十一面観音巡りの旅(12)春の大和路 [2014春の奈良(唐招提寺・東大寺・新薬師寺他)]
垂仁天皇陵の土手から滑り落ちたので、ジーンズのお尻が泥だらけなりました。でも、不幸中の幸い乾燥した土だったので、それをパタパタはたきながら、数百メートルほど歩いて、唐招提寺へ。境内に入りますと、甘茶をふるまうテントと、正面に花祭り(灌仏会ともいうお釈迦様の誕生日)の小さな花御堂。いよっ!と手を挙げた可愛らしい誕生仏が飾られていました。お婆ちゃん子だった私は幼いころ信心深かった祖母に連れられて、頻繁にお寺参りをしていました。お菓子を戴けるのは嬉しかったのですが、花祭りの甘茶は大嫌いで、困った覚えがあります。でも、何故かそれも懐かしい思い出です。優しかった祖母との花祭りの一コマ、そして流れた70年近い日々・・・。若い接待係の娘さんから甘茶をいただきました。疲れていたせいか、のども乾いていたので美味しい~!ついでに、お尻に泥が残っていないか、チェックしてもらったり(笑)
☆唐招提寺
唐招提寺は15年くらい前にツアーで訪れて以来です。その翌年から金堂は平成の大修理に入るということでしたが、10年におよぶ解体修理を終わり2009年に蘇りました。建物をいったん解体して更地にしてから、再びパズルを当てはめるように膨大な部材を寸部たがわず元の場所に戻していくという、聞いただけで気が遠くなりそうな大修理でした。
日本に仏教の戒律を教え広めるために唐僧鑑真和上が艱難辛苦の末に759年に開基。金堂には国宝の三尊が祀られています。修理前はお堂の中まで入り身近に見学できたのですが、修理後はお堂の外から覗く形になったようで、これはとても残念に思いました。千手観音立像も遠くからの鑑賞ではお顔はもちろんのこと手や指の繊細な表情まで、みてとることはかなわず、頭上の十一面観音を今回は旅のテーマでもあるので、よく見たかったのですが・・・。巨大な盧舎那仏坐像の光背の数多の化仏に改めて驚き、三尊のなかでは薬師如来像の飾り気の少なさにも好感が持てます。
金堂の外観で一番美しいのは正面の回廊と軒の大きく張り出した大屋根でしょう。その建築美、織りなすハーモニーに感嘆。列柱にしみじみ触れると手のひらから、美のオーラでしょうか何かが伝わってくるようでした。幸せでした。
おほてらの まろきはしらの つきかげを
つちにふみつつ ものをこそおもへ 會津八一
↓ 金堂から右に鼓楼、奥に講堂
↓金堂裏から右講堂、奥に鐘楼
↓ 校倉式の経蔵
↓桜咲く境内
↓ 北原白秋の歌碑のある植え込み
水楢(みずなら)の 柔き嫩葉(わかば)は み眼にして 花よりもなほや 白う匂はむ
新しい御朱印帳はここ唐招提寺で買い求めました。表紙は千手観音光背の火焔部分を西陣織で表したもの。
唐招提寺を後にして、薬師寺への道を歩き、途中のお蕎麦屋さんで昼食。もう2時近かったので、帰るころは最後のお客さんでした。時節なので桜えびのかき揚げそば。素敵な内装にお味もサービスもグーのお蕎麦屋さんでした。
昨秋、訪れていた薬師寺まで歩き、見学はパスして奈良駅に戻りました。ホテルで夕方まで休憩してから、タクシーでもうひとつの修二会(おたいまつ)が行われる新薬師寺へ。
☆新薬師寺
創建は天平時代の747年、当時は七堂伽藍の建つ大寺でしたが、火災や戦禍で大半を失い、残されているのは本堂だけです。内部の円形土壇に座る薬師如来像と周りを固めるように立つ12神将は国宝。4/8は「おたいまつ」が行われ、大きな11本の松明が11人の童子と呼ばれる男の人の手によって運ばれ、それぞれ11人の僧侶が導かれて入堂します。
実はこの行事があると知ったのは、前日ホテルに着いてからで、部屋にあった奈良案内のパンフレットを見て気がついたのです。本当にラッキーでした。
↓新薬師寺 本堂正面 。暗くなるまで小1時間ほど待ちました。
↓ 池のほとりに陣取って暗くなるのを待ちました。
↓ 夜桜も松明の光に浮かび上がって
↓ セピア色で
長い棒の先の松明とはいえ大きな火の塊ですから、火の粉が飛び散り、迫力満点でした。水もそうですが、火も万物を浄化する力を秘めていますね。おたいまつの後はこれも予期していなかったのですが、お堂の内部に入ることができました(無料)。ここも十数年ぶりでしたが、お釈迦様の誕生日の夜に拝見する仏像たちは何とも表現できないほどの存在感がありました。
もえさかる ごまのひかりに めぐりたつ
十二のやしやの かげおどるみゆ 會津 八一
高畑の新薬師寺の近くにはお花の寺としても知られている古刹の白毫寺があります。暗い夜道でしたが、おたいまつ見物帰りの人々に紛れて坂道を15分ほど下り、バスで奈良駅に戻りました。夕食がまだでしたので、駅構内の小さな居酒屋で地酒のお試しセットとおでんなどいただきました。たまにこういう気軽な居酒屋もいいものですが、禁煙ではないので咳が出てきてしまって、そそくさと退散。
* この記事の途中でハードディスクが壊れ、中断しました。半月後にヨーロッパに出発しますので、急ぎアップします(5/15)。
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