十一面観音巡りの旅(16)秋の大和路 [2014秋の京都(三井寺・青蓮院・相国寺]
~続きです。
☆「第66回正倉院展」 10/24~11/12
今年は天皇皇后陛下傘寿記念とサブタイトルがついています。それだけに出品された収蔵物の数々は名品揃いです。今回も十一面観音の秘仏公開の時期にあわせて来館できました。昨年も夕方に訪れ、並ばずに済みました。今回もチケットはネットで手配したので、スムーズに入館できました。
正倉院の宝物の特徴は(1)国際性に富む、(2)豊富な素材と多彩な工芸技術、(3)保存状態が良い、(4)芸術性が高いということです。
↓「伎楽面・崑崙」 絵葉書
崑崙という名前が2007年に訪れた中国の崑崙山脈を想い出ださせます。でも解説には崑崙は中国では南方の黒人を指したらしいとのことで、山脈とは何の関係もなさそうです。西域シルクロードから伝来したものを手本に752年の大仏開眼会用に作られたものではないでしょうか。崑崙面はほかの面に比べると一回り大きく、見開いた両目、獣形の耳、牙をむき出した怪異な相貌です。この崑崙を演じた人物の楽舞用の下着やくつしたにそれらを包んでいた風呂敷など。今は途絶えてしまった伎楽のいくつかの伎楽面も並んでいました。
↓ 「桑木阮咸 くわのきげんかん」
円形の胴を持つ4元の弦楽器。蘇芳で染められた木部に中央に円形に描かれた八弁の赤い花と緑の竹や松を背景に囲碁を楽しむ3人の高士が優雅。東大寺で使われていたもの。
↓「衲御礼履 のうのごらいり」
儀式用の靴。外面は赤く染めた牛革、内面は白い鹿革が用いられています。花形の飾りは銀製鍍金、花芯は真珠、その他も瑠璃や水晶をはめた豪華なもの。752年の大仏開眼会に聖武天皇が履かれたものと推察されています。
↓「鳥毛立女屏風 とりげりつじょのびょうぶ」
鳥毛貼りの屏風4扇。各扇に樹下の一人の女性が描かれています。全部で6扇ありすべて現存しています。そのうちの2.4.5.6の4扇が出品されていました。それぞれ縦136横56センチの大きさに豊麗な女性像に背景は奇怪な樹木。唐代の美人(楊貴妃に代表される)を踏襲したと考えられる女性は眉太く赤い唇の天平美人たち。女性の着衣や樹木、鳥などの表面は宝物の名称の由来となった鳥毛を張り付けて仕上げられています。羽毛は日本産のヤマドリのもの。752~756までに制作。追記:10月中旬に上京して見に行った東京国立博物館の「国宝展」にも1.3の2扇出品されていました。↓は第四扇の部分
↓「白石鎮子 はくせきちんず」 (午、未の大理石のレリーフ)
長方形(21.4×33.8)の区画の中に十二支の午うまと未ひつじが絡み合う姿で表され、周囲は雲気文。四神と十二支を各面に2体ずつ表した計八面のレリーフのひとつ。大理石のレリーフは日本では珍しいと思ったら、中国の隋から初唐期に製作され、伝わったものだそうです。
↓「鳥獣花背方鏡 ちょうじゅうかはいのほうきょう」
白銅鋳製の方鏡。鏡面も光沢を残し、背面の装飾も生き生きとした文様表現が見事です。中央にうずくまる獅子型の鈕を置き、葡萄唐草文様に狻猊(さんげい)と呼ばれる西アジア起源の獅子に蝶や蜂などの昆虫を加え、外縁帯はパルメット文。葡萄の実の立体感も素晴らしい。唐からの渡来品。同じく円形の「鳥獣花背円鏡 ちょうじゅうかはいのえんきょう」 一般に「海獣葡萄鏡」と呼ばれている円鏡。大きくうねる葡萄唐草文のなかに疾駆する獣や佇む鳥が華やか。
他は黒漆塗りの豪華な献物箱や花喰鳥を描いた献物用の台、中近東から伝わったとされるガラスの水差しなど。正倉院に伝わる宝物の中でも白眉とされる品々に目がくらみそうになりながら鑑賞。古文書は読めないしで素通りしましたが、ほぼ2時間…疲れました。
↓抹茶と和菓子をいただきながらお庭を眺めてひと休み
↓バス停からの奈良国立博物館。 すぐ近くまで現れた鹿、暗闇で目が光っています。
ホテル内のレストランでビュッフェの夕食。お隣のテーブルに一人旅の40代くらいの横浜の女性が座りました。やはり正倉院展に合わせて1泊で来られたとか、無口な方であまり話も弾みませんでした。ここ奈良日航ホテルには大きなお風呂もありますが、浴衣はないですし、入浴後洋服に着替えるのも面倒なので、部屋のバスタブで温まり、就寝。
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