2013夏の旅(15) エクサンプロヴァンス [2013夏ヨーロッパ(オペラと美術の旅]
7/22(月)
今日も午後からは楽ちんおひとり様ツアーです。でも、昨日と同じに一点豪華主義?で、サン・レミ・ド・プロヴァンスだけの訪問にしました。夜はエクスでの最後のオペラもありますので、午前中はご近所散策。
↓ 青空市場の風景 香辛料コーナー
↓ 野菜果物売り場
↓ オペラ会場にもなっている旧司教館(タピスリー美術館)前、朝の風景
↓ サン・ソヴール教会は3度目ですが、12世紀の回廊やメロヴィング朝の洗礼堂、まだ観ていなかったニコラ・フラマンの『燃える茨』三連祭壇画などを観るために寄ってみました。ところがライヒェナウに続いて、ここでもお葬式・・・午前中は見学不可でした。
↓ ゴシックの扉口のアーチを飾る天使たち
↓ 市庁舎の近く
↓ 裏通りの小さな広場にはカフェやレストランが軒を並べています。この左に見えるベトナム料理の店(1999に来てます)はまだ健在でした。
↓ 1999と2003に泊まったホテルも健在。冷蔵庫とエアコンがなかったので、今回は違うホテルにしましたが、思い出のお宿です。
↓ プロヴァンスのお守り?蝉のショップ
↓ ランチはアンティパスト盛り合わせ一皿で済ませ
↓ 午後からはガイド兼ドライバーのTさんとサン・レミ・ド・プロヴァンスまで楽しくおしゃべりしながら快適ドライブ。左手に写真には写りませんでしたがアルピーヌ山脈が綺麗でした。
↓ ほぼ1時間でサン・レミ・ド・プロヴァンスの町1.5キロ手前の古代遺跡の入り口に着きました。グラヌム遺跡を見学することも予定していましたが、この猛暑ですし、かなり時間がかかるとのことで、道路沿いにある凱旋門(右)と霊廟(左)だけ見学。
↓アーチ天井の彫刻がオランジュの凱旋門と同じ六角形に囲まれた花紋。
↓ この霊廟はアウグストゥス帝の二人の孫に捧げられたものと伝えられています。
そして、すぐ近くのサン・ポール・ド・モーゾール修道院へ。
☆ Le Monastere de St-Paul de Mausoleサン・ポール・ド・モーゾール修道院
12世紀に建てられた小さな教会と回廊以外は近世になってから改築されています。後には女子修道院となり、精神病院の患者さんをケアするという奉仕活動をしました。現在は1889~1890に患者として入院していたヴァン・ゴッホ所縁の修道院としての見学客が多いようです。そのためのパネルがあちこちに置かれて、画家の絵画とモデルになった場所や花などの説明があります。
↓ 門から
↓ ゴッホの像と記念写真
↓ ファサードは18世紀なので素通りして、教会内部へ。平面プランでは狭い側廊を伴った三身廊と大小3つの後陣のシンプルな構成。
↓ 天井に小さな彫刻「鷲」でしょうか?
↓ 続いて「神の子羊」を発見!
↓ そして回廊へ
↓ 回廊からロマネスクの鐘塔が見えます。回廊の上階に精神病院の病室が並んでいます。
↓ ゴッホの居た部屋から観た回廊
↓ 回廊の柱頭彫刻/ケンタウロスと竜
↓ 上の裏側は右にアクロバット(よく見えませんが)左には悪魔と天使と竜
↓ 少々風変わりなグリーンマン
↓ これも奇妙な彫刻、尾が魚の馬?4つ脚の動物。
↓ 後陣外観
↓ ラベンダー畑から
↓ ひまわり畑から
↓ 修道院の周囲
経費節減のためもありますが、今夜はオペラもあるので、サン・ガブリエルはあきらめて、エクサンプロヴァンスまで戻りました。ホテルの近くで2日間お世話になったTさんとお別れ・・・同じ道産子同士、北海道弁で沢山お喋りしましたね。これほど暑くなく体調も良かったら、お会いすることもなかったでしょう。不思議なご縁でした。
部屋で仮眠のあとは身支度を整えて、今夜のオペラ会場のGrand Théâtre de Provenceへ。ホテルから徒歩数分。ここは何年か前にできた新しい音楽ホール(シート数1350)です。私は初めてでした。
↓ ホール前には飲み物のスタンドもできて、夏の音楽祭らしい華やかなムード。
開演時間になりロビーを歩いていましたら、向こうから日本人の女性がこちらに向かって歩いてきて「アリーチェさん」と言われるので、びっくり!なんとブログ仲間のKametaroさんでした。思いがけない嬉しい初対面でした。しかも席も隣同士・・・ということは同じころ予約ボタンをおしていたのかしらね。席はParterreH13 前から8番目の左より。
Richard Strauss (1864 - 1949) Elektra
Direction musicale | Esa-Pekka Salonen |
Mise en scène | Patrice Chéreau |
Collaboration artistique à la mise en scène | Thierry Thieû Niang |
Décors | Richard Peduzzi |
Lumière | Dominique Bruguière |
