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(4)ベルリン [2016春ドイツ音楽祭の旅]

3/27(日)

 復活祭を迎えて、春らしい日和になりました。冬のオーバーコートも必要なくなり、春の軽いコートで2年ぶりのベルリンの街へ。Zoo駅からバスでアレクサンダー・プラッツの近くまで。

↓シュプレー川に架かる橋の向こうにテレビ塔

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↓テレビ塔のそばにザンクト・マリエン教会が見えてきました。

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 図書館から借りた小池寿子先生の著書『死の舞踏への旅』でベルリンにもその主題(独語でTotentanz)の壁画があることを知り、見学に来たのです。

↓St.Marien in Berlin(ベルリンのサンタ・マリア教会)は13世紀に創建、現在の建物は19世紀にプロテスタントの教会として改築、拡張されています。第二次大戦の終わりごろには塔と北壁に爆撃を受け壁画もダメージを受けたようです。こちらは南側面。

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 さて、目的のダンス・マカーブル(16世紀)は東塔の玄関廊にあります。ただそのコーナーはガラスでしきられています。500年の歳月を経たオリジナルの再生は難しいため、かなり剥落が進み、また全体を観ることは叶いませんでした。

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↓手前の壁にあるのをようやく撮りました。黒い帽子の二人の若い男の間に白い布をまとった骸骨が描かれています。

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↓第一次大戦後にリーフレットとしてコピーされたもの(部分)。王侯貴族、騎士、聖職者などの間に死の象徴である骸骨をはさんで、生きることは常に死と隣り合わせであると示しています。

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「死の舞踏」の壁画は中世末期には多く描かれたテーマですが、現存しているものは少なく、私も1998年に訪れたフランスのラ・シェーズ・デイユ修道院以来でした。このテーマは現代美術まで形を変えながらも、連綿として受け継がれてきました。2000年には上野の西洋美術館で特別展「死の舞踏 中世から現代まで」(デュッセルドルフ大学版画素描コレクションによる)が開催され、私もオペラ公演のついででしたが、訪れました。意欲的な展覧会でしたが、日本人には受けません。がら空きの展示室でのケーテ・コルビッツの作品が大層印象的でした。

↓教会内部には古い木彫の聖人像も。

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 川に沿って歩き、博物館島へ渡りました

↓回廊から見えてきたALTE NATIONAL GALERIE(旧ナショナル・ギャラリー)

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↓ぺルガモン博物館は大改修中。一部しかオープンしていないのに大行列!

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 今回はシリア北部のハラフ遺跡から出土した浮彫など観るつもりでしたが、改修中ではたとえ入館でしても観られるかどうか・・・諦めました。工事の計画看板には全面完成予定2019となっていました。

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↓NEUES MUSEUM新博物館の裏(川のほう)側面に残された第二次大戦の爆撃跡(斜め撮り)

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 ペルガモン博物館から近くのボーデ美術館に寄りました。2年前に続いて3度目の訪問です。ビザンティンからのキリスト教美術(彫刻)ではかなり水準の高いコレクションなので、何度来ても楽しめます。展示も一部変わるようです。

↓エジプトの初期キリスト教(コプト教)のセクションから、鷲と祭壇の墓碑

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↓アンク形の十字架を刻んだ墓碑

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↓オランスのポーズをとる人物たち、初期キリスト教徒の素朴な墓碑。

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↓中世部門の浮彫「カインとアベル」

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↓この部屋は初めて?ロマネスク期の獅子像(柱の基部)

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↓最後にリーメン・シュナイダーの書記者像(聖ヨハネ?)にさよならして退出

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 Unter den Lindenの大通りからバスに乗ってPotsdamer広場まで。2年前に泊まったホテル裏側のモール内でランチ。ラーメンが食べたくなったのが災いの元、二階バルコンのカジュアルな中華屋さんだったのですが…不味くてほとんど残しました(涙)。お目当てのお惣菜屋さんもイースターでお休み。今日はついてない。。。とぼやきながらZOO駅の近くのカイザー・ヴィルヘルム記念教会へ。ここは初めて中に入って見学しました。(内部は写真禁止)

