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2013秋の奈良(法華寺・秋篠寺・法隆寺他) ブログトップ

十一面観音巡りの旅(10)秋の大和路 [2013秋の奈良(法華寺・秋篠寺・法隆寺他)]

 昼食のため法隆寺の参道まで戻り、柿の葉寿司定食をいただきました。

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 お腹がいっぱいになると、次の目的の法輪寺までは2Kほどの距離ですが、雨の中を歩くのが億劫になり、バスもまだ待たなければならないので、タクシーで数分の法輪寺へ。

☆法輪寺

 斑鳩の北に位置する法輪寺は大和の十一面観音巡りにもラインナップされているお寺です。創建は飛鳥時代に遡り聖徳太子の病平癒を祈って建立されたと伝えられています。
付近は畑も広がり、訪れる人もまばらです。法隆寺のまばゆいばかりの偉大さから、ひっそりと慎ましい法輪寺の佇まいに正直ほっとしました。

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 斑鳩の里の風景として、法隆寺と法起寺とともに親しまれてきた当時国宝だった三重塔は1944年に落雷のため焼失。戦後の混乱期での再建は困難を極めましたが、作家の幸田文をはじめとする支援があり、1975年に焼失前と同じ姿で再建されました。

 講堂の本尊十一面観音菩薩立像は平安時代の作です。約4Mの高さがあり、力強い顔ですがおおらかな作風です。両脇に飛鳥時代の木彫の薬師如来像や虚空菩薩立像が並んでいます。

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くわんのんの しろきひたいに やうらくの
かげうごかして かぜわたるみゆ  會津八一

 また、妙見堂には秘仏の妙見菩薩が祀られていますが、特別公開は11/7までで、残念ながらお参りはできませんでした。妙見菩薩はまた北辰尊星王といい、北辰(北極星)の仏様です。斑鳩の里は星が綺麗に見えるのでしょう。夜空の星と鄙びた古のお寺の風景はベストマッチですね。斑鳩の里に宿泊すれば素敵でしょうね~。 ↓は絵葉書です。

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↓ 法輪寺から法起寺までは1Kくらいの道のりです。

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☆法起寺

法起寺はコスモスの寺とも知られ、時期には大勢のアマチュアカメラマンが押し寄せるそうです。

↓このときはすでに枯れ始めていたのですが、門前でいちおうパチリ。背景に三重塔を入れるためには、まだ遠くまで離れる必要がありますが、なにしろこの雨ではどろんこになってまではと諦めました。

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 606年に聖徳太子が法華経を購説されたという岡本宮を寺に改めたものと伝えられています。奈良時代には相当栄えていましたが、その後荒廃していたため江戸時代になって修復されました

↓ 法起寺三重塔(国宝)日本に現存する最古の三重塔

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↓法起寺の「十一面観音菩薩立像」は収蔵庫に安置されています。木造高さ3.5M 10世紀後半の作。

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↓ 全身像は絵葉書で。

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 雨の吹きつけるバス停で15分も遅れてきたバスに乗って、法隆寺門前~法隆寺JR駅~奈良JR駅と乗り継いで、ようやく戻りました。奈良駅前からはバスで閉館近い奈良国立博物館へ再度訪問しました。常設の仏像館の見学がまだだったのです。素晴らしいコレクションなのですが、今日見てきた優れた飛鳥~白鳳様式の仏像の残影のためか、どうもインパクトが弱くなってしまいました。以前見てお気に入りだった「飛天」も見当たらず、バスでホテルへ。

↓正倉院展は明日で閉幕なので、入口はかなりな行列でした。

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夕食はホテル内のレストランで独りごはん。ブッフェ形式でしたが品数も多く、美味しくて満足、満腹。疲れていて外に食べに行く気力も残らない時は、やはりホテルの中でそこそこのものがいただけるのは有難いです。

 
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 この後は大阪(文楽)~福井(次女宅)~東京(コンサート)とたっぷり遊び回って・・・2週間ぶりに帰札。札幌は早くも初冬の冷たい風が吹いていました。(終)



 



 


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十一面観音巡りの旅(9)秋の大和路 [2013秋の奈良(法華寺・秋篠寺・法隆寺他)]

