ戻りました。
ところがチケット窓口でなにやら次の列車に問題があったような説明があり、困惑。詳細が分からずひとまず案内画面のホームへ。すると向こう側に停まっていた電車から人が、ドンドン降りてきます。そして、地下道から反対方向のホームに移動しています。何故?反対方向に行くのか皆目分かりません。それでもみんなについていくと、ホームに駅員さんが立っていました。「カンヌ?」と確認してようやく安心。そういえば来るときはサン・ラファエルで乗り換えしたけれど、方向からすると逆戻りしたから、カンヌ直行だと、これでも良いことになります。結局サン・ラファエル乗り換えなしでカンヌに行けたので、予定より少し遅れたけれど良かったです。
カンヌの駅からホテルまでは徒歩数分ですが、荷物も2泊分と軽いので楽勝で到着。愛想の良いマダムに迎えられて気持ちよくチェックイン。
洗濯を済ませて、散策と夕食にでかけました。お勧めのレストランはポートに沢山並んでいるからとそのうち3軒ほどマップに印をつけてもらいました。
↓ 車も人も多いクロワゼット大通り
↓ カジュアルなレストランのテラス席で、海の幸プレート一皿の夕食
↓ 明日のレランス諸島船着き場を確認するついでに旧港まで行ってみました。ランタン売りの出店
↓ 小高いところに旧市街が見えました。
↓ 旧港には豪華なヨットが並び、リッチな人たちがケターリング?のお食事中
↓ 乗り場の確認をしてから、夕食で混み合う食べ物横丁を通ってホテルへ戻りました。
TVの天気予報では明日も快晴で、南仏は厳しい暑さが続くとのこと。ここは海辺なので、エクス周辺より日焼けするかも。。。小麦色に焼けたいけれど、この歳ではシミと皺が心配です。
2013夏の旅(15) エクサンプロヴァンス [2013夏ヨーロッパ(オペラと美術の旅]
7/22(月)
今日も午後からは楽ちんおひとり様ツアーです。でも、昨日と同じに一点豪華主義?で、サン・レミ・ド・プロヴァンスだけの訪問にしました。夜はエクスでの最後のオペラもありますので、午前中はご近所散策。
↓ 青空市場の風景 香辛料コーナー
↓ 野菜果物売り場
↓ オペラ会場にもなっている旧司教館(タピスリー美術館)前、朝の風景
↓ サン・ソヴール教会は3度目ですが、12世紀の回廊やメロヴィング朝の洗礼堂、まだ観ていなかったニコラ・フラマンの『燃える茨』三連祭壇画などを観るために寄ってみました。ところがライヒェナウに続いて、ここでもお葬式・・・午前中は見学不可でした。
↓ ゴシックの扉口のアーチを飾る天使たち
↓ 市庁舎の近く
↓ 裏通りの小さな広場にはカフェやレストランが軒を並べています。この左に見えるベトナム料理の店(1999に来てます)はまだ健在でした。
↓ 1999と2003に泊まったホテルも健在。冷蔵庫とエアコンがなかったので、今回は違うホテルにしましたが、思い出のお宿です。
↓ プロヴァンスのお守り?蝉のショップ
↓ ランチはアンティパスト盛り合わせ一皿で済ませ
↓ 午後からはガイド兼ドライバーのTさんとサン・レミ・ド・プロヴァンスまで楽しくおしゃべりしながら快適ドライブ。左手に写真には写りませんでしたがアルピーヌ山脈が綺麗でした。
↓ ほぼ1時間でサン・レミ・ド・プロヴァンスの町1.5キロ手前の古代遺跡の入り口に着きました。グラヌム遺跡を見学することも予定していましたが、この猛暑ですし、かなり時間がかかるとのことで、道路沿いにある凱旋門(右)と霊廟(左)だけ見学。
↓アーチ天井の彫刻がオランジュの凱旋門と同じ六角形に囲まれた花紋。
↓ この霊廟はアウグストゥス帝の二人の孫に捧げられたものと伝えられています。
そして、すぐ近くのサン・ポール・ド・モーゾール修道院へ。
☆ Le Monastere de St-Paul de Mausoleサン・ポール・ド・モーゾール修道院
12世紀に建てられた小さな教会と回廊以外は近世になってから改築されています。後には女子修道院となり、精神病院の患者さんをケアするという奉仕活動をしました。現在は1889~1890に患者として入院していたヴァン・ゴッホ所縁の修道院としての見学客が多いようです。そのためのパネルがあちこちに置かれて、画家の絵画とモデルになった場所や花などの説明があります。
↓ 門から
↓ ゴッホの像と記念写真
↓ ファサードは18世紀なので素通りして、教会内部へ。平面プランでは狭い側廊を伴った三身廊と大小3つの後陣のシンプルな構成。
↓ 天井に小さな彫刻「鷲」でしょうか?
