2013夏の旅(10-2) コールマール(オットーマルゼイム) [2013夏ヨーロッパ(オペラと美術の旅]
~続きです。
TAXIをゲブヴィレールの教会の後方で降車しました。走る距離も短かったのでタクシー代はあまりかからずに済みました。
☆Gubwiller/St-Leger ゲブヴィレールの聖レジール教会
12~13世紀のロマネスク後期の建築。西正面ファサードはライン川流域に点在するアルザス・ロマネスクの典型。2つの方形の鐘塔と破風の中央部。下に3つのアーチが並ぶポーチ付き開口部。。
↓ 後背部から正面へ。交差部の鐘塔は八角形
↓ 北側から。周りには古く趣のある家が多いです。
↓正面扉口
↓ 内部
↓ ゲブヴィレールの目抜き通り
↓ お洒落なカフェでキッシュとミルクティーの軽い昼食をとりました。
↓ ケーキのショーケースにアルザス名物のクグロフ。
↓バス停まで少し遠回りして街の散策をしました。右の教会風の建物は?
↓インフォでもらったマップにはシナゴークとありました。この近辺はゲットーだったのでしょうか。アルザスのユダヤ人の辿った運命・・・。
↓ 昔から残っているゲートです。
元のバス停の向かい側がミュルーズ行きのバス停でした。また曇り空が広がって少し涼しくなりました。ミュルーズまで二十数キロですが、あちこちストップしながらで1時間ほど走り、ミュルーズのSNCF駅で降車(3.3€)。駅前にずらりと並ぶTAXIを見て安堵。ここからオットーマルゼイムまでバスもありますが、コールマールに早く戻り、ショーンガウアーの聖母を観なければならないので、急ぎました。TAXIでミュルーズから西に15Kほど走り、オットーマルゼイムの小さな村に到着。
☆ Ottmarsheim/St-Pierre et Paul オットーマルゼイムの聖ピエールと聖ポール教会
アルザス・ロマネスクのなかでも南に位置する1030年創建された教会です。当初は女子修道院の教会として1049年に完成した初期ロマネスク建築。アーヘンの宮廷礼拝堂をモデルにした八角形の集中式の構造です。
↓ 鐘塔は15、16世紀の増築。駐車場のある北側から。
↓ 鐘塔が玄関廊を兼ねています。
↓ 鐘塔の後ろに八角形の教会。粗い石積みですが、カロリング朝の女子修道院らしい古風なエレガントさも感じられて、魅力的です。
↓ 後背部からの全景。東に増築された礼拝堂は15~19世紀までのもの。
↓ 周囲もごみひとつ落ちていませんし、花車まで飾られて、綺麗過ぎるほど(笑)ですが、見学者は私だけで勿体ない。
↓ 内部 二重の八角形構造。半円アーチを支える堅牢な柱。
↓ 三層に分かれた構造。上の窓からの光が明るく差し込んで。
↓ 上階アーケードは無装飾の方円円柱が並び、ドイツのロマネスクに近いです。
↓ アーチや壁面に15世紀の壁画が残っています。
ミュルーズの駅に戻り、列車でコールマールへ(8.2€)。そのまま旧市街の聖マーティン教会へ向かいました。以前来たときは修復中で観られなかったショーンガウアーの「薔薇の生垣の聖母」を観るためでした。聖マーティン教会は現在はこの絵画のための美術館となっているみたいで、有料です。チケットを見るとドミニコ会派の教会への寄付も兼ねているようです。修復の様子など写真も展示されていました。カメラ禁止。
ショーンガウアー Martin Schongauer(独)1450頃~1491
ドイツ後期ゴシック時代の画家。コールマールの金銀細工師の息子として誕生。故郷の近辺で活躍。デューラーも彼のもとで修業することを望んだが、ショーンガウアーの死によって叶えられなかったという。確実に彼の作品とされる絵画は数少ないので、コールマールの板絵は貴重な作品。
↓ショーンガウアーの「薔薇の生垣の聖母」1473 200×115 写真はパンフレットの表紙です
予想していた展示(教会の中で、さりげなく)とは別の、絢爛といってもいいほどの高価な美術品扱いなので、面くらいました。ファン・デル・ウェイデンの影響が著しいと、私の参考書にある通り、ショーンガウアーと知らずに見たら、間違えそう・・・。
↓ ホテルに戻り、
↓ 部屋の窓から。昨日乗ったグリーンのプチ・トランが走っているのが見えました。