 今日は斑鳩の里を歩きました。降ったりやんだりでしたが、傘の手放せない雨の一日でした。斑鳩の法隆寺まではJRで、法隆寺駅前からはバスで門前まで。法隆寺は高校の修学旅行以来ですから、なんと!53年ぶり・・・。当然、何も覚えていませんでした。かろうじて観音様を古い木造のお堂で観たのはおぼろげに・・・ガラスで覆われることも柵にさえぎられることもなく、目の前で鑑賞できたことは、今回ここを訪れてみて、あれは貴重な体験だったのだと痛感。セーラー服の可憐な?(というよりおバカな 笑)17歳、セピア色の思い出です。

☆法隆寺 

 斑鳩の里にある「法隆寺」は飛鳥時代の姿を現在に伝える世界最古の木造建築として知られ、1993年に日本で初めてユネスコの世界遺産に登録されました。607年の創建には聖徳太子がかかわっていたと伝えられています。世界最古の建築群である七堂伽藍のすべてが、国宝に指定されており、そのうえ寺院に納められている仏像・仏具の殆どが、飛鳥・白鳳・天平時代の作という、文化財の比類なき宝庫のような寺院です。

↓ 法隆寺の玄関、南大門(室町時代)から入ります

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↓中門(金剛力士像)

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↓廻廊の外から見えた五重塔

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↓五重塔の相輪

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↓廻廊から。手前に金堂と五重塔

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↓金堂の柱に絡む龍

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 金堂には本尊として聖徳太子のために造られた金銅釈迦三尊像が中の間に安置されています。中央の座するお釈迦様の台座の裾が華やかに翻っているのが飛鳥時代の特徴とか。面長なお顔にアルカイックスマイル、光背の淵には13個の孔があけられていて、そこに風に舞う飛天が取りつけられていたようです。

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 当然カメラ禁止ですが、室外からの見学なので近くでは鑑賞できません。そのうえ見物客も多く、押されるような姿勢で観なければなりません。天蓋まで鑑賞する余裕がなかったのですが、ここにも私の大好きな奏楽の天女(透かし彫り)があったようなので、次回の宿題にいたしましょう。壁画は昭和24年の火災のため焼失したのでパネルに再現されています。

 ↓ 法隆寺でいただいたご朱印がその奏楽の天女(透かし彫り)のようです。

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 五重塔は1300年の時を越え、日本最古の塔として聳えたっています。初層内部には塑像群が配置されています。中央に須弥山が造られ、その周囲の涅槃像土(北面)は最も迫力があります。仏陀を失った悲しみの比丘たちの造形は他の慈悲をたたえた仏像とは全く違って、驚きました。(天平時代、国宝)

↓ 聖霊院には聖徳太子坐像(平安末期、国宝)が安置されています。

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 聖霊院の裏側に大宝蔵院(平成10年)があり、世界的に有名な百済観音像(飛鳥時代)をはじめ夢違観音像(白鳳時代)玉虫厨子などを観ることができます。

百済観音の八等身のお姿は法隆寺の名だたる仏像の中でも群を抜いた存在感です。和辻哲郎や亀井勝一郎が絶賛するだけはあります。ただロマネスクの彫刻などでも感じますが、出来れば古いお堂の中で、ゆらめく蝋燭の灯りや供えられた花々の陰で観たかったです。

↓百済観音像(飛鳥時代、国宝)画像はNETから拝借しました。

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そして、夢殿へ向かいました。↓途中にある東大門が見えてきました

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↓ 夢殿

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 739年に聖徳太子の遺徳を偲んで建てた伽藍の中心がこの夢殿です。八角円堂の中心の厨子に聖徳太子等身の秘仏救世観音が安置されています。夢殿本尊特別開扉(春と秋)の時期でした。1884年にフェノロサによって厨子が開扉されるまで1000年の間、秘仏だったそうです。そういう伝承からのイメージや聖徳太子没後の一族の悲劇もあり、神秘的な妖気さえ漂うそのお姿にただ溜息・・・するとお隣で観ていた老婦人が「こちらからのほうが良く見えますよ」と場所を譲ってくれました。関西の方でしょうか、特別公開の時期には必ず訪れるそうです。ご親切に感謝でした。

