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(2-1)木之本 [2016秋 湖北と明治村の旅]

11/6(日)

 朝風呂も貸し切りのお風呂(全部で3つ)が 使えたので、週末でもあまり泊り客が居ないのかしら?と朝食室に行ってみると、別室の団体さんも含めて十数人の姿。昨日の午後の玄関締め切り事件で泊り客は極少ないと思い込んでいたので、少々意外でした。

 9時にチェックアウトし、迎えに来たタクシーで医王寺へ。医王寺はバスの便がなく、一番近い川合のバス停から山道を2K以上は歩かなければなりません。タクシーの運転手さんに「バス停のある村から歩いて行くつもりだったのよ」というと、仰天されました。この山道は熊や猪、それに猿も出没するところなのだそうです。一応舗装はされていますが、すれ違う車もなく深い山道を抜けると、医王寺のある村落に着きました。お寺のそばに駐車場もあります。9:20分に予約していましたが、すでにお世話役の方がお堂を開けて待っていてくれました。早速正面の厨子に祀られている十一面観音立像を拝観させていただきました。

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  ☆医王寺  大箕山頂にある菅山寺の専暁上人が開基したと伝えられています。菅山寺は菅原道真公の所縁の寺で古い歴史のある寺院だそうです。その菅山寺への登り口にあたる医王寺には美しい十一面観音立像が安置されています。明治20年ころに長浜の古物商の店頭にあったのを当時の医王寺の住職が買い受けて、寺に持ち帰りお祀りしたとのこと。元は神仏分離政策がとられたとき近くの巳高山のお寺から流出したものと考えられています。フランスのロマネスク教会も革命時に破壊され、崩れた石や彫刻が売りに出されたというケースもありました。歴史の波に流されながら生き残った、その昔匠たちの手で祈りとともに刻まれたものたち。よくぞ、ご無事でと想い、祈らずにいられません。

↓写真は禁止ですが、観音堂の外からは許可されました。肝心の頭上が切れてしまいました。

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↓穏やかな微笑みを浮かべて 、細身の初々しさの残るお姿。樟1本造で、裳裾の表現などで、平安期(9世紀後半から11世紀前半)の作風と言われています。

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 今年の夏には東京芸術大学の特別展「観音の里の祈りとくらし展」

http://www.geidai.ac.jp/museum/exhibit/2016/nagahama2/nagahama2_ja.htm 

に貸し出されていたのですが、瓔珞や光背は壊れやすいのでここ医王寺に残されたそうです。その展覧会でご覧になって感銘を受けられた方が、つい最近ここまで訪ねて来られたとのこと。また井上靖氏も何度となくお参りされたとのお話など、山深いかくれ里 の美しい観音さまを前に非日常のゆったりした時間を過ごすことができました。

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 ↓医王寺の近くを流れる高時川

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 元来た道を戻り、次の目的地の巳高閣(ここうかく)・世代閣(よしろかく)でタクシーを降りました。(タクシー代約3500円)。こちらはガイドさんが1グループごとに案内してくれます。

☆巳高閣は巳高山諸寺に祀られていた諸仏のうち本尊十一面観音など重要な仏像を安置されています。799年最澄によって伽藍が建立され名を「巳高山鶏足寺」とされ、湖北の仏教文化圏の中核として江戸時代まで栄えたのですが、政情の変化や地理的悪条件から次第に衰退、昭和8年に本堂も焼失してしまいました。寺院跡は琵琶湖を眺める台地に礎石や庭園が残り、往時をしのぶことができます。なにしろ鶏の足跡をたどって行かなければならないことから名前がつけられたという山上の寺院跡です。ハイキングの上級者でなければ訪問は無理でしょう。巳高山(こだかみやま)標高922.6M。

↓旧鶏足寺の十一面観音立像  平安中期の作/172.1cm/檜一木造。瓔珞も身に着けず、一見素朴に見えますが、漂う気品はさすがです。カメラは禁止なのですべて絵葉書です。

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他には七仏薬師信仰の貴重な遺品の七体がそろった七仏薬師如来立像 (平安後期)など。

続いて世代閣 の見学です。

世代閣 この地の湖北仏教文化圏のひとつを形成していた世代山戸岩寺も時代の流れとともに消えゆく運命にありました。危機感を持った村人たちの献身的な努力によって守られた尊像、寺宝が収納されています。

↓魚籃観音 9~10世紀の作とされる古像/159.0cm   唐の時代に観音の化身が魚を扱う美女として現れた伝説から生まれた観音さま。珍しい観音様で私はほかで観た記憶がありません。肉感的な美女観音の持つ籠に魚が入っています。手の一部や籠などは後補。 

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 他には重要文化財の「薬師如来立像」奈良時代、「十二神将のうち三躯 」奈良時代など。

↓境内の風景

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 さて、これからは徒歩で鶏足寺(旧 飯福寺)と石道寺を回ります。

↓世代閣のある高台から

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↓道沿いの看板はありますが

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↓畑道を横断して進みます 

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↓北海道ではあまり見かけない赤唐辛子の畑

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↓今日は日曜日ですからウォーキングの方々がかなり歩いていて 、山道へは迷わず入れました。

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↓秋のさわやかな一日 、気持ちよく歩けました

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↓途中には茶畑(亀山)の広がる風景 

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登りの山道は私にはきつかったのですが、焦らずマイペースでようやく鶏足寺の境内に着きました。

↓まだ2週間ほど紅葉の時期には早かったのですが 、ここは紅葉の名所として知られシーズンには多数の観光客が押し寄せるそうです。

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↓急な石段の上がお堂なので、息も絶え絶えになり、ここで倒れたら真っ逆さまに落ちるぅ~と青ざめつつも頑張りました。 

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☆鶏足寺(旧飯福寺    飯福寺は735年に僧の行基が開基したといわれる古いお寺です。中世には僧兵を要するほどの大寺でした。本院であった鶏足寺が廃院になったため、名前を受け継いでいます。

↓現在小さなお堂が残るだけで、旧寺にあった仏像は巳高閣に収蔵されています。

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 ここから石道寺へは下り道です。続きます~。 

 

 

 

 

 



  

 

 


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