十一面観音巡りの旅(6)秋の大和路 [2013秋の奈良(法華寺・秋篠寺・法隆寺他)]
奈良では3泊するのですが、1泊目は日本式の宿も良いかなと猿沢池近くの宿をとりました。時節柄高かったのですが、和室に独りで泊まれる旅館は奈良には少ないので、ようやく料金も許せる範囲で、見つけました。屋上には露天風呂があり、ライトアップされた興福寺の五重塔が見えたのは良かったです。泊まった部屋は やや古びてはいましたが、小さな浴室は洗い場のある和式のお風呂、部屋も広く、まあまあ。飛鳥荘1泊
部屋で少し休憩してから、徒歩で15分くらいの奈良国立博物館へ行きました。
↓鹿さんたちがお出迎え。チケットは混雑を予想してネットで購入済みでしたので、並ばずに入館できました。
展覧会も終了まじか。この金曜日からが最後の週末とあって、かなりの人々が博物館の広い敷地を往来していました。
紅葉のシーズンにはまだ早かったのですが、今秋は北海道の紅葉を充分に愛でてきた直後でもあり、それほど奈良の紅葉にこだわらずに済みました。 今、写真を改めて観て、紅葉を確認したくらいです(笑)。
「第65回 正倉院展」10月26日~11月11日(月)
聖武天皇のご遺愛品をはじめ、皇族や貴族たちが東大寺の仏に献納した品々を主に9000件を保存。そのうち毎年70件ほどが公開されています。
さて、音声ガイドを借りて館内を回りました。今回の目玉はポスターにも使われた「漆金薄絵盤」です。ここだけは1列目で鑑賞するには30分並ばなければなりません。根性なしなので並ばずに、2列目で観ました。蓮華の花びらに描かれた極彩色の緻密な絵柄は余程近くで観なければ良く見えません。幸い展示室の壁に大きな画像があり、それで詳しく見ることができました。カメラ禁止なので博物館のサイトから拝借。
天平の世から日本人に脈々と受け継がれてきた審美眼や技術の高さをここでは熱く感じられました。色彩感覚も素晴らしく、「黒柿蘇芳金銀絵如意箱」や「蘇芳地金銀絵箱」のたとえようもない色出しに脱帽。
↓「花喰鳥刺繍裂残片」の華麗さ、ロマネスクを思わせるオリエンタルな「樹下鳳凰双羊文白綾」などが印象に残りました。
偶然同じ日に正倉院展に来ることが出発数日前に分かった友人と、夕食を一緒にすることになりました。地下のミュージアムショップで待ち合わせ、徒歩で「温石」へ。 今日札幌は初雪が降ったというので心配でしたが、ひろこさんは朝早く出発して京都の高麗美術館に立ち寄り、特別展(朝鮮通信使と京都「誠信の交わり」への道というマイナーな展覧会を見学されてから奈良に無事到着しました。正倉院展には毎年通ってらっしゃるので、ここの和食屋も行きつけのお店です。
この一帯は街灯も少なく、ひっそりと佇む町家風な造り。カウンターでおまかせのコースをいただきました。お酒は名前を忘れてしまいましたが地酒でした。ここのご主人もときどき現れて、お喋り。おかみさんも温かくさりげないサービスで、ミシュランの3☆とは思えない居心地の良さにほっこり。。。
↓ 生湯葉の上に雲丹がたっぷり乗ったものから始まりました。
ここのご主人は器にもこだわりがあり、古都の和食を器からも堪能できました。
↓ お椀の裏に正倉院御物の模様入り。ゆずの香りのお吸い物
全部を写したわけではありませんが、このあと河豚のお造りからデザートまで。6:30~9時近くまでかかりました。
友人はロマネスクの世話役も一緒にしている同好の志なので、ヨーロッパの中世美術から奈良時代の美術まで、話題が尽きることがありません。翌日は彼女の大学時代からの友人が四国から見えるとのことで、私も夕食のお仲間に入れていただくことになりました。いつもの独り旅の淋しい食事から解放された奈良の夜でした。
かすがのに おしてるつきの ほがらかに
あきのゆふべと なりにけるかも 會津八一
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