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(5-1)ロンドン(ショーアム&ハーダム) [2018春イングランドロマネスクとオペラの旅]
5/15(火)
VIC10:1710:47→SSE(Shoreham by sea)11:2711:57/16:17→VIC17:35
イングランド南西部のロマネスク巡りも今日で3日目、そろそろ我が老体には無理になりそうな・・・でも、幸いこの日はお天気も良く、タクシー移動のコースなので、何とかなるでしょうと出発。朝のロンドンは肌寒く気温も15度ほど。
ヴィクトリア駅の大きな出発ボードをチェックしてがっかり。ショーアムに停まる列車はキャンセルになっています。駅員さんに尋ねると30分後とのこと。そして出発のホームが表示されたのは10分前!しかも遠いホームなので走り出す人もいます。列車の半分は途中で違う方向に分かれるとのことで、前の車両まで走って乗車。
これなら何本も出ているブライトン行に乗って、バスでショ-アムに向かったほうが良かったかもしれません。
ほぼ1時間の鉄道の旅。南に向かっているせい?次第に気温が上昇してきました。Shoreham by sea駅に到着したのは正午で、多分すでに25度くらいになっていたはずです。
ショーアムはブライトンの西10Kにある海辺の町です。ここにプレロマネスク期に創建されたという教会があると知って、ここを基点に個性的な3教会を回るコースを考えました。
↓駅から海岸への通りを歩き、右折する目的の教会が見えてきました。住民が散歩している程度で観光客の姿はありません。
☆オールド・ショーアム&ニュー・ショーアム教会(St Nucolas of Old Shoreham and St Mary of Haura of New Shoreham)
一般にはOld Shorehamオールド・ショーアムとして呼ばれているようです。オリジナルのノルマン様式で1103年にウィリアム征服王の息子Braseによって創建。その後1130-40に翼廊の増築や12世紀末の改装。また中世末期には崩落の危機があり、大規模な改築が行われたため様式の変換が観られます。古い教会を基部に新しい教会を付け加えることはままありますが、ショーアムの例は参考書でも別々な教会のように扱っていて、正直戸惑いました。
↓プラン Old Shoreham
↓プラン New Shoreham
↓全景(Google earthから)
↓西正面/玄関廊は1715年に増築
↓内部/交差部から
↓四角形のノルマンの洗礼盤は1100年頃制作されたもの。鐘塔の真下に置かれていますが、今やちらし置き場(苦笑)シンプルな模様が古風。
↓交差部を支えるロマネスクの柱頭(旗が邪魔ですが)
↓奥の身廊は三廊式/下層(12世紀末)と上層との違いは明らかですね。
↓南側廊/男女の真鍮の人型。無名ですが服装から1450年頃と考えられています
↓
↓玄関廊の西はオールド・ショーアム当時の身廊のあった場所。。15~17世紀にかけて、街の衰退とともに崩落しました。今は建造物の一部が残っています。
↓教会の周りはハーブを主体にした「癒しのガーデン」として、手入れされています。とても良い香りがしました。
↓南側面/フライングバットレスががっちり。ライラックも咲いてます。
↓東後陣外観
↓ショーアムの入り江に架かる橋から
駅から海岸通りまで、カフェやレストランが並んで賑わっていますが、ここで食べたかったフィッシュ アンド チップスをメニューにするお店を見つけられません。駅の向かいでタクシーを予約するついでにドライバーさんおすすめのレストランを訊きましたら、すぐ近くのイタリアンが良いよと連れられて入店。
↓海の幸のリゾット、白ワイン、デザート(22£)。味もまずまず、冷房が効いていてのんびり食事ができました。
さて、先ほど予約したタクシーでまず、一番遠いハーダムへ。ショーアムからは回り道なので北西へ30Kほど走ります。パルバラという町を抜けて、まもなく一般の道路から細い農道のような道に入ってすぐに左に小さな教会が建っています。扉が固くて私の力では開かないので、道路で待っていたドライバーさんに開けてもらいました。ノブを動かすのにコツがいるようでした。私一人だったら諦めて帰ったかも・・・。
☆聖ボトルフ教会(ハーダム)Church of St Botolph(Hardham)
ウエスト・サセックスの小さな村の教会は11世紀中ごろの建築です。ポーチと鐘塔は19世紀に増築されています。この小さな教会が有名になったのは19世紀末、それまで塗られていた漆喰が剥げ落ちて、下に描かれた12世紀初めと思われる壁画が発見されたのです。
ドキドキしながら足を踏み入れた堂内には誰もいません。この空間を独り占め出来るなんて、それこそ僥倖というものでしょう!何百年も漆喰に守られてきたロマネスクの壁画を堪能しました。
↓内部/単身廊の堂内には祈りの清らかな空間が広がっています。
↓身廊東壁下段「キリストの洗礼」
↓身廊東壁右上の「受胎告知」と「ご訪問」光輪の水色が残っています。
↓身廊東壁アーチの上部「神の子羊」
↓身廊東壁左上「博士たちと議論するキリスト」
↓内陣南壁
↓身廊北壁「幼児虐殺」
↓身廊北壁「エジプトへの逃避」
↓内陣西壁/Temptationの下。楽園追放後のアダムとエヴァ、くっきりした輪郭線と大きな目の表情がロマネスクらしいおおらかさ。
↓内陣西壁
↓内陣西壁。アーチの左に「楽園のアダムとエヴァ」
↓伸びやか過ぎる肢体(笑)のエヴァは今まさに悪魔から禁断の果実を受け取ろうとしているTemptationの場面。写真は白っぽく写りましたが、事前に観てきた写真よりぼんやり、やはり剥落が進んでいるようです。
↓身廊南側の窓辺
↓外観/西と東から
雲ひとつない晴天に恵まれ、明るい堂内でロマネスクの聖書の世界を鑑賞できました。名残惜しい気持ちでハーダムから元来た道を戻り、次の2教会を目指しました。続きます~
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