↓ 続いて「神の子羊」を発見!
↓ そして回廊へ
↓ 回廊からロマネスクの鐘塔が見えます。回廊の上階に精神病院の病室が並んでいます。
↓ ゴッホの居た部屋から観た回廊
↓ 回廊の柱頭彫刻/ケンタウロスと竜
↓ 上の裏側は右にアクロバット(よく見えませんが)左には悪魔と天使と竜
↓ 少々風変わりなグリーンマン
↓ これも奇妙な彫刻、尾が魚の馬?4つ脚の動物。
↓ 後陣外観
↓ ラベンダー畑から
↓ ひまわり畑から
↓ 修道院の周囲
経費節減のためもありますが、今夜はオペラもあるので、サン・ガブリエルはあきらめて、エクサンプロヴァンスまで戻りました。ホテルの近くで2日間お世話になったTさんとお別れ・・・同じ道産子同士、北海道弁で沢山お喋りしましたね。これほど暑くなく体調も良かったら、お会いすることもなかったでしょう。不思議なご縁でした。
部屋で仮眠のあとは身支度を整えて、今夜のオペラ会場のGrand Théâtre de Provenceへ。ホテルから徒歩数分。ここは何年か前にできた新しい音楽ホール(シート数1350)です。私は初めてでした。
↓ ホール前には飲み物のスタンドもできて、夏の音楽祭らしい華やかなムード。
開演時間になりロビーを歩いていましたら、向こうから日本人の女性がこちらに向かって歩いてきて「アリーチェさん」と言われるので、びっくり!なんとブログ仲間のKametaroさんでした。思いがけない嬉しい初対面でした。しかも席も隣同士・・・ということは同じころ予約ボタンをおしていたのかしらね。席はParterreH13 前から8番目の左より。
Richard Strauss (1864 - 1949) Elektra
Direction musicale | Esa-Pekka Salonen |
Mise en scène | Patrice Chéreau |
Collaboration artistique à la mise en scène | Thierry Thieû Niang |
Décors | Richard Peduzzi |
Lumière | Dominique Bruguière |
Costumes | Caroline de Vivaise |
Perruques, coiffures | Campbell Young |
Elektra | Evelyn Herlitzius |
Klytämnestra | Waltraud Meier |
Chrysothemis | Adrianne Pieczonka |
Orest | Mikhail Petrenko |
Aegisth | Tom Randle |
Der Pfleger des Orest | Franz Mazura |
Ein junger Diener | Florian Hoffmann |
Ein alter Diener | Sir Donald McIntyre |
Die Aufseherin / Die Vertraute | Renate Behle |
Erste Magd | Bonita Hyman |
Zweite Magd / Die Schleppträgerin | Andrea Hill * |
Dritte Magd | Silvia Hablowetz* |
Vierte Magd | Marie-Eve Munger* |
Fünfte Magd | Roberta Alexander |
Chœur | Coro Gulbenkian |
Orchestre | Orchestre de Paris |
