(4-2)アルメンノ~ミラノ [2016初秋 ミラノ(ロンバルディア)の旅]
~続きです。
独りで列車やバスを乗り継ぎ、最終は徒歩で ロマネスクの聖堂を巡るのは、73歳になった身には過酷であることは確かです。しかし、この苦行にはツアーで容易に巡れるロマネネスク訪問とは一線を画す大きな喜び、到達感が得られるのです。サンティャゴ巡礼の苦難の旅とは比較になりませんが、野道の先に姿を現したサン・トメ円形教会には心底感動しました。この小さな円堂が1000年にわたって受け入れてきた数多くの信者たち、巡礼たちのひとり(私の場合は無宗教なので美の巡礼ですが)となって拝観させていただきました。
☆サン・トメ円形教会Rotonda di San Tomè. ランゴバルド起源の説もありますが、今の教会は11~12世紀に建設されたロンバルディア・ロマネスク様式のものです、教会に隣接した建物は旧修道院で、現在はAntenna Europea del Romanicoの財団のボランティアの活動によりインフォメーション、ガイド、それに小さなカフェやショップも併設され、運営されています。
↓西扉口 /白っぽい石で3層に積まれた外観は小さな窓とロンバルディア・ベルト、刳り抜かれたクロス型の簡素な美。初秋の青空に映えて・・・。
午後からの参観は14:30なので、バスで来たらしいツアーの方たちと一緒になりました。ガイドが始まる前に10分ほど時間があり、その間に扉口の彫刻など撮りました。
↓閉ざされた西扉口の柱頭彫刻
↓堂内には南扉口から入ります
堂内は写真禁止とのことで、見学が終わりいったん外へ。狭い堂内に団体さんと一緒では観た気がしませんから、またあとからゆっくり来ようと、カフェでお茶して絵葉書など買って30分ほどしてから、再び南扉口へ。そうするとなんと!カメラを手にしたおじさまが・・・。先ほどは「ノー・カメラ!」と厳しい表情だったガイドさんがニコニコ 。な、なんだと思いながら私も控えめながら(笑)便乗させていただきました。
↓淡いブルーに浮かぶドームのトップ
↓階上のマトロネオ(婦人用特別席)への階段は閉鎖されていますので、絵葉書です。
↓マトロネオの柱頭彫刻(絵葉書)
↓階上を見上げたところ
さて、これから1階部分をカメラにと思ったところで、時間切れ…。あ~もう少し早く来ればよかった(涙)
↓参考書の『LONBARDIA ROMANICA』からスキャンしました。奥が祭室。
↓サン・トメの断面図(左の飛び出た部分が祭室)
↓後背部へ
↓後背部からは崖に面していて眺められませんので、夜景ですが絵葉書で。
↓名残惜しみつつ(北側から)
次の目的地に向かいましたが、さきほどサン・トメのインフォメーションでいただいたMAPのサン・ジョルジョ教会までの近道が見つかりません。サン・ジョルジョ教会の方向は自動車の多い大きな道で、先は陸橋になっていて、途中で教会への道に降りられそうもありません。すると、向かい側の小道から散歩の途中らしいおじいさんがでてきたので、訊きました。ここからは遠いし遠回りになるよと言われたのですが、ほかの道の説明も難しそうだったので、遠回りを覚悟して、その野道に入りました。カーブした野道を抜け畑や住宅が並んでいる道を1Kほど歩いたところに沼があり、そこで小さな男の子を含めたファミリーがバーベキューの用意をしています。突然現れた日本のおばあさんに驚いた様子でしたが、サン・ジョルジョ教会に行きたいというと、説明は面倒だから、車で送ってあげると若いパパ。「それがいいよ~」と優しい笑顔の皆さん。可愛い男の子にバイバイと見送られて
まだ1Kほどあった道を5分もしないで到着。疲れ果てていた私に助け舟の親切なかた、本当にありがとうございました。
↓サン・ジョルジョ教会。正面からのアプローチ。
↓両脇のかなり高さのある石積みの塀が素朴でイイ感じ。
↓西正面。サン・トメで一緒だったバスツアーの人達が見学を終えて帰るところでした
☆サン・ジョルジョ・イン・レミーネ教会chiesa di San Giorgio in Lemine ここも古くはランゴバルドとのつながりがあるといわれている12世紀に建てられた教会です。何度か改装されたらしくロンバルディア・ロマネスク様式の典型とはいえませんが、素朴で、シンプルな佇まいは好感が持てます。北側に塀に囲まれた墓地が付随しています。
↓全景(絵葉書)
↓内部は三廊式のバジリカスタイル。近年の修復中に発見されたというフレスコ画が壁面全体を覆っています。これがロマネスク期のものでないのは、一目瞭然(13世紀以降14~15世紀?)なので、さーっとひと巡りで終了。堂内にはサン・トメと同じ財団の管理になっていて、ガイドのおじさんがひとり、手持無沙汰なようでしたが、イタリア語はわからないし、時間もないからとお断りしました。
↓木の天井が古めかしくて素敵でした。
↓サン・ジョルジョを描いたフレスコ
↓後背部
↓その時パカパカと乗馬のひとたち。この辺の舗装のない道を歩いているのでしょうか。
↓ 教会の南側面と乗馬の人たち
早めにバス停に 行こうと歩き始めたのはいいのですが、反対方向へ行ってしまって、途中で気が付きもう一度教会に戻りました。田舎道でほとんど人影はありません。そこへ若い女性が歩いてきました。停留所はわからないけれど、と携帯電話をだして検索して、自分のうちの方向だからと送ってくれました。教会の後陣から東へ300メートルのところ、彼女の家から200メートルくらいですが、このラインのバスには乗ったことはないそうです。握手してお別れ。幸運にも親切な人たちに出会えたおかげで、無事に目的をクリアできました。感謝の気持ちでいっぱいです。
↓ バス停のあるサン・マルティーノ通り
サン・マルティーノ16:41(バス)→ ポンテ・サン・ピエトロ16:59/17:30→モンツァ18:10/18:27→ミラノ中央駅18:40
ほぼ時間通りに来たバスで ポンテ・サン・ピエトロのFS駅に戻りました。駅では切符を売ってなくて、タバッキも閉店、結局バールでミラノまでの切符を買い(4.8€)、エスプレッソを飲んで、トイレタイム(鍵を借りる→用が済んだら鍵を閉めて返す)。モンツァ経由でしたが、遅れもなくミラノ中央駅にたどり着きました。
ホテルの夕食は今日は土曜日なので豪華に手長エビやステーキが出ました。後から明細みましたが、やはり週末はホテル代も高いみたいです。平均して1泊2食付きで24000円でした。ややお高いですが、定宿にしているアンバサダーが朝食だけで、ほぼ同じ価格でしたから、何か見本市でもあったのかもしれません。
一番難関だったこの日の探訪もなんとか終了できて、ほっとしたのでしょう。翌日は気が抜けて?17年ぶりのスリにあってしまったのです。。。被害はなかったものの(いったん掏られた財布を返してきて)それでも悔しい~!!
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