あめつちに われひとりゐて たつごとき
このさびしさを きみはほほゑむ   會津八一

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そして、夢殿から中宮寺へ移動。

☆中宮寺

↓庭園に咲くモチノキ

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 中宮寺では「弥勒菩薩半跏思惟像」(飛鳥時代)を観ました。安置されている本堂は昭和43年築で池にかかる短い通路と階段を上っていきます。 写真を撮り忘れたのでNETから拝借。池にはカメさんたち。

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↓菩薩半跏像(絵葉書)

270px-Bodhisattva_Chuguji.jpg  中宮寺菩薩半跏像.jpeg

「考える像」として有名な菩薩様は優しく微笑んだお顔、頬に触れる優雅な指先、半跏の姿勢も上品で、完璧な美を備えています。お堂は新しいけれど、おそば近くまでにじり寄り、膝を折りお参りしつつ見上げる目の先の菩薩様。造られた当時は鮮やかに彩色されていたそうですが、黒く光っているのは素地を固めるために塗った漆の色だそうです。千三百余年の昔から祈りの中に佇まれ、徐々に退色、黒いマリア様ならぬ菩薩様の姿になられたのですね。

↓菩薩半跏像の左には国宝の「天寿国曼荼羅繍帳」のコピーが飾られていました。聖徳太子が崩御された後に妃の橘大郎女が作らせたと言われています。

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↓ お堂の入り口にあった歌碑

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みほとけの あごとひぢとにあまでらの
あさのひかりの ともしきろかも  會津八一

 場所が境内のどの辺だったか、記憶が薄れていますが「法隆寺秘宝展」も開催されていました。ここで魅かれたのが同じ斑鳩の里にある法起寺の寺宝「銅造菩薩立像」(飛鳥時代白鳳期)↓は絵葉書です。時間と体力を考えて法起寺には寄らないつもりだったのですが、この小さな可憐な菩薩様を眺めているうちに、法起寺に呼ばれている気持ちになったのです。

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十一面観音巡りの旅(8)秋の大和路 [2013秋の奈良(法華寺・秋篠寺・法隆寺他)]

 近鉄西大寺駅前でバスを降り、踏切を越えて、徒歩数分の西大寺へ。
西大寺は入口のチケット売り場はなく、何処の門から入っても最初のお堂で共通券を買う仕組みになっています。駅方面からは東門から境内に入ることになります。

↓ 西大寺の境内

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☆西大寺

 西大寺は奈良時代の764年に女帝称徳天皇の勅願により建立されました。翌年には金銅の四天王像を鋳造し、四王堂に本尊として安置されました。当時は文字通り東大寺に対する西の大寺にふさわしい大伽藍を誇っていました。しかし、たびたび災害に遭い衰退していきました。

↓東門からすぐの四王堂は1674に再建されたものです。

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 ここに安置された四天王像も再三の炎禍にかかり、1502年の兵火により焼失した後に再建されたものといわれています。増長天が踏まえる邪鬼だけが創建当初、天平期のものとのこと。この四王堂には大きな十一面観音立像(1289藤原彫刻)が安置され、現在は本尊として参拝されています。右手に錫杖、左手に華瓶をささげた長谷寺式のお姿です。
ここでお参りを済ませ、昼食をとるからお堂を閉めるという係りのお坊さんに急いでご朱印をいただきました。

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この四王堂でほかのお堂を巡るチケットを購入しました。それぞれのお堂に受け付けがあります。

↓ 本堂/総板壁で重要文化財の釈迦如来や弥勒菩薩像が安置されています。

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 11/15まで秘仏が開扉されていました。愛染堂の本尊「愛染明王坐像」(鎌倉時代1247)です。この色彩が鮮やかに残る憤怒の顔をした愛染明王はその持ち物の 矢は鎌倉時代の蒙古襲来のとき博多湾に神風を起こしたという霊験譚が伝えられています。江戸時代にこの像が江戸回向院に出開帳されたとき、二代目の団十郎が中村座で「矢の根五郎」を上演し、それを鳥居清信が描いて奉納した絵馬が飾られています。

↓ 秘仏の愛染明王坐像  (NETから拝借)

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 西大寺の見学を済ませ、遅くなったランチは駅近くの小さなラーメン屋さんで博多ラーメン650円。秋篠までの道には食堂などなかったので、ここで済ませて正解でした。西大寺の塀の近くに道しるべがあり、これを辿って30分ほどてくてく歩きました。