今年のエクサンプロヴァンス音楽祭の中では一番評判が良く、とても楽しみにしていました。聴きしに勝る稀に見る充実の公演でした。オープニングからサロネンマジックとでも形容したい、エレクトラの世界に身体ごと連れられて行かれる感覚 は滅多にないことです。エレクトラの生はまだ2回目で、何年か前にバルセロナのリセウで聴いたくらいの経験しかありませんが、その時のポラスキーの定評のあるパワフルなエレクトラも素晴らしかったのですが、順当なエレクトラ像の域は出ていませんでした。今回のヘルリツィウスは小柄な肢体に熱情ばかりではない冷やかさをも持った(なんたって実の母を憎み殺害に手を貸す)、亡き父をいまだ忘れられぬ複雑な娘の心理。蔑まれ、追いやられた境遇のなかで、次第に狂気を帯びていく音楽とダンス。そのヘルリツィウスの歌唱、踊り、表情、演技に耳が目が釘づけ状態でした。その分存在感たっぷりのマイヤーを除いてはやや印象が薄くなってしまいましたが、シェローの演出は主役ばかりではなく、周りの登場人物さえもくっきりした音楽に合わせた無理のない動き。簡素な舞台も効果的に見せる工夫と、そのアイディアは完璧でした。パリ管のオペラは初めてだと思いますが、サロネンのクレーバー&フレッシュ感覚あふれる指揮のもと格調高いシュトラウスを演奏してくれて、感動でした。例によって細かいことは省略させていただきますが、隣席で観劇していたKametaroさんのブログが素晴らしいので、紹介させていただきますね。
http://kametaro07.blog.so-net.ne.jp/2013-08-24
この夜がデル二エールとあって、シェローも嬉しそうに登場。特に盛り上がったカーテンコールになりました。
追記:パトリス・シェローはこの「エレクトラ」に姿を見せた2か月半後の10/7に逝去されました。68歳でした。写真では胸とお腹のあたりが分厚いので、すでに肺がんの治療を受けていたのでしょうか?あの時のお元気そうな笑顔が忘れられません。ご冥福をお祈りします。
オペラの後はミラボー通りのカフェで。彼女は下戸で、私だけアルコールでしたが、楽しくおしゃべり。ネット上のコメントのやり取りとはいえ旧知の間柄のような親しみを感じました。彼女は明日イタリアへ。私はまだプロヴァンスでウロウロ苦行ですが、エクサンプロヴァンスの最後の夜でした。
2013夏の旅(14) エクサンプロヴァンス [2013夏ヨーロッパ(オペラと美術の旅]
7/21(日) Aix-en-Provence13:00。。。Ganagobie。。。Aix-en-Provence16:00
午前中はしばらく改修中だったというグラネ美術館へ行ってみました。ここは1999年にオペラの仲間たちと来たことがありました。インフォのあるド・ゴール広場からミラボー通りをまっすぐ歩き
↓ ミラボー通りは露店が立ち並び
↓プラタナスの樹に特別展のポスター「セザンヌからマティスへ」
突き当り付近から右折…懐かしい路地です。看板に沿って、少し先に小さな広場があり、サン・ジャン・ド・マルト教会とグラネ美術館が建っています。教会にはドラクロワの磔刑図がありますが、今日は日曜日なのでミサの真っ最中。遠慮しました。
↓ グラネ美術館は特別展なので、チケットは200mほど離れた売り場まで買いに行かなければならず・・・汗かきかき、行ったり来たり。
↓ 特別展のチケット売り場近くの噴水。エクスは街中に噴水が多く、夏の暑い日には特にほっとします。
↓ 窓辺の花
特別展のある期間だけ?手荷物や水も預けなければなりませんでした。カメラも禁止。↓ カタログも重くて買いませんでしたので、パンフレットの表紙
↓チケットに印刷されたピカソの「地中海の村」(1937)60×81
前回見逃したアングルの「ユピテルとテティス」もようやく探し出して鑑賞できました。
↓ 教会前の広場は赤ちゃんの洗礼式のあとのファミリー
↓ ランチはミラボー通りのモダンな寿司バーで。
お昼のセットメニュー。アサヒビール、味噌スープとお寿司。久しぶりだったせいか、外国の寿司としては良いほうでした。
