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(7)パリ [2018春イングランドロマネスクとオペラの旅]

5/17(木)


 朝起きて、やはりかなりの疲労感が残っているのを自覚。この日は電車でパリから1時間のNogent-sur-Seineへ行き、最近オープンしたMusee Camille Claudel の見学。そして世界遺産にもなっているプロヴァンや近郊のロマネスクSt-Loup de Naudの教会にも寄るつもりでした。しかし、パリに着いた安堵感からか、この行程を乗り切る体力気力ともに自信がなく、今回は見送ることにしました。


 近場といえば、この宿から徒歩数分のポンピドゥー・センターです。以前訪れてから10年以上は経っていますので、久しぶりです。人気がありますので、並ばなくても済むようにNET予約でチケットを購入してから、出発。


↓ストラヴィンスキーの噴水のある広場

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↓カラフル、モダンなポンピドゥー・センター(修復中)

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 入り口はやはり行列でしたが、チケット持っている人用のラインから入り、インフォでチケットに引換、入館できました。2階から回りましたが、自分の目的のフロアまではエレベーターで昇ります。


ポンピドゥー・センター国立近代美術館/ Centre Pompidou


 特別展は「CHAGALL,LINSSITZKY,MALE VITCH/THE RUSSIAN AVANT-GARDE IN VITEBSK 1918-1922」で、ここから鑑賞しました。ロシアのアヴァンギャルド展はNYのMOMAで観た記憶がありますが、VITEBSKヴィーツェブスクという地名に興味を惹かれました。VITEBSKはシャガールの故郷でユダヤ人が多く住んでいたベラルーシの町です。1923年に旧ソ連領になったので、その前年の5年間に絞った展覧会です。


先ずはここポンピドゥーのコレクションの

↓シャガール「ワイングラスをかかげる二重肖像」1917-1922 233×136 ロシア革命後のVITEBSKで制作。新婚のシャガールとベラですが、写真はベラをアップで。

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↓シャガール「街の上に」1914-18 141×198  モスクワ/トレチャコフ美術館蔵

浮遊する恋人たちの下に描かれるのは当然ですが、故郷のVETBESK。


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 シャガールは1918年VITEBSKの芸術監督に任命され、美術学校の新設に尽力。翌年にはリシツキー(El Lissitzky)を講師として招きます。リシツキーはロシア構成主義の代表的な画家であり、建築デザイン、ブック、フォト・モンタージュなど様々な分野で活躍しました。この展覧会ではリシツキーの「プロウンProunシリーズ」の中から何点か展示されていました。プロウンとは「新しいものの確立のためのプロジェクト」の略。リシツキーはこのシリーズを自らの作品を絵画から建築の乗り換え駅として位置付けています。


↓リシツキー「プロウンⅠD」1919 71.6×96.1 バーゼル美術館蔵

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 リシツキーはやがてマレーヴィチ(1919-22までVITEBSKの美術学校の教壇に立つ)の影響を受け、彼らのグループ「ウノヴィス/UNOVIS」に参加します。

マレーヴィチはやがてVITEBSKを去り、PETROGRADに移りましたが、画家にとってもVITEBSK滞在は大きな転換期であったようで、シュプレマティズム<白の上の白>シリーズから石膏の住宅(建築モデル)を制作しています。


↓マレーヴィッチの建築モデル(1921以降)

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 ロシア革命後の新しい理念、新しい芸術に燃えたVITEBSKも1923年ソ連体制に組み込まれ共産主義の洗礼を受けることになります敬虔なユダヤ教信者だったシャガールはすでにパリで名をあげていたこともあり、故郷を捨て同年パリに戻りました。

VITEBSKで活躍した他の画家の作品も多数展示されていました。ソヴィエト政権に失望し、亡命したアーティストたちに寄って紹介されたロシアの前衛的な芸術運動はヨーローッパに大きな影響を与えました。


 ランチは最上階のレストランGeorgesで。オーダーをとりにくるのが遅くてイライラしました。


↓ガラス張りの店内から

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↓テーブルに紅い薔薇が一輪


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↓アスパラのポタージュとベトナム風揚げ春巻き。味は

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ランチのあとはパーマネント・コレクションのフロアに降りて一巡り。

↓マティス「黒猫を抱くマルグリーテ」1910

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↓イヴ・クライン「青のモノクローム」1960 199×153

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↓ロスコ「Black, Red over Black on Red

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↓タンギー「A QUATRE HEURES D'ETE l'ESPOIR」1929 130×97

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絵画のほかにも写真や家具など膨大なコレクションです。またもやブランクーシを見る体力は残らず退散。


 ホテルで休息してからマレ地区の夕食と散策へ。

↓ユダヤ料理のChez Marianneで。 いくつか選べる前菜とパン

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お昼の気取ったサービス係に比べると、なんて可愛くて親切なと感動ものの娘さん。気持ちよく食事ができました

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 食事をする人たちで賑わうマレ界隈ですが、不思議に思うほど、いわゆる酔っ払いの声がしないのは、やはり・・・おふらんす?


今日のポンピドゥーは新しく観たものも多く、充実の美術館巡りでした。明日は久しぶりのルーブルへ行ってみましょう~。


 

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