2013夏の旅(19) ロンドン [2013夏ヨーロッパ(オペラと美術の旅]
7/26(金)
今日は自然史博物館の隣にあるヴィクトリア&アルバート美術館の見学をしました。初めてロンドンに来た時(1993)に泊まったホテルがこの美術館の真ん前だったので、それが初訪問でした。次は2009年の秋に再訪問したのですが、イタリア美術や中世の彫刻などの展示室が改装中でした。今回で3回目ですが、多分これが最後になるかもと思いながら入館しました。
↓まずは入って右の古代から中世までの展示室へ。
↓ 「埋葬の胸像」(175~200)シリアのパルミラ。身分の高い夫人らしく、右上にアラビア語?名前と誰それの娘と書かれています。
↓「死の装飾布」(300~900) エジプトの初期キリスト教のコプトの織物。
↓「ペンダント用の十字架」980~1030 イギリス
↓「磔刑」860~70 カロリング時代の象牙のパネル フランス(ランス)
↓ 「ロマネスクスタイルの窓」1050~1200 北フランス 石灰石
↓ ジグザグ模様のアーチにセイレーン
↓「アンク/タペスリーの断片」400~600 コプト教美術。エジプトの生命のシンボル文字アンクのなかにクロスやPとXのモノグラム(クリスモン)を織り込んだもの。
↓「聖人たちのレリーフ」1150 スペイン・カタルーニャ地方Vicのカテドラル西扉口を飾っていた。
↓ 「キリストと9人の使徒たち」柱頭彫刻 (1175~1200) 北スペイン
↓ 「4枚のステンドグラス」1170~80 フランス・シャンパーニュ地方Troyesの教会にあったもの。
↓「説教壇(または読誦席)の4本の円柱」1225~1250 南イタリア(カンパーニャまたはカラブリア地方)クルミ材
↓ 「ベケットの手箱」1180頃 1170年のトーマス・ベケットの殉教を追悼して数多く造られたリモージュのエナメル製のもの。この箱は現存するなかでは一番古いものと考えられています。下が殉教の場面、上に昇天の場面。
↓ プレロマネスク?の洗礼盤。詳しいことは不明ですがクロスに花や星、鳥のパターン。
きりがないのでこのへんで切り上げます。昼食は館内のセルフサービスのレストランで。前回も来ていた旧モーリスの食堂。味は普通ですがお値段が見合わず・・・でも入館料フリーなので許します。
↓ こちらは隣の明るいゴージャスな部屋。
↓いったん食堂から中庭にでました。アジサイも綺麗に咲いて
↓中庭を通過して、元の入口レセプション付近にへ戻り、追っかけのカルロ・クリヴェッリの部屋を確かめて
↓無事に見つけました!
↓ 素晴らしい額入りの「聖母子」(1482頃)。この部屋を閉鎖しているうちに修復洗浄もしたようで、輝くよう。ベルガモの聖母子と同じ構図とのこと。
↓ 聖母のアップです。オーラが漂って・・・なんともカルロらしい豪奢でクールな美しさ。写真も奇蹟的に巧く撮れました(と自画自賛)。
↓ カルロの弟ヴィットーレの作品は隣のパネルに。左のヒエロニムスが持つ聖堂はどこのですか?右の殉教の聖女カタリーナは王冠を被った姿。ヴィットーレの聖母や聖女たちはヴェールの上に王冠と円光の組み合わせが多いうようです。
他は好みのあれこれ、説明は省きます。
V&Aの素晴らしいコレクションを堪能してホテルに戻りました。さて夜は初めてのプロムスです。仮眠の後、会場のアルバートホールへ。さすがにロンドンは涼しくて、夜はワンピースの上にジャケットが必要でした。
↓ 普通のコンサートホールの2倍の大きさで、おまけにステージの真ん前の一番良いブロックは立ち見のお客さん専用。羨ましいような気の毒なような(笑)、私が真似したら確実にぶっ倒れそう~。気取りのない雰囲気でほぼ満席ですから、演奏前はがやがやと騒がしかったのですが、いざ始まるとシーンと静かになりました(ホッ)。
↓ 私の席から
♪~PROM18 /ワーグナー「ジークフリード」演奏会形式17:00~@ロイヤル・アルバートホール
· <!--[endif]-->Wagner Siegfried (238 mins)
(concert performance; sung in German)
- Lance Ryan tenor, Proms debut artist (Siegfried)