さて、午後はホテルまで送迎つきのおひとり様ツアーでした。プロヴァンスは日本人にも人気があり、周辺の町や村は車がないと行けない美しい村も多いところです。こういう商売も充分成り立つのですね。それにしても、お財布に厳しかった・・・涙。さて、ホテルに迎えに来てくれたガイド兼ドライバーさんは、50代のチャーミングなマダムTさん。で、なんと!道産子でした。美幌出身で札幌の短大を卒業、フランス語研修に渡仏。こちらの方と結婚されてエクスから1時間のラ・セルに在住とか。ラ・セルにも10年前行ったことがあり、話がめちゃ合い過ぎ(笑)楽しいドライブになりました。
エクスから北に1時間ほど走り、小高い山の上(標高650M)にあるガナゴビへ。駐車場からラベンダー畑を眺めながら、数分歩いて修道院へ。ここを希望する観光客は今までいなかったそうで、ガイドのTさんも初訪問でした。道に迷わずに来ることができてほっとしていました。
↓ ようやく到着~記念撮影。
☆ Notre-Dame de Ganagobie ガナゴビのノートルダム教会 5~7世紀に創設。カロリング時代に修道院が設立されたが、現在の建物は12世紀の建築。11世紀から13世紀には豊富な寄付によって発展したが15世紀にはそれらの支援を失う。それでもなお暗い時代に耐えてきたが、フランス革命の時にはこのクリュニー派の小修道院は解散。しかし、19世紀の終わりにベネディクト修道会として再建された。
↓ 西ファサード
↓ タンパンは「荘厳のキリスト」、ラントウに12使徒という組み合わせ。ロマネスクらしい稚拙でユーモアのある彫刻。
↓ ラントウの下部の丸い切り込みに彫られた使徒たちの足がかわいい・・・
内部には監視人兼絵葉書やパンフレット売りのおじさんが居て、私たちがモザイクの前で話してると、静かにしなさい!と注意された。「ごめんなさい~」でした。
↓身廊は単廊で翼廊と3つの後陣が続いています。写真は明度を上げていますが、中はかなり暗く、シンプルで装飾の少ない空間です。
↓ ここの素晴らしいロマネスクのモザイクは後陣を埋めるように広がっています。北祭室には騎士が槍を持ち、手前の一段下がった内陣にはグリフォンなどのロマネスクの幻想的な動物たち。躍動感あふれる姿を見せています。オリエントの絨毯によくみられる動物たちが、ここでは舗床モザイクとして残っているのです。
↓ 交差部の北側
↓ 交差部の南側
↓ 交差部の騎士とドラゴン
↓
↓ 12世紀に教会ができてから造られた回廊はガラス越しに一部だけが見えました。見学不可なのです。ガイドのTさんが例のおじさんに尋ねてくれましたが、「ここは修道院なんだから」と半分怒られて・・・「ケチ」ねとふたりでブツブツ。活動している修道院でも回廊は開放するところが多いのに。
↓外観ですが、石塀に阻まれてここまでしか写せませんでした。
↓ 最後に扉口を写して、
駐車場近くのブックショップに寄り、リーフレットやここで作っているオリーブ石鹸を購入。そして、エクスに戻りました。また明日も午後の3時間ほどサン・レミ・ド・プロヴァンスまでをお願いして、ホテルまで送ってもらいました。ということでいつもの苦行から様変わりの楽ちんロマネスク巡りになってしまいました。
夕食はケチって部屋で手持ちのもので済ませました。夜はオペラの予定もないので、本を読んだり、i padで遊んだりしてのんびり過ごしました。
2013夏の旅(13) エクサンプロヴァンス [2013夏ヨーロッパ(オペラと美術の旅]
7/20(土)
昨日は10年ぶりのエクス、そして夏の音楽祭の一日目とあって興奮気味でした。オペラ観劇の疲れもあり、朝起きたときからまた、身体がふらついた感じがします。午前中に予定していたワインツアーはまだ予約もしていなかったので、パス。夜の「ドンジョヴァンニ」までのんびり街の散策くらいにとどめて、休養することにしました。
遅い朝食を済ませ、部屋の掃除は断ってタオル交換だけお願いして、昼まで部屋で休みました。それでもお腹だけは空いてきましたので、なにか美味しいものが食べたくなりました。「地球の歩き方」に出ていたレストランをホテルの人に予約してもらって、外出しました。
↓ 今日も猛暑~
↓ パフォーマンス(モーツアルトかな?)の人も暑いのにご苦労様!
