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2013夏の旅(2-2)チューリッヒ(ライヒェナウ島) [2013夏ヨーロッパ(オペラと美術の旅]

~続きです。

 バスで数分~10分位で、島の中央部に到達(一日パス6.5€)。バス停の目の前にマリーエンミュンスター教会が建っています。早速内部見学と入口へ。ところが今日はお葬式がこれから始まるから、2時間後にオープンというではありませんか!先にこちらを見学すれば良かったと激しく後悔しました。でもしょんぼりしている暇もありません。周辺は夏の野花が咲き乱れて美しい風景です・・・カメラは下手でも、綺麗に撮れたでしょうか。

☆マリーエンミュンスター教会(Munster.Mittelzell)

 724年に開基され、当時は小規模の木造単廊広間式の建築でしたが、現存していません。750年ごろにこれも小さな石造単廊教会に建て直されたと推定されます。その後はカール大帝の庇護のもと発展し、816年に新築献堂されました。このときのカロリング朝建築の部分が現在の壁体中核などにわずかに残存しています。オットー時代には西袖廊などの現在にも西正面に残る部分が建立され、1048年ハインリヒ三世の臨席のもとに献堂されました。

↓ 西正面/単塔状西構 教会前の広場はあまり広くなく、大木やお葬式の参列者や居て、こんな感じしか取れませんでした。

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↓教会の北西。隣家の庭付近から。

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↓ 正面右隣に修道院へのアーチ

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↓真紅の薔薇と修道院 。 ここに写本室や工房などがあったのかしら?何人もの優秀なというより天才的な画僧たちが暮らしていたのは1000年以上も昔のことですが、清楚できりっとした雰囲気がただよっているところでした。

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↓ 教会の周辺。木組みの家を背景に夏の野に咲き乱れる花たち。

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教会前のカフェで休憩ののち、近くのロータリー状の広場に建つ

☆ライヒェナウ美術館へ。

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↓ ファクシミリ版のライヒェナウ画派による写本挿絵がいくつか展示されていました。どれも簡潔な筆致と構図、豊かな色彩が見事です。「ハインリッヒⅡの朗読用福音書」はハインリッヒⅡ(973~1024)とその妃によってバンベルグ大聖堂に献呈されました。下右がそのキリストによって戴冠された場面(1014)と思われます(聖ピーターとポールを従えて)。現在はミュンヘン図書館に収蔵されています。

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↓ バンベルグ黙示録の「バビロンの妖婦」

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↓ こちらの福音書記者のほうが古そう。カロリング朝の影響が大きいです。詳しいことは調べてから追記したいと思います。

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ここで売られていた写本解説書はドイツ語の上かなり重く、旅が始まったばかりなので購入は断念しました。そのうち、日本で英語版(できれば日本語の)が見つかると思いますが・・・。

見学も終わり美術館の前から遠回りになりますが、島の西Niederzellにある聖ペーターとポール教会(Peter&Paul)を遠望してライヒェナウ駅に戻りました。Niederzellで下車すると夜のオペラに間に合わなくなります。涙を呑んであきらめました。いままではオペラのある日はこんなに遠くまで出かけることは無かったのですが・・・今回はやはり無謀でした。心残しながら帰途はシャフハウゼン経由でチューリッヒに戻りました。帰りの切符は駅にチケット売りの窓口がなく、四苦八苦しながら自動販売機(古いのか画面が光って読み取るのに難儀)で購入しました。26.5€。懐かしいシャフハウゼンを通過してまもなく、ライン川の滝が見えてきました。↓車窓から撮影。

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 乗り換えのときミスして各駅停車のほうに乗ったため、30分ほど遅れてチューリッヒに到着。トラムでホテルに戻りました。このとき何故か宿で1時間の時間があるはずと勘違い。出かけるころに気が付いたものの、オペラの開幕に30ほど遅れてしまいました。チケットの引換窓口はすでにクローズしています。クロークに係りの女性が立っていましたので、大声で呼んでようやく中へ。いつもはプログラム売りのお兄さんが私のチケットを預かっていました。そして、そおっと2階のバルコン席へ案内してくれました。ご迷惑おかけしました。

 リハルト・シュトラウス『ばらの騎士』 18:30開演 @チューリッヒ歌劇場

指揮:Fabio Luisi 演出:Sven-Eric Bechtolf

マルシャリン:Nina Stemme       オック男爵:Alfred Muff    オクタヴィアン:Vesselina Kasarova

ソフィー:Rachel Harnisch   ファニナル:Martin Gantner   歌手:Stefan Pop

  席は舞台に向かって左中央よりParkett-Logeの一列目。大好きな一幕目の甘いシーンに奏でられる曲はすでに終わっていました。恒例の観劇前の仮眠もできませんでしたから、居眠りするかもと心配でしたが、お洒落な衣装や舞台に懲りすぎない演出も好ましく、特に2幕目からのルイージの目の覚めるような生き生きした指揮にお目目パッチリ!そして、なんといってもニーナ・ステンメの輝かしい、全く無理を感じさせないのにパワフルでそしてフェミニンなソプラノにうっとり、気品のあるドレス姿も美しいマルシャリンでした。カサロヴァは最近は不調を伝えられ、私も4年ぶりに聴きました。細かい演技も溌剌としていて、二枚目半的なオクタヴィアンでしたが、歌唱はR・シュトラウスには向いてません。デビュー当時のロッシーニは素晴らしかった・・・遠い目。他はすでに忘れたことも多いのですが、チューリッヒの夏の音楽祭らしい熱気の感じられる公演でした。カーテンコールも華やかに終わりました。