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道は住宅街を抜けて秋篠の里に入りましたが、期待していたほどの風情もなく、ごみが落ちていたり・・・。でも秋篠寺の近くになるとススキや柿の木の向こうに南門が見えてきて、それなりに感動しました。「歴史の道」と名付けられた割に歩く人もほとんどいませんでした。

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まばらなる たけのかなたの しろかべに
しだれてあかき かきのみのかず 會津 八一

☆秋篠寺

↓ 南門

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 山門をくぐると緑の林に細い道が伸びて、爽やかな空気がいっぱいのアプローチです。木の根の間は苔が絨毯のように美しく広がっていました。

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 200mほど歩くと入口に社務所があり、その奥に国宝の本堂が建っています。ここに数多くの仏像が安置されています。光仁天皇の勅願により776年に創建された奈良時代最後の官寺。創建当初の講堂は鎌倉時代に大修理されています。天平と鎌倉の2つの様式美が凝縮されています。

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 本尊の薬師三尊像をはじめずらりと並ぶ中で、最も有名なのが「伎芸天立像」(奈良と鎌倉時代の複合)です。疲労とお堂が暗いせいもあって、さほど印象に残らなかったのが今思えば残念・・・。
またここの「十一面観音立像」は東京国立博物館に寄託されているそうです。( 追記:2014.2に鑑賞)

↓本堂裏にある鐘つき堂

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 あきしのの みてらをいでて かへりみる 
いこまがたけに ひはおちむとす  會津八一

 バスの時間が迫っていたこともあって、大急ぎで東門から退出。八一先生のように生駒が岳を返り観る余裕もなく、住宅街のバス停へ走りました。でも数分遅れたバスで西大寺駅へ。そして奈良JR駅行きに乗り換えて、ホテルに戻りました。

夕食は春にも独りで食べに行った「かこむら」で、ひろ子さんの友人と3人で会食。個室にしていただいたので、初対面でも気兼ねなくおしゃべりができました。 北海道組の2人は今日は暑かった、汗をかいたと言い、四国からの方はカシミアのセーターで、寒いと言って・・・笑。
お料理も昨夜ほどではありませんが、松茸が土瓶蒸しをはじめいろいろに使われていて、秋の味覚を満喫。

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 充実の奈良の一日でした。


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十一面観音巡りの旅(7)秋の大和路 [2013秋の奈良(法華寺・秋篠寺・法隆寺他)]

 奈良は盆地なので朝夕は10度以下と冷え込みましたが、この日も昼間は20度まで気温は上がりました。茶がゆの朝食をとり1泊した旅館をチェックアウト。TAXIで次のJR奈良駅の傍のホテルに宿替えしました。宿の近くの興福寺や猿沢池など散策できなかったのが残念でしたが、この歳ではあまり無理はできません。奈良での最大の目的「十一面観音像巡り」はこれから始まるのですから。。。今日は佐保路を巡ります。

 今日から2泊する奈良日航ホテルに荷物を預け、目の前のバスターミナルから西大寺駅行きに乗車しました。JR駅構内で買った奈良交通の一日観光パス(奈良市内や近郊乗り放題特価で500円!)をポケットに、まずは法華寺へ。バス停で横浜からの独り旅のシニア女性と一緒になり、お寺の南門まで300mほど一緒に歩きました。

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☆法華寺

 かっては「総国分尼寺」として栄華を誇った法華寺は聖武天皇の妃である光明皇后ゆかりの寺です。ここの十一面観音立像は「本堂」に安置される秘仏です。春と秋に公開されるとのことで、これは良いチャンス!とやってきました。平安初期に造られた艶めかしい肉厚の唇にグラマーな肢体ですが、木肌の美しさを生かした素地仕上げになっています。尼寺という環境もあり、写真より清楚な印象を持ちました。また、下の會津八一 先生も歌われてますが、藤原不比等の娘の光明皇后をモデルに造られたという伝承があります。でも実際に仏像が造られた時代が違うので、史実ではないようです。

ふぢはらの おほききさきを うつしみに 
あひみるごとく あかきくちびる   會津八一

お参りを済ませ、ご朱印をいただきました。

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 ↓ 落ち着いた雰囲気の境内(左に鐘楼)