↓ ミラボー通りの噴水で水浴びするワンコちゃん
エクス旧市街でたった1軒のミシュラン☆つきレストランで、昼のムニュをいただきました。
↓ 南仏料理ではなくモダン創作料理です。説明が難しいので、写真でご想像ください。
油や塩を控えた優しい味なので、とても美味しくいただけました。女性のソムリエさんも英語が話せる方で、笑顔のサービスでした。ホテルに戻り仮眠をたっぷりとって、夜は大好きな指揮者ミンコウスキーの振るオペラです。きものを着る予定でしたが、この暑さと野外の公演なので、諦めました。なによりもいまいち体がしゃんとしなくて、元気が出ませんので。
♪ モーツアルト『ドン・ジョヴァンニ』21:30~@Théâtre de l'Archevêché
Direction musicale | Marc Minkowski |
Mise en scène et scénographie | Dmitri Tcherniakov |
Costumes | Dmitri Tcherniakov et Elena Zaytseva |
Lumière | Gleb Filshtinsky |
Don Giovanni | Rod Gilfry |
Leporello | Kyle Ketelsen |
Donna Anna | Maria Bengtsson |
Don Ottavio | Paul Groves |
Donna Elvira | Kristīne Opolais (5, 8, 10 et 13 juillet) / Alex Penda (15, 18, 20 et 23 juillet) |
Zerlina | Joelle Harvey* |
Masetto | Kostas Smoriginas |
Il Commendatore | Anatoli Kotscherga |
Chœur | Estonian Philharmonic Chamber Choir |
Orchestre | London Symphony Orchestra |
モーツアルトです。バロックとともに定評のある指揮を確信し、そのとおりに素晴らしい音楽を聴かせてくれました。ただ問題は演出にありました。開幕前に登場人物の説明書きが幕に映されたのですが・・・目が点。ツェルリーナがドンナ・アンナの娘って?舞台設定はイギリスの現代の貴族のお屋敷でしょうか。書棚の並ぶ客間で物語は始まります。登場人物はドン・ジョヴァンニも含めてここの住人らしいのですが、シーンが換わるたびにバタンと幕が下りて、次の場面は何週間後とかいちいち時間の経過を知らせるのです。そのたびに音楽が途切れるような気がして、正直うんざりでした。ミンコウスキーの指揮とモーツアルトの音楽だけに集中するようにしました。幕間に少々疲れてぼんやりベンチに座って居ましたら、隣のご老人に声をかけられました。ここの音楽祭は水準が高くて素晴らしいと言いましたら、日本のマダムがここまで来てくれて嬉しいと手をとられ、チュッ(手の甲にです)。そうそう歌手ですがタイトルロールのRod Gilfryは初めて聴きましたが、レポレッロのKyle Ketelsenとドンナ・アンナのMaria Bengtssonはそれぞれ2回目でした。こういってはなんなのですが、ウィーンあたりの有名キャストを揃えたルーティン的な公演よりも、昨夜も今夜も熱の入った舞台を若い歌手たちが、優れた指揮者のもとで作り上げ、成長していく公演のほうがずーっと素晴らしく、それがエクスの夏の音楽祭の魅力になっていると思いました。演出も深く考えることができれば納得できるのかもしれませんが、私のおつむでは・・・無理そう。
↓ 土曜日の夜、といっても日付は変わってますが、市庁舎前の広場は若い人たちで盛り上がっていました。
明日はオペラのない日なので遠出をします。当初はもちろん自分のプラン通りに列車やバスも利用して行くつもりだったのですが、大事をとってプランを縮小し、日本人のハイヤー兼ガイドさんにお願いすることにしました。そう決めると気が楽になりました。夜食に昼間調達した果物など食べて就寝。
2013夏の旅(12) チューリッヒ~エクサンプロヴァンス [2013夏ヨーロッパ(オペラと美術の旅]
7/19(金) Zurich10:40→ParisCDG12:00/13:10→Marseille14:35。。。Aix-en-Provence
エクサンプロヴァンス/Hotel Augustins 4泊
昨夜はぐっすり眠れたはずですが、朝になってどうも体調がおかしいのです。食欲もなく、体に力が入りません。旅も半分が過ぎて、疲れの出るころですから、無理をせずに動かなければなりません。なんとか朝ごはんを済ませて、チューリッヒ空港まではTAXIで。
この日の移動で一番心配だったのが、パリCDG空港での乗り換えでした。過疎ターミナルのGからFターミナルまで、1時間10分しかありません。今まではここで荷物をピックアップする必要のある乗換ばかりでしたので、どうなるかしら?とAFのチェックイン・カウンターへ。でもマルセイユまでもAFだったので、バッケージ・スルーとのことで、一安心。無事にターミナル移動して表示通りの搭乗口へ。ところがそれらしい行列も無いのできょろきょろ。搭乗口が替わったそうで、またあたふたと移動。エアコンもあまり効いてなくて、ガラス張りのターミナル内は大層暑く、汗だくでした。フランスって原発国だからこんなにけちけち節電するとは思わなかったわ~と毒づきながら機内へ。
