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2015年春の旅(8-2)ケルン~フランクフルト [2015春ドイツ(オペラと美術の旅]

~続きです。 

☆シュニートゲン美術館Museum Schnütgen

   ドイツ中世美術を語る上に欠かせない美術館として知られています。参考書の『ドイツ中世美術Ⅰ』(岡野Heinrich圭一)では画像は一枚も掲載されていませんので、文字だけで想像するしかなかったのですが、今回の訪問でようやく少しは理解できました。美術館フリークの私にとっても大きな喜びです。ゴシックもかなり多くコレクションされていますが、今回はロマネスク期を中心に回りました。印象に残ったものはカメラ禁止ですので、画像は絵葉書や美術館のHPからお借りしました。

↓教会内部の展示室

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↓「ディプテュヒョン・ハラッハ Dptychon Harrah」カロリング朝800年頃の象牙彫刻。33.7×23cm。縦細長の牙彫プレート2枚で、それぞれ3段の計6枚に福音書記者や受胎告知、磔刑などの新約聖書の場面が彫られています。瞳にガラス玉をはめ込む技法は「カール大帝の宮廷派」に多く見られるそうです。

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↓「ヘリベルトの櫛」(850~900)19.5cm 製作は9世紀後半(カロリング朝)とされていますが、後代になって王から大司教ヘリベルト(在位999~1021)に下賜されたものと推測。ケルンのザンクト・ヘリベルト教会に伝わったためこの名前で呼ばれています。5m厚さに施された両面の精緻な浮彫。左右対称の構図や人物のタイプからメッツ新派の特徴がみられるとのこと。

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↓左は「ザンクト・ゲオルグ教会出自の磔刑像」(11世紀の終わり)189.5×52cm 丸彫りの木彫大型磔刑像、両腕と両足首は欠損し、トルソーとして現存。右は「ケルンの牙彫聖屍卸下」(1100年頃)13.8cm。初期中世には珍しい象牙の丸彫り彫刻。ニコデモがキリストの腰を抱き下ろすところ、下に釘を抜いている人物は従者。イングランドから北フランスを経て伝わった作風。

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↓先に写していた聖セシリア教会の北扉口のタンパンはコピーで、

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↓ 美術館の中に本物があります。比べると違いが分かりますね。タンパン中央は教会の名前にもなっている聖セシリアが花弁形頭光の半身像でたち、両側に聖女の婚約者の青年貴族と兄の姿。二人とも聖女と共に殉教したと伝えられています。殉教者の標である棕櫚の枝は逸失。製作年代は1160~1170頃と推定。

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↓ 私のお気に入りはこの「フィーデル弾きのトルソー」1200/10頃?と画像はありませんが「踊る人のトルソー」1190頃?共にケルン大聖堂の西ファサード付近で19世紀に出土された浮彫断片です。玉座に座り足を交差させて、いわゆる芸人ではなく優雅な身分の方とお見受けしましたが。

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 旅に出る前に『ドイツ中世美術Ⅰ』から観るべきものをメモして、持参するのがベターでしたが、旅に出る2週間前にならないと出かけられるかどうかの難しい状況にあり、不勉強のままでした。ブログのための復習とはいえ不備が多く、せっかくラインラントやヴェストファーレン・ロマネスクを巡ったのにと・・・やや残念。

 美術館を後に大通りをライン川に向かって数分。聖マリア・イム・カピトール教会へ。ところがこの教会も家々が周りを取り囲んでいて、どこから入れるのか分かりません。ぐるりと周囲を回っているうちに、ランチもまだでしたから目も回ってきてギブアップ。地下鉄でいったん駅前に戻りました。

↓ということで、聖マリア・イム・カピトール教会は外観だけです。ここはケルンのロマネスク教会のなかでは重要なところなのに、出入りする人の姿もなかったのは今でも謎です。

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 地下鉄で2つ目の中央駅前の大きなビアレストランGaffel am Domで遅いランチをとりました。

↓広い店内

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↓最後のケルシュにお隣のテーブルの老婦人のお皿がヘルシーに見えたので、同じもBauernsülze(テリーヌのようなコールドミート)を注文。

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↓つけあわせがアツアツのポテトのグリル。とても美味しかったです。

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 美味しいものをいただいて、すっかり元気になり、汽車の出発までタクシーに乗って聖パンタレオンへ行きました。旧市街を南に走り10分ほどで到着。旧城壁(環状道路)から広い緑地を背景に建つ教会が見えてきてほっとしました。