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↓から風呂/ 光明皇后が貧しい人々(千人)の垢を自ら流したという伝承で知られた建物(内部見学不可)

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↓ 庭園から本堂を眺め

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↓本坊庭園/初夏には杜若が咲きます。

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↓ 白椿が咲いていました。

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↓光月亭の縁側で羊羹とお薄をいただき、

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 「法華寺前」のバス停に戻り、少し先へ歩くと海龍王寺です。交通量の激しいバス通りからすぐ階段になっています。山門の土塀も古めかしく、狭い参道の先にはこじんまりした境内。

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☆ 海龍王寺

 天平3年(731)光明皇后によって創建。唐に渡った留学僧玄昉を開基とする。寺の名前は玄昉が唐から戻る途中暴風雨に襲われながらも無事帰国し、持ちかえった海龍王経にちなんでます。そのため現在でも旅行や留学の安全祈願に訪れる人も多いそうです。本堂には鎌倉時代の十一面観音が本尊として祀られています。友人が何年か前に訪れたときは境内は荒れ果てた印象だったようですが、今は鄙びてはいるものの、静かで落ち着いた佇まいです。

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 奈良時代に建立された「西金堂」と堂内に飾られた国宝の五重小塔も見どころの一つです。相輪を含む高さは4mあまりと本物の伽藍としての五重塔ではありませんが、奈良時代のオリジナルの様式を伝える塔として貴重な作例とのこと。

しぐれのあめ いたくなふりそ こんだうの 
はしらのまそほ かべにながれむ  會津八一

ここは平城京跡にも近く、ハイキングを兼ねてこの一帯の寺巡りをしている人も多くみかけました。私はバスに乗って、車窓から平城京をながめつつ、昨日も通った近鉄西大寺駅へ。  


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十一面観音巡りの旅(6)秋の大和路 [2013秋の奈良(法華寺・秋篠寺・法隆寺他)]

 奈良では3泊するのですが、1泊目は日本式の宿も良いかなと猿沢池近くの宿をとりました。時節柄高かったのですが、和室に独りで泊まれる旅館は奈良には少ないので、ようやく料金も許せる範囲で、見つけました。屋上には露天風呂があり、ライトアップされた興福寺の五重塔が見えたのは良かったです。泊まった部屋は やや古びてはいましたが、小さな浴室は洗い場のある和式のお風呂、部屋も広く、まあまあ。飛鳥荘1泊

 部屋で少し休憩してから、徒歩で15分くらいの奈良国立博物館へ行きました。
↓鹿さんたちがお出迎え。チケットは混雑を予想してネットで購入済みでしたので、並ばずに入館できました。

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 展覧会も終了まじか。この金曜日からが最後の週末とあって、かなりの人々が博物館の広い敷地を往来していました。
紅葉のシーズンにはまだ早かったのですが、今秋は北海道の紅葉を充分に愛でてきた直後でもあり、それほど奈良の紅葉にこだわらずに済みました。 今、写真を改めて観て、紅葉を確認したくらいです(笑)。

「第65回 正倉院展」10月26日~11月11日(月)

 聖武天皇のご遺愛品をはじめ、皇族や貴族たちが東大寺の仏に献納した品々を主に9000件を保存。そのうち毎年70件ほどが公開されています。

 さて、音声ガイドを借りて館内を回りました。今回の目玉はポスターにも使われた「漆金薄絵盤」です。ここだけは1列目で鑑賞するには30分並ばなければなりません。根性なしなので並ばずに、2列目で観ました。蓮華の花びらに描かれた極彩色の緻密な絵柄は余程近くで観なければ良く見えません。幸い展示室の壁に大きな画像があり、それで詳しく見ることができました。カメラ禁止なので博物館のサイトから拝借。

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 天平の世から日本人に脈々と受け継がれてきた審美眼や技術の高さをここでは熱く感じられました。色彩感覚も素晴らしく、「黒柿蘇芳金銀絵如意箱」や「蘇芳地金銀絵箱」のたとえようもない色出しに脱帽。