Costumes | Caroline de Vivaise |
Perruques, coiffures | Campbell Young |
Elektra | Evelyn Herlitzius |
Klytämnestra | Waltraud Meier |
Chrysothemis | Adrianne Pieczonka |
Orest | Mikhail Petrenko |
Aegisth | Tom Randle |
Der Pfleger des Orest | Franz Mazura |
Ein junger Diener | Florian Hoffmann |
Ein alter Diener | Sir Donald McIntyre |
Die Aufseherin / Die Vertraute | Renate Behle |
Erste Magd | Bonita Hyman |
Zweite Magd / Die Schleppträgerin | Andrea Hill * |
Dritte Magd | Silvia Hablowetz* |
Vierte Magd | Marie-Eve Munger* |
Fünfte Magd | Roberta Alexander |
Chœur | Coro Gulbenkian |
Orchestre | Orchestre de Paris |
今年のエクサンプロヴァンス音楽祭の中では一番評判が良く、とても楽しみにしていました。聴きしに勝る稀に見る充実の公演でした。オープニングからサロネンマジックとでも形容したい、エレクトラの世界に身体ごと連れられて行かれる感覚 は滅多にないことです。エレクトラの生はまだ2回目で、何年か前にバルセロナのリセウで聴いたくらいの経験しかありませんが、その時のポラスキーの定評のあるパワフルなエレクトラも素晴らしかったのですが、順当なエレクトラ像の域は出ていませんでした。今回のヘルリツィウスは小柄な肢体に熱情ばかりではない冷やかさをも持った(なんたって実の母を憎み殺害に手を貸す)、亡き父をいまだ忘れられぬ複雑な娘の心理。蔑まれ、追いやられた境遇のなかで、次第に狂気を帯びていく音楽とダンス。そのヘルリツィウスの歌唱、踊り、表情、演技に耳が目が釘づけ状態でした。その分存在感たっぷりのマイヤーを除いてはやや印象が薄くなってしまいましたが、シェローの演出は主役ばかりではなく、周りの登場人物さえもくっきりした音楽に合わせた無理のない動き。簡素な舞台も効果的に見せる工夫と、そのアイディアは完璧でした。パリ管のオペラは初めてだと思いますが、サロネンのクレーバー&フレッシュ感覚あふれる指揮のもと格調高いシュトラウスを演奏してくれて、感動でした。例によって細かいことは省略させていただきますが、隣席で観劇していたKametaroさんのブログが素晴らしいので、紹介させていただきますね。
http://kametaro07.blog.so-net.ne.jp/2013-08-24
この夜がデル二エールとあって、シェローも嬉しそうに登場。特に盛り上がったカーテンコールになりました。
追記:パトリス・シェローはこの「エレクトラ」に姿を見せた2か月半後の10/7に逝去されました。68歳でした。写真では胸とお腹のあたりが分厚いので、すでに肺がんの治療を受けていたのでしょうか?あの時のお元気そうな笑顔が忘れられません。ご冥福をお祈りします。
オペラの後はミラボー通りのカフェで。彼女は下戸で、私だけアルコールでしたが、楽しくおしゃべり。ネット上のコメントのやり取りとはいえ旧知の間柄のような親しみを感じました。彼女は明日イタリアへ。私はまだプロヴァンスでウロウロ苦行ですが、エクサンプロヴァンスの最後の夜でした。
素晴らしい公演でしたが、ご一緒できたことでさらに思い出深く、心に残るものとなりました。
公演後のおしゃべりも楽しかったです。
サン・ポール・ド・モーゾール修道院は素敵なところですね。
プロヴァンス地方ははじめてなので、エクスの街中しか観光しませんでしたが、近郊の街々も魅力がいっぱい。
オランジュ音楽祭もまだ行ったことはないのですが、サン・レミ・ド・プロヴァンスはそちらからも行けそうですね。
サント・ヴィクトワール山のことをギョーザなどと書いてしまったお気楽感想文を素晴らしいと仰っていただくと気恥ずかしいですが^^;リンクありがとうございます。
by kametaro07 (2013-09-22 14:44)
サン・レミやサン・ポール修道院は、車がないとなかなか行けせんよね。どうなさるのかと思っていたら、タクシーなんですね。
エクスからだとアルピーユ(レ・ボー!)を通る風景が美しいですが、アヴィニョン方面から(カヴァイヨンから)サン・レミに至るポプラ並木の道もプロヴァンスらしさ溢れる道筋を車で走る爽快感!