☆ザンクト・パンタレオン教会St.Pantaleon

 ドイツ・ロマネスクのなかでもオットー朝の様式を残している教会。大司教ブルーノによって957年に創建され、献堂は980年頃。当初の教会はトリーアの古代ローマ時代のバジリカの模倣と見られ、オットー朝の古代ローマ憧憬が伺える建築でしたが、984年以降1000年頃にオットー二世の妃テオファヌ(ビザンツの皇女)により改築。ブルーノの身廊や袖廊はそのままに、東内陣を多角形アプしス、西身廊を8M延長、3塔群を掲げる壮大な西構えを造営。第二次大戦による破壊の後はロマネスク以降の改築部分を排して、妃テオファヌの再建当時の1000年頃の姿に復元されました。

↓門をくぐると教会の西構え。正面中央に正方形の大角塔と両脇に円錐形の帽子を乗せたような細い塔が控えています。洗練されつつ鄙びた感もあり魅力的です。

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↓三廊式の内部。後期ゴシックの内陣が少々そぐわない感じですが、平天井や窓からの明るい光が爽やかな空間です。

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↓西側。正面の閉ざされた扉の向こうがポーチです。出入りは南口から。

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↓ 側廊

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↓北側面から。西構えの構成が分かります

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↓北側にもポーチ付随の玄関?

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↓近寄ってみましたがここからは教会には入れません。

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↓どこからか子供たちの声がします。敷地内の一画が幼稚園?玄関の列柱は回廊の跡なのでしょうか。

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↓最後に西構えを眺めて、お別れしました。

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↓北側に広がる公園の芝生に早くも裸で日光浴の人たちが・・・。

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公園の脇から歩道橋を渡ると地下鉄のPoststraße駅です。ホテルに戻り荷物をピックアップして、列車でフランクフルトへ。週末で混雑が予想されファーストクラスを奮発したのですが、当日発売なので122.8€もしてちょっぴり反省・・・。でも快適、楽ちんでフランクフルトのホテルに戻れました。

ホテルのロビーはどこかの会社のビジネス商談会?日本人も数人見えて混雑していました。前回の部屋と違う古い方の棟の↓クラシックなお部屋でしたが、宿泊費は同じ(159.5朝食込)。

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↓疲れたのでホテル内のレストランで白ワインとラビオリの軽い夕食。

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久しぶりにバスタブにゆっくりつかって、明日からのウィーン行きの準備をして就寝。


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yk

『ドイツ中世美術Ⅰ』は私も持っています。ドイツロマネスクについて、これの右に出るものはないと思われますが、本当に不親切な本ですよね。写真がないので、人類の美術などを開きながらの読書、もっと困るのは索引がないこと。私の本は付箋だらけになっています。
同じ著者で『ドイツ美術史散歩』遺跡・古建築篇 と 古彫刻篇がありますが、お持ちでいらっしゃいますか?この二冊は 出てくる作品数はすくないですが、小さい白黒ながら写真はでています。
ケルンにいらしたとはうらやましい。 
実はツアーが催行されない場合のため(催行されそうな気配になってきました)ドイツロマネスク個人旅行を立案。それはケルンから入って、ケルン中心に見て、東へマグデブルグまで行って、5日間かけて、ケルンに戻ってくるプラン。ドイツはロマネスクといっても交通の便利なところが多いので個人でもいきやすそうですね。
ケルン(前後に分けて7日間滞在)は三日間観光予定にしましたが、おかげさまで二日でも何とかなりそう、ということも分かりました。いつか実現させたいとおもっております。 
ついでに教えていただければ嬉しいのですが、、、。 
ホテル予約は bookingドットcomをいつもお使いですか?私が使ったことのあるのはアップルですが、地方都市の扱いが少ないこと、部屋の選択など考えると他のところの方がよさそうです。
これまでにトラブル(とれていなかった、など)はありませんでしたか?またカード番号の管理がずさんなどの口コミも読みましたが、どうなのでしょう?すぐ行くわけではありませんので、いつか書いていただけませんでしょうか? 
by yk (2015-06-27 08:13) 

alice

ykさま  本の情報ありがとうございます。『ドイツ美術史散歩』遺跡・古建築篇と古彫刻篇は持っていませんので、図書館で検索、早速申込みしました。
ケルンは1泊では全然足りなくて、心残りでした。やはり3泊が理想だと思います。次回はアーヘンとトリーアにも足を延ばしたいと考えています。
ホテルは90%くらいはBooking.comから予約しています。キャンセルや変更が簡単ですし、地図から選べるのが便利なので。ホテルによっては同タイプの部屋でもバスタブの付かない部屋もありますので、リクエスト欄にバスタブ希望と書いた方が良いです。今まで、トラブルはほとんどありません。多少ともあったときは私が良く確認書を読んでいなかったくらいで、こちらの責任でした。
by alice (2015-06-27 23:12) 

yk

ホテル予約サイトについてのお返事ありがとうございます。リクエスト欄というのもあるのですね。心にとめておきます。
ドイツ旅行、いつの日か実行に移したいと思っています。
旅日記 続きを楽しみにしております。
by yk (2015-06-29 09:23) 

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