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 夜になると20度以下に気温も下がり、涼しくなりました。さすが疲労困憊の態で宿に戻りました。今日はランチも夕食も軽くサンドイッチ程度で済ませましたから、空腹でしたが、手持ちのカップうどんでお腹をごまかし、シャワーを浴びて就寝。

  

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コメント 8

yk

マリーエンミュンスターきれいな修道院ですね。 行ってみると、お葬式とか結婚式だった、ということってあるものなのですよね。 ロマネスクは外観だけでも 美しいから、と 自分をなぐさめたりして。 それにしてもお花がきれい。
 『ドイツ中世美術』は 写真がほとんどないので 芸術身長の ドイツの歓び とか 人類の美術の 紀元千年のヨーロッパ などをひろげて写真を見ています。人類の美術の方には写本の絵も何枚かでていますので。
by yk (2013-08-22 01:19) 

alice

ykさま、人類の美術は古本屋で何冊かそろえたのですが、肝心の「紀元千年の美術」が入手できてません。昨夏の旅の前に図書館で借りたことはありますが、ライヒェナウも載っていたのかしら?再度借りなくては…。
持っている「カロリング朝の美術」には写本の写真はかなりありますが、ライヒェナウ派はオットー朝なので・・・。
ご存知かもしれませんが、「バンベルグ黙示録」の画像は↓で。
http://commons.wikimedia.org/wiki/Category:Bamberg_Apocalypse
by alice (2013-08-22 14:07) 

yk

良いサイトをお教えくださりありがとうございます。 鮮明でよくわかります。
 『紀元千年、、』には ザンクト、ゲオルグと ザンクト・マリアの 写真、 計四枚。 写本はバンベルグだけではなくゲロのコーデックスやオットー三世の福音書、ハインリッヒ二世の典礼用福音書などいろいろ載っています。あちこちにはいっているので 数えにくいのですが、二十数枚 、ただ どれもが鮮明というわけではありません。紙質も良いとはいえませんが、 どのような 建物か、 絵か 分かるだけでも 参考になります。
 でも これからはネットで探すとよさそうですね。 
by yk (2013-08-22 17:44) 

alice

ykさま、「紀元千年のヨーロッパ」をアマゾンで検索しましたら、100,000円ですって!他の古本屋さんでも数万円で売りに出ていました。購入はあきらめて再度図書館から借りることにしました。美術書は手元にないと困るのですが・・・。
借りるついでに、つい「中世写本の彩飾と挿絵」というのもリクエストしてしまいました。ライヒェナウ関連のが掲載されているかどうかわかりませんが、重そう~。
by alice (2013-08-23 12:00) 

tina

カサロヴァなんて久しぶりで名前を聴きました。
ずいぶん前にグルベローヴァと一緒に来日したと思います。最近はどうも記憶があやふやで・・・
それにしてもとてもお元気ですね。うらやましい。
by tina (2013-08-23 13:43) 

alice

tinaさま、カサロヴァとグルべさまのディオ・コンサートは札幌でもあったので、その時が初めてでした。その後、東京でのリサイタルに行ったりしました。METやザルツブルグでも聴きました。何故かわかりませんが、意外に早く歌唱が崩れだしたのはとても残念です。最近は、チューリッヒ以外はあまり出てませんね。

このあと、アルザスを経て南仏に向かうあたりから体調不良になって、訪問予定の教会を数か所パスしたりで、何とか切り抜けました。
by alice (2013-08-23 22:53) 

kametaro07

 ライヒェナウ島とはさすが旅の上級者でらっしゃいます。
初日から凄く精力的に行動なさったのですね。
私なら夜のオペラは居眠りしてしまいそうです。
 カサロヴァは何年か前に新国でチェネレントラを歌ったとき、すでにロッシーニは厳しそうだったのを思い出します。
数年前にここでタンホイザーのヴェーヌスを歌ったのを聴きましたが、最近ではドンカルロのエボリも歌っているようですし、来年はアイーダのアムネリス、年末にはこうもりのオルロフスキー公爵です。
いろいろと合うものを模索しているのでしょうか?
 遅ればせながら、こちらのブログもブックマークさせていただきました。更新なさるのを楽しみにしております。
by kametaro07 (2013-08-24 21:49) 

alice

kametaroさま、我ながら、よくぞ眠らなかったねと褒めたいくらいでした(笑)
カサロヴァはペーザロの「タンクレデイ」をキャンセルしたころから(9年前?)、急激にロッシーニから離れたような気がしますが、残念です。

>こちらのブログもブックマークさせていただきました
ありがとうございます。記憶の新しいうちにアップ頑張ります。
by alice (2013-08-25 17:51) 

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