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十一面観音巡りの旅(8)秋の大和路 [2013秋の奈良(法華寺・秋篠寺・法隆寺他)]

 近鉄西大寺駅前でバスを降り、踏切を越えて、徒歩数分の西大寺へ。
西大寺は入口のチケット売り場はなく、何処の門から入っても最初のお堂で共通券を買う仕組みになっています。駅方面からは東門から境内に入ることになります。

↓ 西大寺の境内

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☆西大寺

 西大寺は奈良時代の764年に女帝称徳天皇の勅願により建立されました。翌年には金銅の四天王像を鋳造し、四王堂に本尊として安置されました。当時は文字通り東大寺に対する西の大寺にふさわしい大伽藍を誇っていました。しかし、たびたび災害に遭い衰退していきました。

↓東門からすぐの四王堂は1674に再建されたものです。

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 ここに安置された四天王像も再三の炎禍にかかり、1502年の兵火により焼失した後に再建されたものといわれています。増長天が踏まえる邪鬼だけが創建当初、天平期のものとのこと。この四王堂には大きな十一面観音立像(1289藤原彫刻)が安置され、現在は本尊として参拝されています。右手に錫杖、左手に華瓶をささげた長谷寺式のお姿です。
ここでお参りを済ませ、昼食をとるからお堂を閉めるという係りのお坊さんに急いでご朱印をいただきました。

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この四王堂でほかのお堂を巡るチケットを購入しました。それぞれのお堂に受け付けがあります。

↓ 本堂/総板壁で重要文化財の釈迦如来や弥勒菩薩像が安置されています。

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 11/15まで秘仏が開扉されていました。愛染堂の本尊「愛染明王坐像」(鎌倉時代1247)です。この色彩が鮮やかに残る憤怒の顔をした愛染明王はその持ち物の 矢は鎌倉時代の蒙古襲来のとき博多湾に神風を起こしたという霊験譚が伝えられています。江戸時代にこの像が江戸回向院に出開帳されたとき、二代目の団十郎が中村座で「矢の根五郎」を上演し、それを鳥居清信が描いて奉納した絵馬が飾られています。

↓ 秘仏の愛染明王坐像  (NETから拝借)

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 西大寺の見学を済ませ、遅くなったランチは駅近くの小さなラーメン屋さんで博多ラーメン650円。秋篠までの道には食堂などなかったので、ここで済ませて正解でした。西大寺の塀の近くに道しるべがあり、これを辿って30分ほどてくてく歩きました。

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道は住宅街を抜けて秋篠の里に入りましたが、期待していたほどの風情もなく、ごみが落ちていたり・・・。でも秋篠寺の近くになるとススキや柿の木の向こうに南門が見えてきて、それなりに感動しました。「歴史の道」と名付けられた割に歩く人もほとんどいませんでした。

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まばらなる たけのかなたの しろかべに
しだれてあかき かきのみのかず 會津 八一

☆秋篠寺

↓ 南門

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 山門をくぐると緑の林に細い道が伸びて、爽やかな空気がいっぱいのアプローチです。木の根の間は苔が絨毯のように美しく広がっていました。

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 200mほど歩くと入口に社務所があり、その奥に国宝の本堂が建っています。ここに数多くの仏像が安置されています。光仁天皇の勅願により776年に創建された奈良時代最後の官寺。創建当初の講堂は鎌倉時代に大修理されています。天平と鎌倉の2つの様式美が凝縮されています。

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 本尊の薬師三尊像をはじめずらりと並ぶ中で、最も有名なのが「伎芸天立像」(奈良と鎌倉時代の複合)です。疲労とお堂が暗いせいもあって、さほど印象に残らなかったのが今思えば残念・・・。
またここの「十一面観音立像」は東京国立博物館に寄託されているそうです。( 追記:2014.2に鑑賞)

↓本堂裏にある鐘つき堂

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 あきしのの みてらをいでて かへりみる 
いこまがたけに ひはおちむとす  會津八一

 バスの時間が迫っていたこともあって、大急ぎで東門から退出。八一先生のように生駒が岳を返り観る余裕もなく、住宅街のバス停へ走りました。でも数分遅れたバスで西大寺駅へ。そして奈良JR駅行きに乗り換えて、ホテルに戻りました。

夕食は春にも独りで食べに行った「かこむら」で、ひろ子さんの友人と3人で会食。個室にしていただいたので、初対面でも気兼ねなくおしゃべりができました。 北海道組の2人は今日は暑かった、汗をかいたと言い、四国からの方はカシミアのセーターで、寒いと言って・・・笑。
お料理も昨夜ほどではありませんが、松茸が土瓶蒸しをはじめいろいろに使われていて、秋の味覚を満喫。

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 充実の奈良の一日でした。


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yk

秋篠寺はいいですね。学生時代に行って、いつかもう一度、とは思っていたのですけれど、野道を随分歩いた記憶があって ためらっていましたが、数年前(娘が婚約したので 親の顔合わせに行ったときなのです)婚約者のお母様が 車でつれていってくださって大感激でした。 技芸天、こういうのでしたら私も素直に素敵、と思えます。あのお寺の佇まいもいいですよね。
ただ50年前は 苔などなかったような、、。 
京都などもどこへいっても 石庭みたいなのができていて、昔のほうが良かった、とおもうことがあります。 
by yk (2014-03-06 20:05) 

alice

ykさま、秋篠寺は初めてでした。ここに来るまでに3つのお寺を巡ったこともあって、疲れでぼーっとしていたようです。堀辰雄が「東洋のミューズ」と呼んだ伎芸天ですものね。再訪しようかな~。ヨーロッパのロマネスク巡りのことを思えば簡単に行けそうですが、あくまでも十一面観音が優先なので、いつになるか・・・。
4月は南山城方面を計画していたのですが、京都国立博物館で「南山城の古寺巡礼」という展覧会があるので(4/22~6/15)、変更を余儀なくされています。
by alice (2014-03-06 23:03) 

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