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(5)ウィーン [2018 冬の旅(ベルリン、ウィーン、トスカーナ]

2/27(火)


 起床したときのTVではマイナス10度とのアナウンスでした。窓から外を見ると曇り空ですが、雪は降っていません。屋根に残った雪がやけに寒々しく・・・悪い予感。

↓ホテルの部屋からアン・ディア・ウィーン劇場の眺め

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 外出するころは少し上がるだろうと思ったのですが・・・時折吹く風の冷たいこと!体感温度マイナス15度くらいです。フードをしっかり被り、厚手のマフラーで顔の半分を埋めて歩きました。


↓国立歌劇場の横のピンクのウサギさんも凍えそうです。

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↓ケルントナー通り側の呼び込み屋さんも着ぶくれ

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 シュテファン寺院横のDOM MUSEUM WIENへ行ってみましたが・・・今日は閉館でした。HPをチェックしてこの日はオープンしていると思い込んでいました。帰ってから確かめたところ月曜と火曜は休館です(私が悪い涙)。前回来たときは改修中でしたので、今回は楽しみにしていたのですが、残念。仕方なく厳寒の中街をぶらぶら・・・


↓お花屋さんの店先には水仙のリース。球根を付けたままなので凍らない?

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↓数年前なら購入したでしょうね。パッヒャーの画集。

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↓ユダヤ博物館前で写真を撮ろうとして、i Phoneをバックの外ポケットから取り出しましたが、氷のように冷たくなっていて、文字通りフリーズしていて画面真っ暗反応なし!この写真は別のカメラを取り出して(バックの内側だったのでセーフ)写しました。

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↓i phoneも凍る暗くて寒いウィーンの街をとぼとぼと・・・。

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↓寒さに耐えかねて飛び込んだカフェ、レトロな雰囲気でした。急に暖かいところに入ったのでレンズが曇ってしまいました。コーヒーとチョコレートタルトで一休み。

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↓デーメル(アルべルティーナ美術館内の)でもケーキをいただきました。苺タルトIMG_1115.JPG


↓ついでに?お寿司とワインもいただきましたが、このおつまみ程度のお寿司が高くて驚きでした。でも他に食べたいものも見当たらず、仕方ありません。コーヒー込みで30.5€

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アルべルティーナ美術館

 過去3回ほど訪れていますが、寒いのでもう歩けませんから、ここに飛び込みました。暖かい、トイレは綺麗、レストランもありで、ここでのんびり過ごしました。

今日の特別展は二つ「ウィーンの水彩画家展」と「MONET TO PICASSO」。


↓ポスターにもなっている婦人像と子供たちの絵(ドイツ語なので詳細不明)


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 「モネからピカソへ」の展覧会はここのコレクションが主体のようです。いわゆる一級品ではないのかもしれませんが、それぞれの画家の特徴がうかがえる優れた作品が多く


↓上からドガとシニャックが二点

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↓MARIE-LOUISE VON MOTESICZKY(1906~1996)「労働者」1926 

ウィーン生まれの女流画家20歳の時の作品。父は音楽家の裕福なユダヤ人の家で生まれ育ち、将来を約束された画家でしたが、、ウィーンがナチの支配下になり、身の危険を感じた画家は展覧会のあったアムステルダムに1936年頃母を連れて行き、そこを経由してロンドンに亡命。残った彼女の兄弟はナチに虐殺されたという悲惨な過去があります。戦後はロンドンで個展も開かれ、有名になりました。指導を受けたベックマンやココシュカの影響が大きいです。

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↓エミール・ノルデ「月夜」1914 ノルデも同じくナチに嫌われ、多くの作品を破棄されるという目にあっています。

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↓ガブリエル・ミュンター「花と果物」1906


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↓ポール・デルヴォー「灯りのある風景」1958

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ほとんどがアルべルティーナの収蔵品とのことで、初めて目にした作品が多数。しかも名品が多く、有意義な時間を過ごせました。