Kaiser-Wilhelm-Gedächtniskircheカイザー・ヴィルヘルム記念教会は19世紀にネオ・ロマネスク様式で建立。第二次大戦時の爆撃で損傷しましたが、戦争の悲惨さを伝えるため保存されています。ただ最近は大規模な保存改修があったもようで、初めて近くを通った時の黒っぽく崩れそうだった姿に比べると壁面は化粧されたかのよう、ずいぶん変わっていました。隣接してモダンな教会が建設され、教会の機能は新しい方に移っています。

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  ここからZoo駅まで戻るのに方向を失い、ぐるぐる歩き…疲れました。今思えば朝からここまでほとんど街中の時計を見ていません。ホテルのレセプションにも寄らないで出入りできる構造になっていることもあり、それが大変な失態のもとになったのです。

 ホテルからシラー劇場まで徒歩で数分ですから、休息後のんびり劇場へ。ところが劇場の前はひっそり・・・な、な、なんで?入ってみると入口にいた係員が「もう開演して1時間たってるよ。今日から夏時間だから」と言うではありませんか!途中では入れませんし、今日の演目『オルフェオとエウリディーチェ』は1幕ものなので観られない~!!とほとんどパニック状態の私。TVで良かったらと案内された2階ホワイエ横のロビーへ。なんと!二人の同胞の先客が・・・。「日本のおばさんたちにも困ったもんだ」と思われたことでしょう(大汗)。私とは同年輩の方たちは二人で地下鉄に乗って来られたそうで、地下鉄の時計を見て変?とは思ったらしいのですが、気がついたとしてもすでに手遅れでしたでしょう。連れのいない私はなおさらかと、ちょっぴり自分を慰めましたが。。。旅の2週間前まで、夫の状態で行けるかどうか決めかねていたので、やはり詰めが甘かったのです。TVでは物足りないこともあって、まったく悔恨の気分のままの視聴でした。でもメータの絶品のアリア「エウリディーチェを失って」は扉ひとつ向こう側で歌われている・・・それだけで感動でした。

そして、2時間余りの上演が終わりカーテン・コールには入れてもらいました。バレンボエムのグリックは珍しい?ですし、何よりも久しぶりにベジュン・メータの生の歌声と舞台を楽しみにしていましたから、とても残念でした。それでもブラボーの嵐を受けて、ガッツポーズのメータの姿に嬉しい私でした。

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♪~グリック『Orfeo ed Euridice オルフェオとエウリディーチェ』

Musikalische Leitung
Daniel Barenboim
Inszenierung
Jürgen Flimm

Orfeo
Bejun Mehta

Euridice
Anna Prohaska

Amor
Nadine Sierra 

↓プログラム

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 このまま暗い気持ちを抱えて帰るのも淋しいなと劇場の傍の賑やかな居酒屋さんにふらふらと入ってしまいました。サービスの女性が親切な方で、相席で良かったらと案内してくれて、地名は聞き取れませんでしたが、ドイツの南西の地方からオペラ観劇で見えていたシニアのご夫婦とご一緒させていただきました。彼らはこの夜はドイッチェ・オパーのほうで『タンホイザー』を聴いてきたそうで、素晴らしかったと頬を染める素朴な方たち。そこへ今夜のエウリディーチェを歌ったプロハスカが入ってきて、拍手がわきました。笑顔で私にも応えてくれて感激!実際は聴いてませんでしたが、聴いたふり(笑)、毛糸の帽子にトレンチコート、飾らないキュートなプロハスカでした。このお店は美味しいビールにブッフェのおつまみなどで10ユーロって安い!いつのまにか傷心の私は吹っ飛んで、ご機嫌で宿に戻りました。


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