↓「花喰鳥刺繍裂残片」の華麗さ、ロマネスクを思わせるオリエンタルな「樹下鳳凰双羊文白綾」などが印象に残りました。

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 偶然同じ日に正倉院展に来ることが出発数日前に分かった友人と、夕食を一緒にすることになりました。地下のミュージアムショップで待ち合わせ、徒歩で「温石」へ。 今日札幌は初雪が降ったというので心配でしたが、ひろこさんは朝早く出発して京都の高麗美術館に立ち寄り、特別展(朝鮮通信使と京都「誠信の交わり」への道というマイナーな展覧会を見学されてから奈良に無事到着しました。正倉院展には毎年通ってらっしゃるので、ここの和食屋も行きつけのお店です。

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この一帯は街灯も少なく、ひっそりと佇む町家風な造り。カウンターでおまかせのコースをいただきました。お酒は名前を忘れてしまいましたが地酒でした。ここのご主人もときどき現れて、お喋り。おかみさんも温かくさりげないサービスで、ミシュランの3☆とは思えない居心地の良さにほっこり。。。

↓ 生湯葉の上に雲丹がたっぷり乗ったものから始まりました。

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ここのご主人は器にもこだわりがあり、古都の和食を器からも堪能できました。
↓ お椀の裏に正倉院御物の模様入り。ゆずの香りのお吸い物

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全部を写したわけではありませんが、このあと河豚のお造りからデザートまで。6:30~9時近くまでかかりました。

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友人はロマネスクの世話役も一緒にしている同好の志なので、ヨーロッパの中世美術から奈良時代の美術まで、話題が尽きることがありません。翌日は彼女の大学時代からの友人が四国から見えるとのことで、私も夕食のお仲間に入れていただくことになりました。いつもの独り旅の淋しい食事から解放された奈良の夜でした。

かすがのに おしてるつきの ほがらかに 
あきのゆふべと なりにけるかも 會津八一 


タグ:正倉院展
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十一面観音巡りの旅(5)秋の大和路 [2013秋の奈良(法華寺・秋篠寺・法隆寺他)]

 春の旅に続き、秋の大和路を歩きました。まず、札幌から名古屋に飛び、ウィーンフィルを聴いた後、名古屋駅前のビジネスホテルに1泊。翌朝名古屋から新幹線で京都、そして近鉄で奈良に向かいました。朝から晴れあがった良い天気です。春以来の大和路の風景を楽しみながら、これからのスケジュールを考えてました。そして、今日が金曜日で、明日は土曜日なので、薬師寺は混みそうです。今日のうちに水煙を見学することにしました。奈良の手前の近鉄西大寺駅であたふたと降車。駅構内のロッカーに荷物を押し込み、電車を乗り換えて西ノ京へ向かいました。

↓ 西ノ京駅を出るとすぐ薬師寺への道があり、

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☆ 薬師寺

↓ 広大な境内にいくつかの伽藍が建っています。

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↓特別展「東塔水煙降臨展」は境内の片隅にある倉庫のようなところで開催中。

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 実は飛天に興味を持ったのはそう古いことではありません。フランスの古都ポアチエを1999に訪れたときでした。なぜかサン・ジャン洗礼堂の壁に描かれた飛翔する天使に魅かれました。シリアのパルミラ博物館で観た浮き彫りの天使、新疆ウイグルの千仏洞の散華する飛天、そして未見だったここ薬師寺の水煙に透かし彫りされた飛天とつながっていくのです。遥かなるシルクロード、民族と文化の交差する中で産まれ、伝えられ、日本の美意識に高められた美しい遺産です。61年ぶりに公開されたという4面に左右対称に造形された天人たち。特に上部のまっさかさまに降りてくる飛天が魅力的です。

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 体育館のような大きな展示会場には他にも貴重な仏像がいくつか並べられていましたが、飛天に魅せられた私の足は自然に水煙に舞い戻ってしまいます。そのうち薬師寺のお坊さんのガイドが始まりました。ユーモアたっぷりの解説に拍手でした。水煙は落雷などの火災から五重塔を守るためのものですが、現代ではパソコンのお守りでもあり・・・炎上を防ぐために、館内の売店にはミニチュアも売ってますから・・・って。お話も商売も巧みなのは故高田好胤師譲りでしょうか(笑)。

 「凍れる音楽」と賞された水煙をまじかに鑑賞した後は境内に点在する伽藍めぐりです。61年ぶりにオリジナルの水煙が公開されたのは東塔の解体修理が始まったからなのです。完成がいつごろになるかは不明ですが、莫大な費用のねん出のためもあり特別公開されたのです。生きているうちに再びこんな近くで観ることはかなわないでしょう。なお制作時期は、飛鳥時代後半(白鳳期)とされています。重いカタログは手が出ませんでしたが、この展覧会のための小冊子を購入しました。水煙全体の構造や解説とても分かりやすく説明されています。