そして、南仏プロヴァンスの玄関口マルセイユ空港に降り立ちました。アルザスも暑かったけれど、こちらはまたレベルが違います。容赦なく降り注ぐ強烈な太陽の光!道産子の私は体調不良もあって眩暈して倒れそうでした。TAXIで30分ほどのエクサンプロヴァンスの街へ。宿はミラボー通りから少し入ったところの修道院を改装した古いホテルです。
↓ 2階の部屋はピンクが基調のインテリア。エアコンも効いて寒いほど。
↓ 洗面ボールが二つなので、洗濯しやすかった広いバスルーム。トイレも別。
今夜から早速エクサンプロヴァンス夏の音楽祭のオペラ鑑賞です。早めに食事して、仮眠をとらなくてはなりません。とりあえず、近場の広場に面したカフェでローカルワインのロゼとクレープなどいただきました。
↓10年ぶりのミラボー通り。以前はプラタナスの枝が緑のトンネルのようだったのですが・・・聞くところによると、何年か前にプラタナスに病原菌がついて、伐採した木もあったそうです。
20時ごろ起きだして、開演1時間前にホテルを出ました。まだ陽が落ちていません。ゆっくり歩いても10分もかからないくらいで、懐かしい司教館の会場に着きました。以前は(1999)ドレスアップした観客が多かったのですが・・・。30分前にならないと入場できないので、20分ほど立ってました。開幕前から疲れました。
♪ ヴェルディ「リゴレット」21:30~@Théâtre de l'Archevêché
Musical direction | Gianandrea Noseda |
Stage direction | Robert Carsen |
Dramaturgy | Ian Burton |
Stage design | Radu Boruzescu |
Costumes | Miruna Boruzescu |
Light design | Robert Carsen and Peter van Praet |
Choreography | Philippe Giraudeau |
Rigoletto | George Gagnidze |
Gilda | Irina Lungu |
Il Duca di Mantova | Arturo Chacon Cruz |
Sparafucile | Gábor Bretz |
Maddalena | Jose Maria Lo Monaco |
Giovanna | Michèle Lagrange |
Il Conte di Monterone | Wojtek Smilek |
Borsa | Julien Dran |
Marullo | Jean-Luc Ballestra |
Il Conte di Ceprano | Maurizio Lo Piccolo* |
La Contessa di Ceprano / Paggio | Valeria Tornatore |
Chorus | Estonian Philharmonic Chamber Choir |
Orchestra | London Symphony Orchestra |
席は最前列の少し左側。エクサンプロヴァンスで観る3公演の中では一番良い席でした。チケットを取りやすかったのは、やはりキャスト。いわゆるスター歌手は歌わないので魅力が乏しくなります。私も初めて聴く歌手ばかりでしたが、指揮のノセダと演出のカーセンに期待して席に着きました。
司教館の中庭は野外ですから、音響は決して良いとは言えません。ただ私は夏の音楽祭らしい雰囲気重視派(笑)なので、うるさいことは言いません。ノセダの指揮は熱のこもった良い演奏でしたし、演出も一部(特に最終場面)えげつなさ過ぎると思いましたが、サーカス小屋の出来事のような舞台設定には、違和感はありませんでした。ピエロ役はもちろんリゴレット。マントヴァは若き好色な団長。歌手陣は比べては可哀そうですが、当代随一のフローレスやダムラウ、ヌッチなどで聴いてしまった身には物足りなかったのは致し方ありません。でも、新人でしょうか?それなりに役どころをつかんで、演技にも気持ちがこもっていて心動かされました。なかでもジルダのIrina Lunguは可憐な容姿がぴったりでした。ストーリーはともかくとして、全編に流れるヴェルディの名曲は何度聞いても、どこで聴いても感動させられます。休憩の時、演出したカーセンを見かけました。友人たちにでしょうか、大きな声でこの舞台のことを解説していました。カーセンの演出は初めて出会って、度胆を抜かれた(笑)ホフマン以来多く接してきましたが、出来不出来はあっても印象に残る舞台が多かったです。これからもエロは少々に抑えて、色っぽくもピリッと辛口な現代のオペラをお願いしたいです。刺激的な舞台でしたから、チューリッヒから飛んできた長旅の疲れがあったにしては、眠気もなくて、まずまずの滑り出しでした。
終演は日付が変わった真夜中でしたが、週末ということもあって、まだまだ人の絶えない賑やかなエクスでした。