7時に予約してあったレストランで夕食。ホテルの1Fレセプションの奥がレストランです。また一番乗り。
↓ 何を食べたのか、例によってほとんど忘れてます(汗) バターはいつもは食べないのですが、3種類もあったので、少しいただきました。アミューズ2種
↓ 前菜
↓ メインの魚のお皿。肉は撮り忘れ。
↓ デザート
さすが評判が良いだけあって、季節感もあり上品な味で満足しました。アルザスワインも独りなのでグラスでしか頼めなかったのですが、現地で飲むリースリングは格別で、美味しかったです。
さて、明日はチューリッヒに戻ります。アルザス・ロマネスクも予定していた1か所だけ訪問を諦めましたが、この暑さのなか、この歳で良く廻れたものと、我ながら感心しつつ眠りに就きました。
オット―マルスハイム、ミュルバッハ、聞いたことのある名前と思って旅の記録を探してみたら、アルザスツアーの時行っていました。イ―ゼンハイムの祭壇画に惹かれて参加したので、ロマネスクを期待してはいなかったのですが、二つともとても印象に残っています。
旅行社がくれた旅の記録には教会の名前が書いてないのですが、八角形の聖堂は珍しかったし、ミュルバッハは赤い石の外観がとても印象的でした。
秋だったのでクルミを拾ったり、どんぐりがたくさん落ちていて、踏んで滑って転んだ方もありました。
行ったことはないのですが、八角形の聖堂はアーヘンを思い出させました。
とても楽しく読ませていただいています。
それにしても精力的ですね。
他人任せのツアーでもとてもこれだけ回りきれません。
羨ましいというより、感嘆しきりです。
by tina (2013-09-16 13:45)
tinaさま、アルザス・ロマネスクの記事を書いていて困ったのは表記がフランス語、ドイツ語、英語読み?と参考書によって違うことでした。私もいい加減なものですから、統一できてないかもしれませんが(汗)。このことひとつとっても、アルザスという地域の特異性が分かります。ブログを書くことでこの地域のことを少しは理解できたように思います。
>オット―マルスハイム、ミュルバッハ
行ってらっしゃったのですね。ミュルバッハは山の中なので、秋のほうが良かったかも。アーヘン私も行ったことがないの、詳しくは書けませんでした。
>それにしても精力的ですね。
でもなくて、後半は息切れして、今までしたことのない贅沢(日本人ガイドの送迎おひとり様ツアー)をしてしまいました。
by alice (2013-09-16 18:07)
盛り沢山の旅行記とオペラ鑑賞記、楽しく拝見しております。
アルザス・ロマネスクは全く未知なんですが、わたしの住んでいる辺りのライン地方ロマネスクと共通する点が多いので、親しみを覚えます。
来年は、シャルルマーニュ没後1200年に当たり、アーヘンでは様々な催し物がありそうですのでこの機会にいらしてください。ブリュッセルからも遠くありませんから、オペラ鑑賞と組み合わせられます。リエージュだったらもっと近いし、わがマーストリヒトからも車で30分くらいなので、ご一緒しましょうよ。
それから、オランダで自転車に乗ってみたい、とおっしゃってましたね。マーストリヒト近辺ならアムスと違ってのんびりしていて剣呑ではいので、ご希望を叶えることができますよ。マース川や運河沿いのサイクリングロードは起伏がほとんどなく、風景は変化に富んでます。ぜひ、お越しを!
by レイネ (2013-09-16 19:47)
レイネさま、サイクリング情報ありがとうございます。自転車、大好きなのですが、札幌は危なくて、ここ10年以上も乗っていないので、練習の必要ありです。。。初めての独り旅で、車窓から見た風車とサイクリングする人たちの絵のような風景が忘れられません。
>わたしの住んでいる辺りのライン地方ロマネスクと共通する点が多いので、親しみを覚えます
そうなのですか!ライン川はスイスが源で最後は北海に流れるまでアルザスもオランダのレイネさんのところも通過するのですね。アーヘンもケルンもまだ行ったことがないので、行きたいです~。それにシャルルマーニュ没後1200年ですか!
by alice (2013-09-17 15:07)