また、歌碑もありましたが、水煙を歌った作品を紹介されていただきます。東塔の頂にあると想像して・・・

すゐえんの あまつをとめが ころもでの
ひまにもすめる あきのそらかな   會津八一 

秋の青空と飛天たち・・・これほど美しい情景があるでしょうか。

↓でも現実の東塔は仮設の建物に覆われた姿(右)。その向き合うように昭和56年に復興された西塔(左)を南門から写しました。

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↓ 回廊からの西塔の眺め

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 次は国宝の東院堂へ。 創建されたのは養老年間(717~724)とのことですが、973の火災で焼失。現在の建物は正面7間、側面4間の入母屋造本瓦葺で、1285に南向きで再建されましたが、1733に西向きに変えられました。堂内では丁度お坊さんたちの礼拝の時間でした。ここには「聖観音菩薩立像」(白鳳時代/国宝)というとびっきりの美仏が祀られています。カメラは禁止で近くから撮影できませんので、お堂の外から写しました。聖観世音菩薩は日本屈指のお美しいお姿の観音さまといわれ、薄い衣を召し、その衣の美しい襞の流れの下からおみ足が透けて見える彫刻法は、インドのグプタ王朝の影響を受けたものだそうです。均整のとれたスタイルに金色の光背も華やかな観音様です。黒っぽい艶のある色(古銅色)も印象的でした。

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次は金堂へ。
昭和51年(1976)4月に白鳳時代様式の本格的な金堂として復興しました。ここには国宝の薬師三尊像 【国宝】 白鳳時代があります。金堂内の白大理石須弥檀[しゅみだん]上に、中央に薬師瑠璃光如来、向かって右に日光菩薩[にっこうぼさつ]、向かって左に月光菩薩[がっこうぼさつ]がお祀りされています。

ここでは薬師三尊像のほかにも大切な見どころがありました。薬師如来台座 【国宝】 白鳳時代です。説明に寄りますとこの台座には「奈良時代における世界の文様が集約されています。一番上の框[かまち]にはギリシャの葡萄唐草文様[ぶどうからくさもんよう]、その下にはペルシャの蓮華文様[れんげもんよう]が見られます。各面の中央には、インドから伝わった力神(蕃人[ばんじん])の裸像が浮彫りされています。さらに、下框には、中国の四方四神(東に青龍[せいりゅう]、南に朱雀[しゅじゃく]、西に白虎[びゃっこ]、北に玄武[げんぶ])の彫刻がなされています。正にシルクロードが奈良まで続いていたのです。」とのこと。

次は大講堂へ。↓金堂から眺めた大講堂です。

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金堂よりも大きく昭和に西塔や回廊とともに再建されました。元は南都仏教が教学を重んじ講堂に大勢の学僧が参集して経典を講讃するための建物でした。
ここには弥勒三尊像 【重要文化財】 白鳳~天平時代があります。

薬師寺のお宝仏像の数々に眼がくらみそうになりながら、務めて心静かにお参りした後はご朱印をいただきました。薬師寺だけで水煙をはじめ3枚ものご朱印コレクションにんまり。

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別料金がかかりましたが、玄奘三蔵特別展や平山郁夫画伯の壁画も見学しました。「平成12年(2000)12月31日に平山郁夫画伯が入魂された、玄奘三蔵求法の旅をたどる「大唐西域壁画」は、玄奘塔北側にある大唐西域壁画殿にお祀りしています」 とのこと。欠かすわけには行きません。新疆ウイグルを旅したときに玄奘三蔵の歩いた遺跡をいくつか回ったこと。あの砂漠の茫漠とした風景が蘇ってきました。

 薬師寺だけで3時間はかかりました。唐招提寺はあきらめて西ノ京から西大寺駅へ。↓遅くなった昼食は駅構内の簡易食堂で

↓650円のハヤシライス。ご飯が五穀米で美味しくて、ヘルシー。

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夜に備えて節約節約とつぶやきながら。。。近鉄奈良駅へ。



 


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