- Nina Stemme soprano (Brünnhilde)
- Terje Stensvold baritone (Wanderer)
- Peter Bronder tenor (Mime)
- Johannes Martin Kränzle baritone (Alberich)
- Eric Halfvarson bass (Fafner)
- Rinnat Moriah soprano, Proms debut artist (Woodbird)
- Anna Larsson mezzo-soprano (Erda)
- Staatskapelle Berlin
- Daniel Barenboim conductor
プロムスではすでにリングの「ラインの黄金」と「ワルキューレ」は終わっています。聴けなかったのは残念でしたが、長期の旅でもあり、ようやく残る「ジークフリード」と「神々の黄昏」に「トリスタンとイゾルデ」も聴けるので、とても楽しみでした。
演出なしでしたが、そこはベルリンで春に公演したとあって、歌手たちは暗譜&演技も少し入れた迫力あるパフォーマンスでした。バレンボイムとオーケストラの奮闘はパワフルな響きでワーグナーワールドが大きな会場に広がりました。ジークフリード役の新人?Lance Ryanも頑張りましたが、何処かしっくりこないものがあったのですが、大音響のオーケストラに負けず歌い切り、ほぼ満足。Nina Stemme
は旅の最初にチューリッヒのばらの騎士を聴いてきたばかりでしたが、ブリュンヒルデはまた格別なワーグナーのヒロインの風格を感じさせるもので、むらなく響く美しい声に圧倒されました。熱心な観客(特に目の前の立ち席で頑張る)を前に、他の共演者たちもそれに熱く答えるような素晴らしい演奏でした。ジークフリードの中で好きなのが森の小鳥の歌う場面です。小鳥の声のRinnat Moriahの天使のような歌声にうっとり。最近ダイエットしたのかしら?、一回りスマートになったバレンボエムもお元気で、エネルギッシュでした。
↓ カーテンコールも何度も舞台に呼び戻されて、上機嫌。
会場が大きいだけに、音響のことなど難点があるのが、気になっていましたが、こんなに素晴らしいワーグナーが聴けるなんてと、幸せいっぱい(笑)でホテルに帰りました。部屋には冷蔵庫がないので、1階のバーで冷たいビールを調達して、部屋で独り飲み。手持ちのものでお腹を満たし就寝。
>真ん前の一番良いブロックは立ち見のお客さん専用
この長い公演を立ち見というのはかなりの根性が必要ですね^^;
立ち見のスペースは広そうですが、いっぱいになるものなのですか?
仰るように途中で倒れそうです。
>Lance Ryan
最後まで歌いきること自体大変な難役を問題なく歌いきれる、今や世界を代表するジークフリートですね。
演出がある舞台だと荒々しい歌い方も劇的信憑性を伴って舞台榮えする人ですが、コンサート形式だと少々勝手が違いそうです。
>一回りスマートになったバレンボエム
過労ではないかと思うのですが、一時期腰痛でお休みしていたようです。
ベルリンの本拠地が小さな仮小屋なので、オケを引き連れての遠征も多くならざるえないようですが、無理のないようにしていただきたいです。
by kametaro07 (2013-10-12 14:15)
Kametaroさま、立見席でワーグナーを聴くなんて想像もできないシチュエーションですよね。実際私の席の目の前が彼らだったので、だれか倒れるんじゃないかと杞憂しつつ観察してました。ほとんどが中高年で、女性もちらほらでしたが、ほとんど問題なく立ったままでしたから、もう尊敬の眼(笑)でした。
>Lance Ryan プログラムにはプロムス初登場とありましたので、てっきり新人とばかり思っていました。私のミスですが演出はまったくないわけではなくて、一応は演出家が最低限動ける範囲での演技指導があったようです。ジーグフリード役では神々の黄昏のAndreas Schagerのほうが良かったです。
バレンボエムは本当に働き過ぎと思います。ウンターリンデンのほうが資金不足?なのかなかなか完成しないので、気がもめますね。
by alice (2013-10-12 22:34)