さて、美術鑑賞は切り上げて宿に戻り仮眠。今夜のオペラは隣接の劇場なので、15分前に出て余裕です。


↓開演前、私の席から。Parterre Loges6 最前列148€

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↓オーケストラ席には大きなチェンバロ

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↓プログラム

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♪~ヘンデル『Saul ソール』19:00~@THEATER AN DER WIEN

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Conductor : Laurence Cummings
Director : Claus Guth
Design : Christian Schmidt
Lighting : Bernd Purkrabek
Choreographer : Ramses Sigl
Chorus master : Erwin Ortner
Dramaturge : Yvonne Gebauer
  ~
Saul : Florian Boesch
Merab : Anna Prohaska
Michal : Giulia Semenzato
David : Jake Arditti
Jonathan : Andrew Staples
Abner : Marcel Beekman
High Priest : Marcel Beekman
Doeg : Marcel Beekman
Witch of Endor : Ray Chenez
Amalekite : Quentin Desgeorges

オーケストラ:フライブルグ・バロック管  合唱:アーノルド・シェーンベルクコーラス


 このヘンデルのオラトリオは英語で歌われますので、一般的にサウルといわれる王はソールと英語読みになります。旧約聖書のなかでも有名な英雄ダヴィデ(ダーヴィット)が巨人ゴリアテを倒した後の物語で、サウル(ソール)王といえばすぐ目に浮かぶのはレンブラントの絵画なので下に貼っておきましょう。

開演前にまたもや支配人?が出てきて「プロハスカが・・・・」というので、冷っとしましたが、最後に観客が笑うのは一昨日のベルリンと同じパターンです。それで調子が悪いだけなんだと一安心。その通りでこの公演で唯一のスター(私の知ってる限り)ソプラノのアンナ・プロハスカがキャンセルでは困ります。彼女は風邪でも引いたのでしょうか・・・やはり声の調子がいまいちでした。しかし、芸達者な彼女がからんだことでこの演出は素晴らしいものになったのは確かです。

演出のクラウス・グースの舞台は何度か観ていますが、苦手なかたでその都度悪口を書いてきました(汗)。でも今回の舞台でやはり鬼才であったと見直しました。素晴らしい~!の一言。細かいことは切りがないので割愛させていただきますが、ソールのディヴィットに対する激しい嫉妬から精神が壊れていくさまがひたひたとバロックの通奏低音と絡み合って表現されて、文句のつけようもありません。ソールの娘や息子たちとディヴィットとの関係も民衆の扱いも秀逸でした。

指揮のカミングスは初めてでしたが、息の合ったフライブルグ・バロック管とともにアン・ディア・ウィーン劇場の空間を素晴らしい古楽の調べで満たしてくれました。

ディヴィットは注目のカウンターテナーJake Ardittiですが、この難役を見事にこなしました。Arditti って聞いたことのある名前と思ったら、あのアルディッティ弦楽四重奏団の創始者で第一バイオリンの方の息子さんらしいです。これからの活躍が期待できそうです。


↓カーテンコールで。合唱団の皆さん

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↓ソール役のFlorian Boesch

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↓ディヴィット役のJake Arditti

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↓メラブ役のAnna Prohaska

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↓マイカル役のGiulia Semenzato

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それぞれ大喝采を受けていました。2夜続けてそれぞれ素晴らしいヘンデルを聴けて「嬉しい~!!」と足取りも軽く隣のホテルに戻りました。


 2階にセルフサービスのカフェ・コーナーがあるので、熱いお湯をいただいて部屋でカップラーメンの夜食を済ませ就寝。オペラの旅は今夜で終了。明日はイタリアのピサに移動します。


↓レンブラント「サウルの前で演奏するダヴィデ」1629頃(62×50)フランクフルト/シュテーデル美術研究所(絵葉書)

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予習CD:Amazon Unlimitedの会員なので、ルネ・ヤコプス&コンチェルト・ケルンの盤をパソコンで聴きました。

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