マルセル・パニョールの子供時代を映画にした『プロヴァンス3部作』やドーデの短編集『風車小屋便り』の世界、はたまた『南仏プロファンスの12か月』の舞台となったあの辺りが大好きなんです。もう何年もプロヴァンスには行っていないので、お写真を拝見して懐かしさいっぱい。また行きたくて堪らなくなりました!
by レイネ (2013-09-23 05:36)
Kametaroさま、プロヴァンス地方は本当に美しい町や村が点在する魅力あふれる地方です。私は夏しか行ったことがないのですが、どんなに暑くてもあの陽光溢れる町々は忘れがたいものがあります。
kametaroさんの楽しいブログを勝手に紹介させていただいたのですが、お名前間違えて失礼しました。Kametarou→Kametaroに訂正しました。
by alice (2013-09-23 21:58)
レイネさま、当初の予定ではエクスからバスでカヴァイヨン経由でサン・レミを訪れるつもりだったのですが。。。今回は運転手さん任せで最短距離を行きました。
映画や本で一時はプロヴァンスは大ブームでしたものね。今でも変わらず大人気で、中国や韓国からのツーリストが増えました。その分日本人は少なくなったみたいです。
>また行きたくて堪らなくなりました!
やはり夏の音楽祭の時季がいいですよね!来年のスケジュールは
http://www.festival-aix.com/blog/2014-un-festival-qui-sannonce-bien/
by alice (2013-09-23 22:16)
本筋は、云々できませんが、写真は楽しんでいますよ。ゴッホ像と並んで撮った写真は、ポーズがきまっていて、いいですよ。ゴッホは、この地で、《ひまわり》や、麦畑でカラスが飛んでいる絵を描いたのでしょうかね。自分の耳を切ったのも、この近辺の病院でしたかね。写真を見ていると、なんとなくヨーロッパを感じます。ラベンダーの写真、デジカメ作品に投稿していましたね。大野さんの愛菜バスツアーへも行くのですね。つぎから次へと、お楽しみが沢山でぇ。
by shochan (2013-09-27 17:06)
来年のエクス音楽祭へのリンクありがとうございます。
来季から3年、フライブルク・バロック・オケがオーケストラ・イン・レジデンスになるんですね。来年のプログラムで惹かれるのは『アリオダンテ』です。A.マルコン指揮、R.ジョーンズ演出、出演はサラ・コノリー、プティボン、ピオー、プリーナ、リヒターと錚々たる面々!サラ様アリオダンテは、昨年コンサート形式でしたが、キャンセルしたディドナートの代りに歌ったのを聴いています。リサイタルでもアリオダンテからのアリアはお馴染みなんですが、サラ様の声質・歌唱・男性っぽい表情・姿かたちや演技力など総括するとまさに適役で真骨頂を発揮することでしょう。ああ~、音楽祭はただでさえチケットが高いのに遠征費用(ホテル代、交通費、食費)もかなりになるので、わたしは諦めざるを得ないと思います。わたしの代りにぜひまた来年もエクス参りされてください。
by レイネ (2013-09-27 21:38)
shochanさま、ゴッホはここサン・レミには1年ほど滞在していたのですが、描いたのは風景(糸杉、麦畑など)や花の絵が多かったようです。「カラスのいる麦畑」は自殺寸前にオーヴェールで描いたようです。
>愛菜バスツアーへも行くのですね
日本酒の蔵めぐりというのに魅かれまして(汗)。日本酒は飲む機会があまりないので、この際道産酒を極めることにしました(笑)。
10月の定山渓の歩こう会も参加しますよ~(よろしく?)
それに世話役やってるロマネスクの勉強会もあり、10月はかなり忙しくなりそうです。
by alice (2013-09-28 13:16)
レイネさま、来年のエクスのキャスト、もう出てたのですね。「アリオダンテ」もミンコのロッシーニもレイネ様の代わりに行きたいのはやまやまですが・・・5月ごろ遠征予定があるので、無理そうです。確かにエクスもザルツほどではなくてもチケット代は高いですね。それもあって予算がなく、今秋のミラノやトリノの日本公演は行けませんでした。
そうそう、レイネ様のリクエスト、チューリッヒでの着物の写真アップしました。写真では結構華やかに撮れてます。
http://alice2013.blog.so-net.ne.jp/2013-08-21
by alice (2013-09-28 13:35)